岸田首相は戦地ウクライナを目指す。キーウ「電撃訪問」の舞台裏 | FRIDAYデジタル

岸田首相は戦地ウクライナを目指す。キーウ「電撃訪問」の舞台裏

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19日、インドに向けて出発した岸田首相。このとき、ウクライナ訪問が秘密裏に計画されていた PHOTO:共同通信
19日、インドに向けて出発した岸田首相。このとき、ウクライナ訪問が秘密裏に計画されていた PHOTO:共同通信

21日、インド訪問から帰国の途に着くはずだった岸田文雄首相を乗せた航空機は、進路を変更してポーランドに向かった。

日本時間3月21日午前9時半、岸田首相はポーランドの南東部にあるウクライナとの国境の町、プシェミシルの鉄道駅から列車に乗り換え、現在、ウクライナの首都キーウを目指して進んでいる。

羽田からインド・ニューデリーのパラム空軍基地へ向かう際に使用した政府専用機から乗り換えたチャーター機でインドを離陸した直後、官邸と外務省に入った緊迫の一報は次のようなものだったと外務省首脳周辺が明かした。

「『政府機』は無事に離陸しました。総理は硬い表情で、唇はかすかに震えていたように見えます」

ごく少数の官邸スタッフと外務省数人のみで練り上げられたウクライナ訪問計画はついに実行されたのである。

2022年4月、イギリスのジョンソン首相(当時)がキーウを電撃訪問。5月にはカナダのトルドー首相。その後、フランス、ドイツ、イタリアと、欧州3ヵ国首脳の訪問が続いた。そして、今年2月20日、アメリカのバイデン大統領が事前の公式予告がないままウクライナ入り。ゼレンスキー大統領と会談を行った。岸田首相が怒りを爆発させたのはこの直後だった。

「広島サミット前に必ずキーウを訪問する。岸田政権として、ウクライナを訪問しないわけにはいかないんだ」

外務省から出向している大鶴哲也首相秘書官にそう厳命したその日から、外務次官を筆頭に関係部署のごく限られた人員によって極秘のウクライナ電撃訪問計画は練られていったという。ある政府幹部が言った。

「岸田首相のウクライナ訪問は、『ミッションインポッシブル』だった。外務省は二言目には不可能だ不可能だと。しかし、大鶴秘書官ほか岸田周辺から、国会への働きかけが水面下で極秘に進められました。バイデン大統領のウクライナ訪問直後、立憲民主党の安住淳国対委員長が、岸田首相のウクライナ訪問の場合、国会へは『事後報告』になることを許容するとの理解を得られた。一方、外務省は『戦場となっているウクライナは、渡航危険レベル4の退避勧告』としているため、そこに首相を行かせるわけにはいかないと難色を示していたんだ」

国民に対して、ウクライナへ渡航しないよう最高レベルの注意喚起をしている。しかし、そうしたなかでも、タレントのデヴィ夫人など民間レベルのウクライナ支援は間断なく続けられていた。各国首脳はつぎつぎと訪問をしていく。首相は焦っていた。先進国首脳としてしんがりとなったが、今日、やっとウクライナ入りを果たすことができそうだ。

悲願の「広島サミット成功」のために

岸田首相は、地元で開催される広島サミットには、韓国、インド、オーストラリア、インドネシア、クック諸島、コモロ、ブラジル、ベトナム各国首脳ほか、国連、世界銀行、国際通貨基金(=IMF)、経済協力開発機構(=OECD)、国際エネルギー機関(=IEA)、世界保健機関(=WHO)、世界貿易機関(=WTO)の長を招待すると表明している。

「岸田首相はG7議長として、状況が許せば、ゼレンスキー大統領をサミットに招待したい考えです」(官邸スタッフ)

もし実現すれば、「外交の岸田」を標榜し、G7の議長国でもある岸田首相の面目躍如であろう。防衛省幹部が言う。

「首相とその近辺では、中国の習近平主席がロシアを訪問するとき、戦況は一時的にエアポケットとなって、多少なりとも安全度が高まると分析した」

外務省幹部も言う。

「習近平主席がゼレンスキー大統領とオンラインで会談する前に、なんとしても岸田ゼレンスキー会談を実現させなければならなかったんです」

G7首脳では最後となる戦地ウクライナ訪問を、今まさに「目指して」いる岸田首相。順番は遅かったが、戦況が硬直化して先が見えなくなっているこの時期に、果敢に戦場に赴いた岸田外交は世界から評価されるかもしれない。岸田首相には、ウクライナ訪問にとどまらず、中国と協調しながらロシアに出向いてプーチン大統領とも会談を行い、強い信念で戦争終結を交渉、世界平和に尽力することを期待したい。実現の前に情報が流れてしまった「電撃」訪問だが、日本の存在感を示す大きな機会を、まずは無事にやり遂げることを祈っている。

5月19日から開催されるG7サミットに向け、地元広島は盛り上がっている。市内のあちこちで見られるポスターには「オール広島でおもてなし」の文字が
5月19日から開催されるG7サミットに向け、地元広島は盛り上がっている。市内のあちこちで見られるポスターには「オール広島でおもてなし」の文字が
チラシには、外相時代の岸田首相の姿も
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  • 取材・文岩城周太郎PHOTO共同通信

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