<figure id="attachment_299769" aria-describedby="caption-attachment-299769" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="79fe9a16"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/AJ_Y0206.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-299769" class="wp-caption-text">震災直後に起きた大規模な火災と津波で廃墟となった宮城県気仙沼市</figcaption></figure>
３月11日で、東日本大震災が発生してから12年が経った。
しかし月日は流れても、多くの人々の記憶からは決して消えることはない。東北地方を中心に震度６強の揺れが襲い、地震の規模は日本の観測史上最大となるマグニチュード9.0を記録。震災関連死を含めると、亡くなった方や行方不明者は２万人以上にのぼるのだから。
『ＦＲＩＤＡＹ』は震災発生直後から被災地に入り、生々しい被害状況を伝えてきた。だが、凄惨な出来事ばかりではない。中には九死に一生を得た人々もいる。【<a href="https://friday.kodansha.co.jp/article/299733">前編：巨大津波から生還した70代夫婦</a>】に続き、2011年４月１日号に掲載した記事から大震災の現実をあらためて振り返りたい（内容は一部修正しています）――。
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震災直後、岩手県陸前高田市の市立第一中学校には1000人ほどの被災者がいた。同市内で梱包資材の会社を経営する40代の男性Ｂさん（当時）も、その一人だ。以下はＢさんが語った、迫りくる巨大津波の恐怖である。
「あの恐ろしい光景を、私は一生忘れません。市役所から『津波が近づいています』という放送が流れた直後、３階建ての会社のビルの２階から外を見ると、どす黒い水が激しい勢いで地面を流れて来るのが見えました。
私は慌てて屋上へ駆け上がった。屋上から周囲を見渡すと、辺り一面は材木やゴミの流れる真っ黒な水で覆われています。ゴーゴーという不気味な音とともに、水かさはどんどん増し屋上に迫ってきました」
<h2>「みんな死んでしまったのか」</h2>
<figure id="attachment_299771" aria-describedby="caption-attachment-299771" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="0a6e6586"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/TK7_5274.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-299771" class="wp-caption-text">福島県双葉町も水没した</figcaption></figure>
あまりの凄まじい光景に、Ｂさんには考える余裕がなかった。
「感じたのは濁流の激しさに対する恐怖だけです。私はとっさに屋上にあるドアの上に設置された、貯水タンクに上がりました。急いでハシゴを登り、下を見てギョッとします。津波はビル全体をのみ込み、私の足下まで水面が迫っていたのです。ハシゴを登るのがあと10秒遅れていたら、私は濁流に流されていたでしょう」
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周りに目を向けると、さらなる衝撃がＢさんを襲った。
「360度、黒い水しか見えません。すべての建物が水没していたのです。避難所に指定されていた市民会館も、完全に水の中だった……。『みんな死んでしまったのか』と、目の前が突然暗くなる思いでした」
水位の上昇はギリギリで止まったが、水はなかなか引かない。雪も降り始め耐え難い寒さに。夜になり、ようやく水位が下がったためＢさんはハシゴを下りる。
「階下へのドアを開けると、ビニール製のゴミ袋がありました。私はゴミ袋を５～６枚重ねてかぶり、破った部分から首を出してなんとか寒さを凌いだんです。何度かうとうとしましたが、サーッという水の流れる音や余震でスグに目が覚めてしまいます。
明け方、ようやくヘリコプターの音が聞こえました。私は屋上に溜まったヘドロの上に、流木で『ＳＯＳ』と書いた。昼頃になり自衛隊の隊員がヘリコプターから下りてきて、私は救助されます。ヘリコプターの窓から見えたのは、水の中に点々とする壊れた建物の残骸ばかりでした」
Ｂさんの妻と子どもは無事だったが、両親と弟は安否不明となった。避難所での取材の最後に、Ｂさんは気丈にもこう話していた。
「ずっとふさぎ込んでいる訳にもいきません。生き残った者が力を合わせます。町の再起に尽力したいと思います」
<figure id="attachment_299783" aria-describedby="caption-attachment-299783" style="width: 1661px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ae7f501a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/KB2_3451-2.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-299783" class="wp-caption-text">宮城県東松島市の小学校内に安置された遺体を前に涙を流す遺族（写真は一部加工しています）</figcaption></figure>
<figure id="attachment_299772" aria-describedby="caption-attachment-299772" style="width: 1655px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="255e7ee4"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/IMG_8012.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-299772" class="wp-caption-text">津波にのまれた宮城県仙台市。遠くでは燃料タンクから黒煙が</figcaption></figure>
<figure id="attachment_299768" aria-describedby="caption-attachment-299768" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="3352928a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/0192.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-299768" class="wp-caption-text">宮城県名取市で犠牲者の捜索にあたっていた消防隊員</figcaption></figure>
<figure id="attachment_299767" aria-describedby="caption-attachment-299767" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4468fa62"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/DSC_1313.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-299767" class="wp-caption-text">宮城県石巻市ではお墓も水没した</figcaption></figure>
<figure id="attachment_299777" aria-describedby="caption-attachment-299777" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="84298bce"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/KB2_3318.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-299777" class="wp-caption-text">破壊つくされた宮城県南三陸町</figcaption></figure>
<figure id="attachment_299778" aria-describedby="caption-attachment-299778" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9c92e75c"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/TK3_8914.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-299778" class="wp-caption-text">福島県南相馬市では約800世帯が水没</figcaption></figure>
<figure id="attachment_299779" aria-describedby="caption-attachment-299779" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="1ba62224"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/KB2_3471.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-299779" class="wp-caption-text">宮城県東松島市内を手をつないで歩く親子。大災害直後でも希望があった</figcaption></figure>

郡山総一郎　小檜山毅彦　結束武郎　幸多潤平　川柳まさ裕　嘉納愛夏　山田宏次郎　菊池雅之　小野一光

３月11日で東日本大震災が発生してから12年が経つ。多くの人にとって忘れられない記憶だろう。中には10ｍ超の巨大な津波にのみ込まれながら奇跡の生還を果たした被災者もいる。当時取材した実話を再録したい。

「どす黒い水がゴーゴーと激しい勢いで」…東日本大震災「巨大津波から40代男性を救った」一瞬の判断

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