歩行者をなぎ倒し車は横転…年間4000件以上と続出する高齢ドライバー事故「生々しい現場」写真

高齢者が運転する車の事故が相次いでいる。

３月１日には71歳の男性が運転する乗用車が大阪市生野区の「生野愛和病院」に突っ込み、75歳と86歳の女性が巻き込まれ死亡。自動車運転処罰法違反（過失致死）の容疑で現行犯逮捕された男性は、警察の調べに対し「くしゃみで意識が遠のいた」と話しているという。

「現場には、70ｍほど手前からブレーキ痕がありませんでした。猛スピードで対向車線を逆走し、歩道や病院の花壇に乗り上げたとみられる。運転手の男性は、意識を無くしていた可能性があります」（全国紙社会部記者）

さらに３月５日には、運転免許証を自主返納していた82歳の男性が事故を起こす。福岡市博多区の寺の境内にある駐車場で妻から軽自動車の運転を引き継ぎ、81歳の女性をひいて命を奪ってしまったのだ。公道ではないため無免許運転にはあたらないが、取り返しのつかない事態を招いてしまった。

警視庁によると、2021年に65歳以上の高齢者が起こした自動車事故の件数は4370件にのぼる。事故全体が減少傾向にあるなか、前年比124件の増加だ。『ＦＲＩＤＡＹ』は、たびたび高齢者による自動車事故を目撃してきた。生々しい現場画像から、高齢ドライバーの実態について警鐘を鳴らしたい。

歩道に残った被害者の血のり

都内で高齢者の運転するタクシーの激しい横転事故に遭遇したのは、18年３月だった。同年の本誌４月20日号に掲載した事故の様子を振り返りたい（内容は一部修正しています）。

「あっ、危ない！」

後部座席に座っていた30代のＡ氏が、そう感じた直後、タクシーは「ドーン！」という激しい衝突音とともに歩道に乗り上げ横転した。歩道を歩いていた男性がタクシーになぎ倒され、頭を強打し重傷。現場には被害男性の血のりがベットリと残った。タクシーの運転手は、65歳を過ぎた高齢者だったという。

乗客のＡ氏は、当時こう振り返っていた。

「タクシーに乗ったのは、2018年３月26日の夜10時頃です。事故が起きたのは、（東京都杉並区）ＪＲ西荻窪駅を過ぎたあたりでした。運転手さんは土地勘がないのか、カーナビを操作し始めた。かなり歩道に寄っていたので『大丈夫かな』と思っていたんですが……。

ひかれた人は頭から血を流し救急車ですぐに搬送されましたが、私はタクシーの窓に首をぶつけただけで済みました。運転席に取り残されたドライバーが救助されたのは、事故から30分ほどしてからだそうです」

高齢者の自動車事故を多く取材したジャーナリストが語る。

「高齢者が起こす事故の原因として、３つの要素が考えられます。まず視覚の衰え。２つ目は、歩行者や対向車などに対する認知判断の衰え。３つ目が意識の問題です。長い運転歴のある高齢者は、若い頃と同じように運転できるという過信があります。そうした意識が、事故につながっているのでしょう。

高齢者は走り慣れた道や自宅の駐車場でも、車体をぶつけそうになるなどヒヤッとした経験があれば自主的に病院で検査を受けるべきです。ご本人が拒否する場合は、ご家族が『念のために』とやんわりと通院を勧めることが大切。認知能力が弱まると非常に危険だからです」

惨事を招くのが「私は大丈夫」という思い込みのようだ。「危ない」と感じたら一人で結論を出さずに、家族や関係機関と相談することが事故の予防につながることを忘れないでいただきたい。