「身を粉にしてヌートバーを仲間にした」14年ぶり世界一に輝いた大谷翔平が示した「本当の献身」 | FRIDAYデジタル

「身を粉にしてヌートバーを仲間にした」14年ぶり世界一に輝いた大谷翔平が示した「本当の献身」

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優勝が決まった瞬間、絶叫に近い雄たけびをあげ、喜びを爆発させた大谷翔平(写真:アフロ)
優勝が決まった瞬間、絶叫に近い雄たけびをあげ、喜びを爆発させた大谷翔平(写真:アフロ)

野球の世界一を決めるワールド・ベースボール・クラシック(以下、WBC)で2009年以来の優勝を目指す日本代表は22日、決勝でアメリカ代表と対戦。3-2と1点差を守り、14年ぶり3度目の優勝を果たした。二回に1点を先制されたが、前日21日のメキシコ代表戦で逆転サヨナラ打を放った村上宗隆が同点ホームラン、2-1で迎えた岡本和真が左中間にホームランで突き放した。守っても7人の投手がつないで、最後は大谷翔平が締めた。

1点差の九回。マウンドに立った守護神は泥だらけだった。先頭のマクニールを四球で出すが、次の打者ベッツを併殺に打ち取る。迎えたエンゼルスの同僚・トラウトから空振り三振を奪うと、グラブ、帽子を投げて喜びを爆発させた。

「夢見ていたところなんでうれしいです。(九回のマウンドにあがったことは)接戦のいいゲームで最後、緊張しましたけど、何とか抑えられてよかったです。(エンゼルスの同僚・トラウトになったことについて)最高の形で迎えられて、最高の形で抑えられてよかったと思う」

負けたら終わりの前日21日の準決勝・メキシコ戦。4-5で迎えた九回、土壇場で逆転勝ちをおさめた日本代表の熱さは日をまたいでも続いていた。2009年以来の世界一まであと1勝に迫った決勝の相手はメジャー戦士が揃う米国代表。これ以上ない舞台に試合前、ロッカールームで“恒例”となった声出しを託された大谷からも、熱い言葉が吐き出された。

「(相手の米国代表は)誰しもが聞いたことがある選手がいると思うんですけど、憧れてしまったら超えられない。僕らは今日、超えるために、トップになるために来た。今日一日だけは彼らへの憧れは捨てて、勝つことだけ考えていきましょう」

日本ハム時代の恩師にあたる栗山英樹監督が侍ジャパンの指揮官に就任したのは、2年前。大谷がメジャー挑戦後、初めて二刀流を完遂したシーズンを終えた直後のことだった。投げては9勝、打っては46本塁打、100打点、26盗塁と投げて打って走っての大車輪の活躍だった大谷。その頃からすでに2人の間で、“優勝の瞬間の歓喜”を見ていた。ある球界関係者はこう明かす。

「大谷選手が正式にWBCへの参戦を表明したのは昨年11月でしたが、2年前、大谷がメジャーのシーズンを終えて日本に戻ってきている間に、栗山監督は東京の高級フレンチレストランで大谷と食事をしていたようです。そこでWBCの話をしているはずですよ」

日本代表として世界一になりたい。そして「子供が野球をしなくなってきている」と危惧する栗山監督の思いに応えるにはどうすればいいか。それは大谷が個人として結果を出すだけでなく、チームのために「身を粉にする」ことだった。この決勝でも、地元・米国のファンからもひときわ大きな声援を浴びた大谷はチームの勝利のために投打でスタンバイ。イニングの合間にブルペンに走り、肩を作る準備をしてはまた打者としての準備のためにベンチに戻る行動を繰り返し、七回の第4打席が終わった後、ブルペンで急ピッチで肩を作り、九回のマウンドに備えた。

この日のグラウンドだけではない。母親が日本人であることで日本代表資格を得て、この大会、不動の1番として活躍したヌートバーがチームに溶け込みやすくなるよう、大谷が“橋渡し役”となっていた。取材を続けてきたスポーツ紙記者がこう明かす。

「このWBCで、大谷が日ハムでプレーした時よりオーバーアクションに見えたのは、もちろん、アメリカでプレーしているからというのもありますが、『ヌートバーがチームで浮かないように』という大谷なりの気遣いがあったようです。日本語がしゃべれないヌートバーがカージナルスにいる時の底抜けの明るいノリで振る舞って、他の日本人選手がそのノリについていかないと、ヌートバーは“浮いて”しまう。日本人選手を自然にヌートバーの熱量に引き上げられるように、大谷は意識してオーバーアクションをしていたようです。ヌートバーが日本代表に合流した最初のころは、球場入りの際もいつもそばに大谷がいましたから」

メキシコ戦では九回、先頭打者で二塁打を放ち、後続の打者につないで、つないでサヨナラ勝ちを呼んだ打線は、この日の決勝では大谷につなぐために7人の投手をつないだ。大谷は優勝インタビューでこう締めた。

「(このメンバーで戦ったWBCが)正直、終わってしまうのがさみしい。みんなも同じじゃないかなと思いますけど、それぞれのチームに帰って、はじまるシーズンに備えて、さみしいですけど、頑張りたいです」

悲願の世界一に立った大谷は、侍ジャパンの余韻に浸る間もなく、メジャーリーグでの頂点を目指す戦いに目を向けた。

東京ドームで記念撮影する左からヌートバー、山本由伸、大谷(写真は大谷翔平のインスタグラム@shoheiohtaniより抜粋)
東京ドームで記念撮影する左からヌートバー、山本由伸、大谷(写真は大谷翔平のインスタグラム@shoheiohtaniより抜粋)

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