ツッコミどころがないのが物足りない…『舞いあがれ!』と『ちむどんどん』に明暗の決定的な差 | FRIDAYデジタル

ツッコミどころがないのが物足りない…『舞いあがれ!』と『ちむどんどん』に明暗の決定的な差

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’22年12月に『FRIDAY』の取材に応えた福原
’22年12月に『FRIDAY』の取材に応えた福原

終盤に突入し、『ちむどんどん』との差がハッキリ開いてきた……。現在放送中のNHK朝ドラ『舞いあがれ!』だ。

物語は、東大阪に生まれ育った主人公の岩倉舞(福原遥・24)が、パイロットになる夢を経て、東大阪の町工場をつなぐ会社を立ち上げ、人と未来をつないでいくというもの。舞は終始一生懸命で誠実で礼儀正しく、申し分のないヒロイン。演じる福原遥も、業界内で「めちゃくちゃいい子」と評判なだけあって、舞のキャラクターにぴったりとハマっている。炎上要素が見当たらないだけに、朝ドラファンも離れることなく見続けているだろう……、と思ったらどうやら事情は違うようだ。

テレビ誌の編集者は次のように語っている。

「残念ながら、終盤に差し掛かって視聴率が下がっているのです。それも、主人公が年をとってどんどん話が暗くなっていくわけでもなければ、物語の動きがなくなりダレているというわけでもない。舞ちゃんはかわいいし、登場する役者さんたちも皆好感が持てる。なのになぜか盛り上がっていないんです」

「反省会」するためにドラマ視聴

『ちむどんどん』でヒロインを演じた黒島結菜(右)。左は当時交際していた高良健吾。’20年6月撮影
『ちむどんどん』でヒロインを演じた黒島結菜(右)。左は当時交際していた高良健吾。’20年6月撮影

その理由は一体何なのか。気になり、ドラマ事情に詳しい記者たちに取材をおこなったところ、見えてきたのは良くも悪くも前期の朝ドラ『ちむどんどん』との差だった。

「要するに、『舞いあがれ!』は優等生すぎて引っ掛かり要素がないんです。沖縄出身の主人公が料理を通じて成長していく様を描いた『ちむどんどん』は、主人公の身勝手さ、周囲の人たちの倫理観のなさ、そして脚本のつじつまの合わなさなど、とにかくツッコミどころが多かった。

それゆえ皆、ひと言物申したくてたまらず、『ちむどんどん反省会』なるハッシュタグまで生まれました。これが結果的に、終盤の視聴率上昇につながった。文句を書き込むには作品を見る必要がありますからね(笑)

でも『舞いあがれ!』は、めちゃくちゃ共感できて面白いというほどでもなければ、これはあり得ない!というところもない。朝ドラというのは半年という長きにわたって放送されるだけに、良くも悪くも引っ掛かる軸がないと視聴者をキープできません。その戦略においては、『ちむどんどん』のほうが上手かったと言わざるを得ないでしょう」(芸能ライター)

もう一つ、主人公の夢の一貫性のなさを挙げる記者たちも多かった。

「当初、舞は空に憧れて大学の人力飛行サークルに入りますが、そこから旅客機を飛ばしたいと航空学校に入学。厳しい訓練を経て見事パイロットの資格をとります。ところがここから急に、別の物語になる。父が亡くなり実家のネジ製造会社が潰れそうになると、あっさり航空会社の内定を辞退して、会社を継いだ母のサポートをし始める。

それがようやく軌道に乗ってくると、今度は東大阪の町工場を救いたいと、新たに自分の会社を立ち上げまた奮闘……。となるわけですが、こうなってくるともう、最初の夢は何だったのかよく分からなくなってしまいます」(コラムニスト)

実際ネット上には、『航空学校時代をあそこまで長々描く必要あった?』という疑問が飛び交っている。

「その点『ちむどんどん』は、主人公の料理で人を幸せにするという夢は終始一貫していた。だからこそ主人公のキャラがいい意味で『悪目立ち』し、視聴者を離さなかったんだと思います。何がどう転ぶか、本当に分からないものですね」(同前)

物語は残すところあと2週。駆け足にはなりそうだが、舞は再び空への憧れを再燃させ、新たな夢へと動き出すようだ。ラストスパートに期待したい。

’21年5月。2年ぶりのファンイベントに参加した福原。子役時代から人気だったが大人の女性に……
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東大阪の町工場で働く夫を支える妻役の永作博美(右)。左は本当の夫の映像作家の内藤まろ氏。’21年5月撮影
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  • PHOTO加藤 慶 島 颯太 西原 秀 原 一平
  • 取材・文奈々子

奈々子

愛媛県出身。放送局勤務を経てフリーライターに。タレントのインタビュー、流行事象の分析記事を専門としており、連ドラ、話題の邦画のチェックは欠かさない。雑誌業界では有名な美人ライター

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