<figure id="attachment_307041" aria-describedby="caption-attachment-307041" style="width: 3551px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4b6f7cae"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/04/df4ba416fb1039b8a72036e8390ad271.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-307041" class="wp-caption-text">３月28日、コロンビア戦終了後。試合に負け、久保も途中出場で不完全燃焼に終わったこともあり、表情はさえなかった（写真：時事通信）</figcaption></figure>
日本サッカーの至宝とまで言われた久保建英の日本代表での立ち位置が怪しくなっている。スペインリーグで４シーズン目となる今季は、中堅クラブのレアル・ソシエダードに５年契約で完全移籍をした。同リーグ第28節（８日・対ヘタフェ）で今季６点目を決めてスペインリーグ日本人最多ゴールの記録を塗り替えた。「スペイン人が６ゴールを決めるのと日本人が決めるのでは同じでありません」と笑顔で胸を張ったが、肝心の日本代表では全く結果が出ていない。
「新生・森保ジャパン」の初陣となった３月24日のウルグアイ戦、28日のコロンビア戦でも２試合とも先発は外れ、戦力とは言い難い不完全燃焼に終わった。そんな久保に対し、来年に迫った「パリ五輪代表に専従すべきでは」という声まで浮上した。
<h3>「僕はW杯のときとはもう別人です」</h3>
自信は常に満ち溢れていた。新生森保ジャパンにとって初めての国際試合となった３月の２試合で、久保はチーム最年少で招集された。昨年12月のW杯後、３ゴール３アシストとクラブでも結果を残していただけに期待が高まったが、帰国後、すぐに行った日本代表での新型コロナウイルスの簡易検査で「陰性」が出なかったため、第１戦は欠場を余儀なくされた。
そして迎えた第２戦のコロンビア戦の試合前。久保は珍しく、メディアの前で豪語した。
「W杯のときとはもう別人です。（自分の）存在感は当たりまえだし、コンディションだけで言ったら、僕が（チームの）ベスト３に入る」
しかし蓋をあけてみれば、先発は西村拓真（横浜FM）に譲り、後半14分からトップ下で出場した。攻撃陣の司令塔として、得意のドリブルでパスを出しながらゲームを動かそうとしたが、チームメートとのリズムが肝心なところで合わない。後半のアディショナルタイムには珍しく、相手のファウルに激昂する場面があった。
「早くチームの力になりたいという苛立ちがあった。普段は突っかかるような自分ではないので…」
森保ジャパンでの微妙な立場に対する焦りがつい、行動となって出てしまったのだろうか。
久保が一番得意とするポジションは「トップ下」だ。最前線のFWから１列下がった攻撃的MFの中央に位置し、パスやドリブルでゴールにつながるチャンスを生み出し、セットプレーのキッカーも任される選手がつとめることが多い。チームの「王様」と言える存在で、最近の日本代表では中村俊輔（現J１横浜FCコーチ）がその典型だった。
久保は今回、２試合の国際試合の間に行われたメディア対応の中で、「トップ下論」まで口にした。
「４−２−３−１のトップ下というのは、ある程度の自由が与えられる選手がいること。その選手がオンザボールで違いを見せて、１人、２人と相手選手を剥がしていく。僕の理想の選手像でもあるのです」
自信もプライドもある。今季移籍したレアル・ソシエダードで結果を残せているのはトップ下、あるいは攻撃を重視した２トップの一角を任せられているからだろう。過去４シーズンに所属したクラブと違うのは今季の久保は〝ある程度の自由〟が与えられているからだともいえる。
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<figure id="attachment_307046" aria-describedby="caption-attachment-307046" style="width: 3712px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b91da209"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/04/3b71a2f2ca1cb260c43a53fb118c6f83.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-307046" class="wp-caption-text">４月８日、ヘタフェ戦で今季６点目を決めてスペインリーグ日本人最多ゴールの記録を塗り替えた久保。スペインメディアの評価は悪くない</figcaption></figure>
