イタリア撃破!「世界制覇」に向けてまっしぐら!大谷翔平&ヌートバーが「WBC伝説」を塗り替える
ニッポンの進撃に列島が沸いている。3大会ぶりの世界制覇に向けて、チームをグイグイ引っ張るのは二人の侍。ひとりは、初の日系人代表にして切り込み隊長のラーズ・ヌートバー(25)だ。
昨季の打率は.228。招聘には疑問の声も上がったが、メジャー取材歴30年のスポーツライター・友成那智氏は「彼こそ日本代表に欠けていたピース」と断言する。
「打率が低いのは、シーズン中盤から急成長したから。早打ちせず失投をじっくり待つタイプで出塁率が高い。短期決戦にはうってつけです。パワーも申し分なく、昨季後半の長打率は大谷翔平(28)を凌ぐ8打席に1本ペース。特筆すべきは守備力で、8月以降、彼の守備でカージナルスは4点も防いでいる。ダイビングキャッチの名手なのは、1次ラウンドで証明済みですね。強肩で送球も正確。内野経由の捕殺が6つもあります。弱肩&守備範囲の狭い近藤健介(29)と吉田正尚(29)の外野陣が侍ジャパンのウイークポイントでしたが、ヌートバーがセンターに入ることで解消されました」
研究熱心で、鳴り物を使った日本式の応援を来日前に予習。「東京ドームの応援は自分に合っている。楽しい!」とノリノリのヌートバーは打率.429、出塁率.579と1次ラウンドで無双状態だった。
「速球の空振り率は5%と滅法強いのですが、カーブ、チェンジアップなどタイミングを外すボールは空振り率40%。あまり手を出しません。準決勝以降に当たるであろうアメリカやドミニカの先発には剛速球主体のパワーピッチャーがほぼいない。これがどう出るか」(友成氏)
そんな一抹の不安を払拭するのが大谷だ。1次ラウンドで打率5割8打点、1勝と無双だったが、筑波大学准教授の川村卓氏は「まだ調整段階」だと見ている。
「うまくバットが出ておらず、引っ張り気味で打球に角度が付いていない。ただこれは、ここまで実戦が少なく、生きた球を打てていないから。準決勝以降に照準を合わせ、徐々に調子を上げていっているのかもしれません。目に留まったのは、スイングがさらに縦振りになっていること。準決勝以降、メジャーで投げているピッチャーと相対すると、低めに落ち気味のボールがたくさんくるようになります。そのときにこの大谷選手のバッティングが光るはずです」
投手・大谷は順調にきているという。
「1次ラウンドの中国戦で多投していた横滑りするスライダー、いわゆる″抜けカット″は打者にとって非常に怖いボールです。スピードがあって、右打者からすると自分に向かってくると思いきや急激に曲がる。左打者にはボール球に見えて、ギュッとストライクゾーンに入っている。捉えるのは容易ではない」(川村氏)
全スタッフに自分から挨拶。ピストルポーズなどオーバーアクションで「翔平がアメリカナイズされてる!」とチームを和ませながら調整を進め、ここぞの場面で超一流の仕事をする。その姿はWBC連覇の立て役者、イチロー(49)と重なる。伝説が塗り替えられようとしている。
『FRIDAY』2023年3月31日・4月7日号より
- PHOTO:Getty Imagesロイター/アフロ(2枚目)