元「エリートお笑い芸人」”ナイナイの後継者”と呼ばれた男が再び注目されているワケ
東京都港区。ワンルームの平均家賃が14万円を超えるセレブな街にある3万7000円の古びたアパートに、今話題のユーチューブ芸人・岡田康太(32)は住んでいる。ユーチューブの登録者は約50万人。テレビやラジオでも活躍中だ。

「この前フワちゃんから『いつまで下積みヅラしてんだ!』って言われました(笑)。無理してここに住んでるわけじゃないんですよ。服にも住む場所にも興味がなくて。貯金? だいぶ貯(た)まりました(笑)。自分が笑いをとった評価だと思って、通帳を眺めてます」
服装も髪型も素朴さを感じさせる岡田だが、実は14年前に華々しいデビューを遂げていたエリート芸人でもある。
長くフジテレビを支えたバラエティ番組『めちゃ×2イケてるッ!』『はねるのトびら』はご存じだろう。”出演した芸人たちは確実に売れる”伝説の番組だ。
2009年、岡田はこれらの後継番組『ふくらむスクラム!!』のメインMCに抜擢された。『めちゃイケ』でいうナインティナインのポジションである。かまいたちやニッチェら現在大人気の芸人たちが脇を固めた。
「高校時代、素人としてお笑いのライブに出たらフジテレビのスタッフさんの目にとまり、オーディションを受けることになって……いきなりデビューです」
しかし、芸歴0日のアマチュアをセンターに置くのはさすがに無理があったのだろう。『ふくらむスクラム!!』はわずか半年ほどで打ち切りとなった。
「収録も撮影も毎回しんどかった。初回の収録で、持ってたネタは出し尽くしてしまい、2回目からはもう何もない状態。周りは実力ある先輩ばかり。優しくしてくれればくれるほどしんどくなりました。『面白いこと言わな!』って考えすぎて面白いことが逆にできなくなりました」
その後、岡田はこのアパートに住みながら芸人生活を続ける。吉本興業にも所属してみたが2ヵ月で辞めた。アルバイトと1回500円の自宅ライブを開きながら糊口をしのいだ。転機が訪れたのは「港区家賃3万7000円男」としてユーチューブデビューした2019年。挫折から10年近く経っていた。
「僕の芸は私生活の延長線上にあって、見せる媒体は何でもいいんです。ユーチューブでも、舞台でもテレビでも。何をやっても楽しめると思います」
いま、エンターテイメントの幅は広がり続けている。まさに「岡田の時代」がやってきたようだ。

『FRIDAY』2023年3月17日号より
PHOTO:Yoshiki Ito取材:いけるか小机