【完全版】2000億円とも言われる遺産は誰のものに…『幸福の科学』で始まる「骨肉の争い」
絶対的なカリスマを失った後、 公称1100万人の信者を導くのは 後妻か長女か、それとも…… 長男・宏洋氏が打ち明ける「家族の内情」
「隆法は生前、『80歳まで生きる』『生涯現役』という言葉に加え、『自分が死んだら霊になって2代目総裁に指示を送る』と言っていました。そのため、遺書が残されている可能性は低いでしょう。今後は、隆法の遺産、そして教団の継承権を巡って骨肉の争いが始まると思います」
3月2日、宗教法人『幸福の科学』の大川隆法総裁(享年66)が亡くなったことが明らかになった。隆法氏の長男でありながら’17年に教団と決別し、現在は「カルト宗教から国民を守る党」の代表として活動する宏洋(ひろし)氏(34)は、父の死について淡々とした口調でそう語った。
’56年に徳島県に生まれた隆法氏は、東大学法学部を卒業後、商社勤務を経て’81年に「エル・カンターレ」(地球神)であることを自覚したという。’86年に『幸福の科学』を設立し、教団の公称によると現在の信者数は1100万人にも及ぶ。
隆法氏は’88年に結婚した前妻のきょう子氏(57、東大卒)と’12年に離婚した後、自身の秘書だった29歳年下の紫央(しお)氏(現・総裁補佐、早大卒)と再婚。きょう子氏との間には長男・宏洋(青学卒)、長女・咲也加(さやか)(’91年生、お茶の水女子大卒)、次男・真輝(まさき)(’93年生、早大卒)、三男・裕太(’95年生、東大卒)、次女・愛理沙(ありさ)(’97年生、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ卒)の5人の子供がいる。
全世界700ヵ所以上に支部を持つとされる教団の総資産は2000億円にも上ると報じられているだけに、隆法氏の個人資産も莫大なものである可能性は高い。宏洋氏が言うとおり遺書がないとすれば、後妻と5人の子供たちで分け合うことになるが……。
「隆法の個人資産については、正直、正確なことはわかりません。ただ、私が教団にいた’16年頃には、総裁の年収が5億円と記載された書類を見たことがあります。法定相続に従えば、財産は後妻の紫央さんが半分、残りの半分を子供5人で分けることになる。ただ、隆法の資産を管理しているであろう宗務本部の秘書がすんなりと情報を出すかはわかりませんし、親族同士で法廷闘争になっても何ら不思議ではありません。
長女と次男については私から『隆法死んだけど、どうする?』とLINEを入れましたが、現時点で返事は来ていない。韓国に亡命しているとされる三男と脱会している次女については、連絡先すらわからない状況です。ただ私としては、主張すべきところはして、もらえるものは全部受け取るつもりです」(宏洋氏)
相続争いと同じく注目を集めているのが、教団の新たなトップは誰になるのか、ということだ。教団内部の状況について、『幸福の科学』に詳しいジャーナリストの藤倉善郎氏はこう語る。
「’00年代の最盛期で信者数は約3万人だったとされているため、現在の数字はそれよりも少ない数だと推察されます。現状について現役信者から漏れてくる話では、教団内では『総裁の復活を信じて祈る』という方向になっているようです。そのため、隆法氏の死後、全国にある教団の大規模施設『正心館』に行った人たちも、悲しみに暮れているという雰囲気は感じないと言っています。隆法氏がどういった形で復活するのかについては、今のところわかっていません」
霊言ができるのは誰か
今後の後継選びは後妻で総裁補佐の紫央氏と長女の咲也加氏を中心に進んでいくとみられる。なぜ、他の子供たちは後継候補として挙がっていないのか。宏洋氏が大川家と教団の歴史を明かす。
「まず、私の母であるきょう子さんが10年ほど前に離婚し、教団を出ました。両親の仲が悪くなったのは、私の中学受験の頃からだったと思います。隆法もきょう子さんも東大出身ですから、二人の息子である私は『1000年に一人の天才』だと思っていたようです。ただ、私は出来が良くなく、中学受験に失敗。そこから口論が絶えなくなり、離婚に至ったと記憶しています」
離婚後、隆法氏はすぐに秘書だった紫央さんと再婚した。
「もともと教団は、隆法の隆法による隆法のためのものでしたが、実務面を取り仕切っていたきょう子さんが去ったことでそれがますます顕著になった。教団運営について口を出されるのが疎ましくなったのか、’17年に私は要職を外されました。そして、私の後に次期後継者として長女の咲也加が指名されると、次男・三男・次女も次々と左遷されていった。おそらく、長女の地位を盤石にするためのものだったのでしょう。それまで、弟や妹たちは、神や歴史上の偉人の生まれ変わりとされていましたが、皆、河童やら妖怪やらに格下げされていましたね」
では、後継者は長女の咲也加氏で決まりなのかと言えば、そうは言い切れないようだ。
「隆法氏の死去直前の2月26日、咲也加氏は副理事長というポジションから左遷されたとの情報が流れたのです。実際、咲也加氏のプロフィールは教団ホームページからも削除されています。咲也加氏はもともと、『天照大神』の生まれ変わりとされていましたが、実は『妖怪おたふく』だったとする隆法氏の霊言(れいげん)が発表されたと聞きます」(前出・藤倉氏)
今後は、総裁補佐の紫央氏と咲也加氏の間で教団が二分される可能性もあると、宏洋氏は予想する。
「私の見立てでは、信者の人望があるのは咲也加のほうだと思います。何と言っても実の子供ですし、長く次期後継者としてやってきていましたからね。左遷されたとはいえ、紫央さんが後を継ぐことになれば絶対に咲也加も黙っていないでしょう。紫央さんから離れ、咲也加が分派を作る可能性も十分にあると思います」
後継者を決める上で、重要なポイントになるとみられているのが「霊言」だ。宏洋氏が続ける。
「『霊言』こそが『幸福の科学』の根幹です。もともとそこから始まった宗教ですから。ただ、私の知る限りでは、隆法から『霊言』の免許を授けられたのは、私と三男の二人だけです。私は大学4年生頃に免許を授けられた。あるとき、300人ほどの信者を前にした隆法が急に、『今日は宏洋が空海の霊言をやります』と言い出したんです。私はいつも隆法の『霊言』のインタビューをしていたので、見様見真似で『空海です』と挨拶した。すると隆法が、『これは入ってます。できてます』と。
しかし、紫央さんも咲也加も『霊言』の免許は受けていないはず。『霊言』なくしては『幸福の科学』は成り立たない。そのため、どちらが教団を継ぐことになるにせよ、信者は次第に離れていくと私は見ています」
今後、「1100万人」の信者を導くのは後妻か長女か、それとも……。骨肉の争いが始まろうとしている。
『FRIDAY』2023年3月24日号より
- PHOTO:小川内孝行(宏洋氏)