<figure id="attachment_303003" aria-describedby="caption-attachment-303003" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5372cb9e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/190409Suz_206a.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-303003" class="wp-caption-text">スタジオ、野外ロケ…タレントの周囲にはADやディレクター、助監督など大勢のスタッフがいる（※写真はイメージで本文とは関係ありません）</figcaption></figure>
「春からは、介護業界で働きます」
世の中は、卒業シーズン。新たな旅立ちといえば聞こえはいいが、テレビ業界の場合、「卒業」は「クビ」を意味することが多い。そして、この春――そんなテレビ業界にある異変が起きているという。
「ちょっと前までテレビ業界は人材難でした。特に人材不足だったのがディレクターです。マンガやドラマで過酷な労働状況を描かれていた影響もあってか、なり手が少なく、離職率も高かった。各局、ディレクターの確保に四苦八苦していました。しかし、ここへきて30代の女性ディレクターが次々とテレビ局から“卒業”しているのです。クビというケースもあれば、自ら転職するという人もいます」（制作会社プロデューサー）
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2～3年前まで、テレビ局はクライアントが喜ぶ女性視聴者の獲得に必死になっていた。そのため、どの局でも「女性の気持ちがわかる女性ディレクター」が重宝されていたはずだが…一体何が起きているのか？
「まず背景に、テレビ業界でもっともキツい職種だったAD（アシスタント・ディレクター）の地位向上があります。ADといえば、ディレクターのもとでパシリのようにコキ使われ、徹夜続きで何日も家に帰れない……そんなイメージが定着していると思います。ただ、それは昔の話。令和のADは違うんですよ。働き方改革の影響で、若者に長時間労働を課すことができなくなって状況は一変しました。
短時間働いて、ディレクターより先に帰宅するADがほとんどじゃないでしょうか。大学生のバイトADも増えました。昔は忙しくてADはほぼスッピン、髪はボサボサ。『ワキ毛の処理をする時間もない』と嘆く人が散見されましたが、今はきっちりメイクしているし、ネイルもしている。怒鳴ったり、無理な注文をするパワハラディレクターたちは淘汰されており、実は労働環境はとてもいいんです」（民放ディレクター）
<figure id="attachment_303004" aria-describedby="caption-attachment-303004" style="width: 3000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f3bf1b2a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/DSC00437.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-303004" class="wp-caption-text">スタジオ、野外ロケ…タレントの周囲にはADやディレクター、助監督など大勢のスタッフがいる※写真はイメージで本文とは関係ありません</figcaption></figure>
<div data-friday-nextpage-lead="ベテランが労働強化されただけ"></div>
いま、ADの8割が女性だと言われている。しかも、「ディレクターを目指しているのではなく、ジャニーズに会いたくてADをやる子たちが増えている」とキー局プロデューサーは嘆く。おしゃれをしてテレビ局に行き、電車がある時間帯に帰宅する。運が良ければ推しのタレントやアイドルにも会える……という魅力的な仕事になっているのだ。
「若いADに仕事を振れない分、30代以上のディレクターやプロデューサーの負担が増しているのです。彼らがADがやり残した仕事を抱えさせられ、疲弊しています」（制作会社関係者）
さらにテレビ局側がうまく人材を生かせていない実情も拍車をかけている。この春、民放を去った二人の女性ディレクターの話を紹介する。いずれも30代の女性だ。
「情報番組では『今、これが流行ってるの？』などと男性プロデューサーが女性スタッフに聞くことが多いのですが、私にはほとんど話が振られなかった（苦笑）。おしゃれな20代ADの“流行っている、流行っていない”ジャッジが番組に反映されていました。面白くないから不貞腐（ふてくさ）れていたら、この春、“卒業”させられちゃいました」（女性ディレクターＡ）
「私は制作会社から局に派遣されていたのですが、局のプロデューサーから『もうちょっと若い子がいいな』と言われて制作会社に戻されました。それがショックで年齢コンプレックスになって、自分より上の年代の人たちが働いている介護業界に転職することにしました」（女性ディレクターＢ）
コア視聴率（13~49歳男女の個人視聴率のこと）重視にともない、各局が「若年層の掘り起こし」に躍起になっている。そんななか数多くいる「20代のAD」の声を反映していこうということなのだろう。しかし、結果として30代のディレクターの意見は生かされず、労働負担ばかりが増える…という事態に陥っているようだ。そしてある女性ディレクターはそんな労働環境に耐えかねて、自ら“卒業”。またある女性ディレクターが不満を訴えると「若い女性ADは沢山いるから、卒業させちゃおう」とクビに…。それが怪現象の正体のようだった。
<figure id="attachment_303006" aria-describedby="caption-attachment-303006" style="width: 1386px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="60d215d0"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/TZ4_9639.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-303006" class="wp-caption-text">スタジオ、野外ロケ…タレントの周囲にはADやディレクター、助監督など大勢のスタッフがいる※写真はイメージで本文とは関係ありません</figcaption></figure>

15年以上、テレビとラジオの世界を漂流している放送作家

愛田プリン

原一平、近藤裕介、結束武郎

かつて必死になってテレビ局がかき集めていた30代女性ディレクターが次々とクビを切られている。取材を進めるとその意外な理由が判明した

「30代女性ディレクター」が続々クビなのに若いＡＤはリア充…テレビ業界の怪現象のワケ

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