被害者の姉は法廷で泣き出し…「これは冤罪」熊谷27歳女性絞殺事件 法廷で被告が見せた衝撃の態度 | FRIDAYデジタル

被害者の姉は法廷で泣き出し…「これは冤罪」熊谷27歳女性絞殺事件 法廷で被告が見せた衝撃の態度

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「私は宮崎さんに暴行を加えてもいないし死亡させてもいません。これは冤罪です」

‘21年9月、熊谷市内の自宅アパートから宮崎英美さん(当時27)の遺体が発見された事件。遺体の発見から一か月半後の10月21日、SNSで被害者と知り合ったとされる東京都東村山市在住の派遣社員・冨田賢(すぐる)被告(33)が逮捕された。

この事件の裁判員裁判が、2月20日からさいたま地裁で開かれている。

宮崎さんの首を絞めて窒息死させた傷害致死の罪に問われている冨田被告は、初公判で冒頭のように起訴内容を否認した。

2月24日の被告人質問において、肩まである長い髪をチョンマゲのように結んだ冨田被告は被告人席に座り、被害者との出会いからゆっくりと語り始めた。

送検される冨田被告。衣服などで顔を隠す様子もなく、堂々としていた
送検される冨田被告。衣服などで顔を隠す様子もなく、堂々としていた

冨田被告と宮崎さんが出会ったのは‘21年の6月だという。

「気軽に遊べる相手を探して『KoeTomo』というSNSアプリで手当たりしだいにメッセージを送るなかで、宮崎さんと知り合いました」

何度かLINEで連絡を取りあったあと、宮崎さんの自宅に遊びに行き、公園を散歩したり一緒にお酒を飲んだりする関係になった。そして事件が起こったとされる9月3日、冨田被告は自宅近くで借りたレンタカーで宮崎さんのアパートに向かった。宮崎さんと会うのは3度目だった。

「部屋でタバコを吸いながら話していると、敷布団の上に座っていた宮崎さんが突然、奇声を上げ始めました。『ギャー』とか『グァー』とか怒り狂ってるような声です。ぜんぜん意味がわからず、怖いと思いました。『大丈夫?』と声をかけましたが、まったく反応がありません。そのうち、布団に顔を押し付けるようにして泣き始めました」(冨田被告)

そのとき、部屋のインターホンが鳴った。宮崎さんは精神的に不安定になることがあり、訪問看護師が定期的に様子を見に来ていた。その日は訪問看護の日だったのだ。

「ドアの外から『大丈夫?』『体調悪いんじゃないの?』という声が聞こえてきました。宮崎さんに『出なくていいの?』と聞いても反応がありませんでしたので、(訪問看護師を)無視することにしました。あきらめて早く帰ってほしいと思いました。(「訪問看護師に見てもらう選択はなかったのか」という質問に対して)ありませんでした。親友でもないし、それほど気づかってはいません」(冨田被告)

被害者の宮崎さん。中学では卓球部に所属していた
被害者の宮崎さん。中学では卓球部に所属していた

ドアスコープを覗き、訪問看護師が帰ったことを確認した冨田被告。

「それからしばらく待っていましたが、まったく回復する様子もないので帰ることにしました。私が家を出るとき、宮崎さんは確かに生きていました(家を出たあとに)この人に関わるのはやめようと思い、LINEのアカウントを削除しました。もともと『KoeTomo』にLINEのQRコードを拡散させていたためか、知らない人からメッセージが届くことも多く、近々削除しようと考えていました」(冨田被告)

冨田被告は自宅に帰ったこの日、インターネットで「熊谷 ニュース」と検索をしていることが捜査で明らかになっている。

「なぜそのような検索をしたのか?」という弁護人の質問に対して、「宮崎さんが以前、自殺未遂をしたことがあると聞いていたので、自殺しているのではないかと心配になりました」と答えた。

冨田被告は、宮崎さんが亡くなったことはニュースで知ったと主張。
その後も「宮崎さん殺害」ニュースの続報にアクセスし続けた理由については「知っている方が亡くなったので事件の動向に興味がありました。そしてこのまま犯人が逮捕されなければ、いずれ自分のところにも警察が事情を聞きに来るだろうと思っていました」と語った。

そして‘21年10月21日、朝6時ころ、仕事に向かう途中で捜査員に身柄を拘束された冨田被告はそのまま逮捕された。

所沢署での取り調べで冨田被告は、「宮崎さんが殺害されたことはいま知りました」「9月3日、宮崎さんの家から帰るとき、宮崎さんはリビングから『じゃあね』と見送ってくれました」と公判での証言とは違う供述をしている。

取り調べと証言が食い違っている理由について冨田被告は「いきなり容疑者として扱われたことに、ショックで頭が真っ白になった。なにを言っても無駄なんだろうとヤケになってしまいました」と答えた。

弁護人の質問にははっきりと答えていた冨田被告。しかし裁判がすすみ、検察官が質問に立つと、その態度が一変した。

検察官の質問に対して無言を貫き、問いかけにも無反応。しびれを切らした検察官が「聞こえていますか?」と聞くと、「黙秘します。検察官の質問に答える気はありません。理由もありません」「あいづちしないと(質問を)続けられないんですか?」と挑発的な反応を返した。

そんな冨田被告の態度にショックを受けたのか、衝立の奥から「ウー、ウー」という宮崎さんの姉の泣き声が響き渡り、一時休廷に。
その後、冨田被告は裁判員や裁判官の質問には答えたものの、検察官の質問にはいっさい答えることなく2月24日の被告人質問は終了した。

現場となった埼玉県熊谷市のアパート。連絡が取れないことを不審に思った友人の訪問で事件が発覚した
現場となった埼玉県熊谷市のアパート。連絡が取れないことを不審に思った友人の訪問で事件が発覚した

3月2日に行われた公判において検察側は、宮崎さんのパジャマの襟から宮崎さんと冨田被告のDNAが混ざったとみられるものが検出されているほか、事件のあとLINEのアカウントを削除したり、帰り道では直進すればいいところをわざわざ遠回りするなど、冨田被告が犯人しかとらないであろう行動をとっていると指摘。その上で「窒息死するまで絞め続けた犯行態様は危険で悪質。不合理な供述に終始し、反省の情がない」として懲役10年を求刑した。

一方、弁護側は宮崎さんのパジャマの襟からは、冨田被告のものではない第三者のDNAが検出されているほか、冨田被告のDNAが付着する機会も首を絞めるときだけではないと反論。そして、「証拠がない。動機もない。ほかに犯人がいる可能性すらある。ありえません。無罪です」と主張した。

最終弁論が終わると、大きく息を吐いて被告人席に向かった冨田被告。

最終陳述では、検察官の質問を拒否した理由を「あらぬ疑いをかけたひとから、さらに疑いをかけられるのが我慢できなかった」と述べ、最後に「立派なものではなかったが、当たり前に自由だった私の人生を取り戻したい」と語った。

冨田被告は供述内容が変わったことはあったものの、逮捕時から無罪を訴え続けている。冨田被告の主張は認められるのか。判決は3月10日に下される。

冨田被告。「冤罪です」と起訴内容を真っ向から否定した
冨田被告。「冤罪です」と起訴内容を真っ向から否定した
  • 写真蓮尾真司取材・文中平良

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