過去には「東アニ」も達成 当たれば一気に上がる「10倍株《テンバガー銘柄》」厳選20

誰もが憧れる″億り人″（資産１億円超え）の暮らし。貯金だけでは何十年もかかるとなると、気が遠くなる。

一方、アッという間に資産１億円を達成した人の多くには共通点がある。株式投資で「テンバガー銘柄」を引き当てているのだ。

テンバガーとは、テン（数字の10）にバガー（野球の「塁打」のスラング）を組み合わせた造語で、そのまま訳せば「10塁打」という意味。投資家は「株価が10倍になりそうな銘柄」をテンバガー銘柄と呼んでいる。

ここ最近では、アニメ制作会社の「東映アニメーション」や、『いきなり！ステーキ』などのチェーンを運営する「ペッパーフードサービス」の株価が10倍以上にハネ上がった。どういった仕組みで株価が急騰するのか、マーケットアドバイザーの天野秀夫氏が解説する。

「ＩＰＯ（新規上場）して日が浅く、時価総額が小さい銘柄がひとつの条件です。機関投資家や海外ファンドが巨額の投資を行うことで一気に株価が上昇し、個人投資家が追随して買うことで、短期間で５倍、10倍になっていきます」

この条件に当てはまる、今イチオシの「10倍株」候補はどれか。金融トレーダーのウルフ村田氏は言う。

「’22年12月に新規上場したスマートドライブがスゴいことになるかもしれません。自動車の走行データ分析サービス会社で、今年４月から完全自動運転である『レベル４』の公道走行が解禁になります。走行距離などのデータを可視化できる同社のシステムは自動運転社会で重要な役割を果たします。’23年３月期の決算は赤字予想ですが、黒字転換が見えてきています」

いきなり株価が激変するのが、バイオ（創薬）分野とゲーム開発だ。経済ジャーナリストで雨宮総研代表の雨宮京子氏はこう語る。

「難病や多くの患者がいる疾患の新薬を開発するバイオは、実用化が近づくと一気に株価が伸びます。たとえばメディシノバはアルコールや覚醒剤の依存症治療薬を開発中です。同社は新型コロナウイルスの後遺症の治療薬も開発中で、こちらはカナダ政府の資金援助を受けている。いずれも市場は大きく、ひとつでも実用化されれば株価に影響し、テンバガー銘柄になるかもしれません」

ゲーム開発も、１タイトル当たると企業名が一気に知れ渡り、大量の投資マネーが集まる。昨年の例では、スマホゲームメーカー「バンク・オブ・イノベーション」が挙げられる。『メメントモリ』がヒットすると、同社の株価が３０００円台→１万５０００円台と、わずか半月で５倍になった。経済ジャーナリストの和島英樹氏は次の銘柄を挙げる。

「ゲーム会社のエディアを推します。ゲームソフトからＮＦＴ（代替不可能なデジタルデータ）まで、多角的に展開しているのが同社の強みです。ＮＦＴメーカーと業務提携を結んで展開予定の『私立好（すき）ヶ丘女子高等学校　てづくりアイドル事務所』は、最新鋭の技術をミックスさせたコンテンツになりそうです」

テンバガー銘柄は、当たるかどうか不透明な要素も多い。「安定志向」と株価爆騰を両にらみするなら、すでに市場で広いシェアを持っている企業を狙おう。フェアトレード代表の西村剛氏は次の２銘柄を挙げる。

「ラーメンチェーン『一風堂』を展開する、力の源（もと）ホールディングスに期待です。ポイントは海外展開で、近い将来国内売り上げを上回ると見られます。客単価の高い海外に進出しているラーメンチェーンは少なく、まだまだ伸びしろがある。時価総額10倍になる可能性は十分に考えられます。もうひとつの銘柄は、広済堂（こうさいどう）ホールディングス。もともとは印刷会社ですが、グループ企業で『東京博善（はくぜん）』が稼ぎ頭。品川区の『桐ヶ谷斎場』など都内の大規模葬儀場６ヵ所を保有し、マーケットを掌握しています。新規参入が難しいため、さらに化けるでしょう」

まだ注目されていない企業か、次の市場を独占する準備をしている企業。テンバガーを達成する銘柄はこのどちらかだ。

『FRIDAY』2023年3月24日号より