「タメ口で『違う！』と怒鳴られて…」日本人が空港の外国人対応に感じた「おもてなしの国」への違和感

「私が日本パスポートレーンに並んでいたら、職員さんがわざわざ走ってきて。タメ口で『違う！』と怒ってきてびっくりしました」

そう語るのは、アメリカ人の父親と日本人の母親の元に生まれたあんなさん（28）だ。日本にいた時間が長く、日本国籍であり最初に覚えた言葉も日本語だという。あんなさんはこの日、日本に帰国するために空港で入国審査を受けていた。

「『違う！』と強い口調で言われた時、職員さんは明らかに怒っていました。外国人列と日本人列は分かれているのですが、その日は日本人の列が空いていました。案内板がわかりにくいため、空いている日本人列に並ぶ外国人が多かったようです。それで職員は『なぜわからないんだ！』とイライラしていたのでしょう。でも、私は日本のパスポートを手に持っているのに、見た目だけで言葉の通じない外国人扱いをされて、乱暴に扱われました」

あんなさんは濃いめの顔立ちで、確かに日本人には少ないタイプの外見かもしれない。しかし、日本人としてのアイデンティティーを持っているにもかかわらず、日本人から排除されるような対応を受けるたびに嫌な気持ちになるという。そのことをTwitterで発信すると、1万以上の「いいね」がついた。

「入国するために空港で4回も『日本人です』と言わなきゃいけなかった。『外国人ですか？』と聞かれることもなく、私に確認する前に外国人の列に案内されました。顔だけで国籍を判断されるのはとても不愉快でした」

「おもてなし」の文化を誇る日本。実は、多くの外国人が空港でとんでもない経験をしている。あんなさんが続ける。

「外国の方のリュックが当たって、列のパーテーションが外れてしまい、それを彼が一生懸命に直そうとしていたんです。すると、職員が『いいから触らないで！』といきなり怒り口調で彼からパーテーションをグイッと取った。彼らが日本に降り立って初めて日本人と触れ合う機会だったかもしれないのに、このような対応をされているのを見て悲しくなりました」

外国人への雑な扱いはこれで終わらなかった。荷物を受け取る際にも「差別」を感じたという。

「荷物を受け取る場所には『検疫探知犬』がいます。家畜伝染病予防の観点から、海外から日本への肉製品の持ち込みは禁止されている。しかしこっそり持って入国する人がいるため、検疫探知犬はいつもランダムで荷物の匂い検査をしています。

私はその日、フィリピンのマニラから入国していて、同じ便にフィリピン人の方がたくさん乗っていました。フィリピンからの入国者に肉製品の違法持ち込みが多発していたからなのか、入国検査の出口には検疫探知犬が待ち構え、一人ずつ検査していました。それも、『あなたたち絶対また黙って持ち込もうとしているでしょ』と決めつけているように感じて、モヤッとした気持ちになりました」

また、日本人には敬語で丁寧に接し、外国人には命令口調で話す職員が多いことにも違和感を覚えたという。

「ワクチン接種証明を確認する窓口で、強い口調の英語で説明されていたんですが、私が日本人とわかった瞬間に『そうでしたか。大変失礼いたしました。こちらは…』と、明らかに態度を改めて丁寧に説明してくれました。私がたまたま日本人に見えなかったから、空港で外国人の方たちが雑な対応を受けている実態がわかりました。これが『おもてなし』の国のあるべき姿とはとても思えません」

「おもてなし」の心があるはずの日本人は、どうしてこのような対応をとるのか。

「意識の面もあるかもしれませんが、そもそも英語のマニュアルに問題があります。日本語だと『こちらからお並びください』なのに、英語だと『Get in line』（列に並べ）。英語ができなくても、please（どうぞ）をつけるだけでだいぶ柔らかくなるのに、それをマニュアルにしない空港に問題があると思います。後で聞いた話ですが、空港の職員は非正規雇用率がとても高く、その中でも人種差別に関連する研修などは全く行われていないとのこと。『国の入り口』としてそのような教育が行われていないことに驚きました」

ポストコロナ期を迎え、海外からの観光客が増えることは予想されている。日本に訪れることを楽しみにしている人々に、最高のおもてなしを提供できるのか。