〈金日成の画像を指さした妊婦を公開処刑〉〈障害者で人体実験〉…韓国が公開「北朝鮮」戦慄の人権蹂躙

家の中で女性が楽しそうに踊っている動画を入手した北朝鮮当局。問題視したのは、初代最高指導者・金日成氏の肖像画を指さしたような彼女の仕草だ。不敬とみなされた女性は、住民の前に引きずり出され公開処刑される。妊娠６ヵ月の妊婦だった……。

３月30日に韓国統一省が公開した「人権報告書」には、1600件に及ぶ衝撃の事例が列挙されている。約450ページの同書は、脱北者508人の証言をもとに作成された。内容は北朝鮮での人権蹂躙だ。

「『人権報告書』は’18年から毎年刊行されていますが、公になるのは初めてのことです。前大統領の文在寅（ムン・ジェイン）氏は南北融和を優先し、閲覧できるのは政府関係者だけにし一般的には非公開に。しかし北朝鮮への圧力を強める尹錫悦（ユン・ソンニョル）・現大統領は、人権侵害を問題視し公開に踏み切ったんです」（韓国紙記者）

路上でスマホを抜き打ち調査

前述のとおり、報告書で紹介されているのは戦慄の内容ばかりだ。以下に主な事例を列挙する。

・北部・両江道（ヤンガンド）で男性が持っていたＵＳＢに、『愛の不時着』などの韓国ドラマの映像が入っていたことが発覚。反動思想を流布したとして公開銃殺に。

・東部・元山（ウォンサン）で16歳～17歳の少年６人が、韓国の映像物を視聴しアヘンを使ったとして死刑宣告。即座に銃殺された。

・当局が抜き打ちで民家を捜索するケースも多数。路上でスマートフォンを調べ外国の情報が入っていれば、政治収容所へ送られ強制労働をさせられる。金正恩氏の祖父・金日成氏や父・金正日氏の肖像画を侮辱するような行為も、刑罰の対象となる。

「銃殺では違反者を柱に縛りつけ、頭と胸、脚に３発ずつ計９発射ち込むそうです。公開処刑の場には、見せしめのため1000人ほどの住民が動員されるとか。取り締まるのは『109連合指揮部』という組織で、住民が敵性である外国文化に接していないか常に目を光らせているといいます。

中には人体実験が行われているという、脱北者の証言もありました。『83号』と呼ばれる施設で、知的障害者や精神的な疾患がある人たちに薬などを投与しているといわれます。学校や軍隊での、女性への性的暴行、強姦、強制中絶などは日常茶飯事だとか。中国との国境では３回警告し止まらなければ、脱北者とみなされ問答無用で射殺されるそうです」（全国紙国際部記者）

北朝鮮では、住民を処刑できる罰則が’12年は７つだったのが’22年は11に増加。締めつけが強められている。