佳子さま&眞子さんは「標準手話」で上品に「話される」が…「手話」が必要な本当の理由 | FRIDAYデジタル

佳子さま&眞子さんは「標準手話」で上品に「話される」が…「手話」が必要な本当の理由

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手話がお得意な佳子さま。昨年の全国高校生手話パフォーマンス甲子園の開会式でも、手話を交えてあいさつをした PHOTO:共同通信
手話がお得意な佳子さま。昨年の全国高校生手話パフォーマンス甲子園の開会式でも、手話を交えてあいさつをした PHOTO:共同通信

皇室の手話は丁寧で、声でお話しされているときと同じです

秋篠宮家の次女、佳子さまのご公務が盛んだ。なかでも「手話」に関するお出ましに注目が集まっている。手話を語る手の動きの美しさも目を引く。

全日本ろうあ連盟の非常勤嘱託職員に就任し、「全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」などで手話を披露されている佳子さま。結婚前には眞子さんが同コンテストに出席され、やはり手話で挨拶をしていた。

「眞子さんの手話も、佳子さまの手話も一つ一つの動作が丁寧で、スピードも速くない。声でお話しされるときも、ゆったり話されるそうですが、手話も、まさにそんな感じです」

こう「話す」のは、全国手話研修センター手話言語研究所・事務局長の大杉豊先生。大杉先生自身、耳が聞こえない「ろう者」だ。この取材は、大杉先生が教授を務める筑波技術大学に勤める手話通訳士に入ってもらって行われた。こちらの質問に答える2人を見ていると、確かにやりとりが速い。

「若い人たちが新しい言葉を作るのと同じようにこの大学でも学生たちは新しい手話を作ります。スピードも速くて、学生たちがやりとりしているのを見て、私がわからないときもあります」

そんな日常の手話に対して、眞子さん、佳子さまの手話は、

「上品で、皇室の手話という感じです」

TVに字幕が多くつけられるようになったのは

「紀子さまも、手話でろう者とコミュニケーションをとってくださいます。皇室の方が手話をされるのを見るのは、とてもうれしい。手話に対して理解していただいていると、たいへん心強く、温かい気持ちになります」

今や政見放送などで手話通訳がつくことは当たり前だし、皇室の方の手話を見る機会も多い。しかし、政見放送で手話通訳がついたり、テレビに字幕が多く出るようになったのは’95年に起こった阪神淡路大震災後のことだという。

「あのときろう者はテレビ放送で情報を得る手段がありませんでした。それで困ってろう者の団体が要望を出すなど取り組んだ結果、字幕が多くつけられるようになり、手話放送も増えてきたのです。主に標準手話が使われていて、広まりやすくなっていますね」

標準手話とは、NHKのアナウンサーが話している日本語の手話版といったものか。皇室の方々が使っているのも標準手話だという。

ろう学校では手話を教えない

「じつは手話は地域によって様々なのです。また、学生たちが新しい手話を作っていくように、年代によって使う手話が違う例が多くて、以前はろう者同士でも手話が違って通じないこともたびたびありました。それで1969年に全日本ろうあ連盟が全国から委員を集めて、全国共通の手話を作り始めたのが標準手話です」

日本で手話が生まれたのは1878年ごろだと言われている。京都にろう学校ができて、先生と子どもたちが身振りで話すなかで少しずつ作られていったという。

標準手話を作る取り組みが始まったのが1969年。それがどうして手話放送が始まってから広まりやすくなったのか。

「全国各地の手話講習会や手話サークルで標準手話が広められてきましたから、手話放送がそれに拍車をかけたということでしょうか。しかし、聞こえない子どもと標準手話のつながりがまだ弱いです。公立のろう学校では手話を教科として教えてはいません。多くのろう学校では生徒数の減少もあり、先輩から後輩に手話が伝承する、または同級生どうし手話で話す機会が乏しくなっています。そのため子どもたちが標準手話に触れる機会が少ない現状が続いています」

卒業後、または放課後のデイサービス事業などで、子どもたちは多くの人と交流するなかで標準手話を知り、使うようになるのだとか。

「ですから、皇室の方々が標準手話を使ってくださることは、本当にありがたい。最近は主人公が手話を使うテレビドラマもあり、手話を習う若い人が増えているそうです。手話に対する理解が深まることを願っています」

手話はろう者の言語だと大杉先生は言う。

取材前は、どのようにやりとりをすればいいのか、どこまでスムーズに「話ができる」か不安だったが、手話通訳してもらうと、ふつうに話しているのと同じコミュニケーションができた。

「聞こえる子どもたちは、義務教育のなかで日本語を勉強する機会が与えられているのに、ろうの子どもたちは国語を学ぶように、義務教育で手話言語を学ぶ機会はありません。そんなことも知っていただけたらと思います」

ドラマや映画でも取り上げられ、「手話ブーム」ともいわれる。が、まだまだ知らないことが多い。皇室の女性たちが、手話を積極的に使うことが果たす役割は大きいのだ。手話の本当の役割を知ると、ブームで終わらせることなく、手話がもっともっと広がることを願わずにいられない。

  • 取材・文中川いづみPHOTO共同通信

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