<h3>「いい加減、代表で何かを成し遂げたい」</h3>
現地スペインでは久保に対する評価は低くはない。今季久保が活躍できる大きな要因は&#8217;10年スペイン代表のW杯優勝イレブンの１人、37歳になったダビド・シルバとの「相性」が抜群なことだ。今月バルセロナで発行されているスポーツ紙「ムンド・デポルティーボ」でも表紙を飾りソシエダの「ビタミンK」という見出しで報じられた。久保本人が今季開幕前に語った「（ダビド・シルバと）僕は同じ左利き。彼から色々盗もうとしている。ソシエダに移籍してほんとによかった」というコメントは偽りのない本音だろう。
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ただ、残念ながら森保ジャパンにダビド・シルバはいない。W杯カタール大会で快進撃を続けた森保ジャパンは４−３−３の布陣を敷き、トップ下を置かないシステムを採用。前提として献身的な守備を求める森保ジャパンでは、力を発揮するために「ある程度の自由」をのぞむ久保の優先順位は下がる。久保は控え扱いになった。
一方で、「久保をトップ下で使うことを前提に布陣を組んでしまえばいい。それだけのポテンシャルはある」「代表で使えないのは森保監督の力量の問題」という人も多いだろう。だが、今年６月４日の誕生日で22歳になる久保はここまでA代表では22試合出場して１得点。３月の国際試合２試合で日本代表に呼ばれなかった南野拓実らとともに、森保ジャパンの次の「背番号10番」の有力候補ではあるが、W杯２大会（ブラジル、ロシア）で日本代表の10番だった香川真司（C大阪）は22歳になる年齢までにA代表で29試合に出場、９得点を決めた。「久保を中心に据える」だけの数字は残念ながら残せていない。
「まず勝つことが大前提の代表チームでは、起用してみないとわからない久保は日本代表の主力ではないのは何の不思議もない」（元日本代表OB）
&#8217;17年～&#8217;19年に久保が在籍したJリーグ・FC東京時代に久保を指揮した長谷川健太監督（現・J１名古屋）は当時、「建英には突き抜けたものがない」とフィジカルの弱さを再三指摘していた。日本代表の森保監督もカタールW杯前には「（三苫）薫は当初所属クラブでは途中出場が多かったですが、（本大会までに）先発メンバーを勝ち取った。（久保）建英には一皮むけてほしい」と長谷川監督と同じように所属クラブでの信頼感を勝ち取れないのは久保のひ弱さがあるとしていた。
この２人、「建英のボールテクニックは、それは惚れ惚れするものがあります」と奇しくも同じコメントで久保の素晴らしさを認めてはいる。それでもこのままでは日本代表では永遠に輝けない可能性すらある。森保監督と親交のある代表OBは「ポイチ（森保監督のあだ名）が久保を所属クラブで出ているトップ下のポジションで起用して、王様のようなプレーをさせるとは思えない。泥臭く、ただひたすらボールを追いかける西村（横浜FM）が、ポイチが志向するサッカーの２列目の選手の理想だと思う。久保は五輪代表に専念した方がいい」と話した。
そんな言葉通りに拾う神がいた。来年のパリ五輪を目指すU-22（22歳以下）日本代表の大岩剛監督（50）だ。昨年W杯カタール大会を現地で視察した大岩監督は「久保がW杯で披露したプレーは評価に値する。（所属クラブの）ソシエダでやっていることを引き続きやってほしい」とコメント。久保の五輪代表招集について「森保監督とはしっかりコミュケーションをとってやっています」と明かし、パリ五輪代表出場に向けて、久保へラブゴールを送り続けている。
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久保本人はW杯カタール大会後に「（パリ五輪出場の）チャンスがもらえるのであれば検討したい。いい加減、代表で何かを成し遂げたい」とパリ五輪出場を熱望した。&#8217;21年８月、53年ぶりのメダル獲得が期待された東京五輪準決勝でメキシコ代表に敗れて４位で終わった瞬間、当時20歳だった久保は「サッカーをやってきてこんなに悔しいことはない」と人目をはばからず号泣した。パリ五輪に出場すれば、そのリベンジの道もできる。
森保監督は４月末から海外組の視察で欧州各地を回る。１ヵ月近い長期滞在だ。久保が「パリ五輪に専念したい」と直訴すれば、五輪代表で「王様」になれる日はすぐにでも実現するだろう。まずは同年代の中で違いを見せつける「王様」になってからA代表で勝負するのも、決して遅くはないと思うが……。

３月28日、コロンビア戦終了後。試合に負け、久保も途中出場で不完全燃焼に終わったこともあり、表情はさえなかった（写真：時事通信） 日本サッカーの至宝とまで言われた久保建英の日本代表での立ち位置が怪しく

スペインリーグ最多ゴール達成したものの…久保建英は「五輪代表からやり直すべき」なのか

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