横浜に「極道トップ3」が集結して食事会…″ヤクザサミット″が開催された「意外なウラ事情」

「まもなく到着します！」

六代目山口組の組員がそう声を張り上げると、男たちの表情は一気に引き締まり、現場の空気は張り詰めた。

１分後、白のアルファードがゆっくりと敷地内へ。周囲に並んだ組員が深々と頭を下げるなか車から降りてきたのは、高山清司・六代目山口組若頭だ。

４月12日、横浜の「稲川会館」で、六代目山口組・高山若頭、稲川会・内堀和也会長、住吉会・小川修司会長という極道社会のトップ３が顔を揃える「食事会」が行われた。内情を知る関係者が言う。

「六代目山口組の司忍組長は雲上人のような方なので、今回は現場を取り仕切る高山若頭が出席する運びとなった。午前11時半頃に高山若頭が到着し、別室でお茶をした後、『食事会』は３人だけで行われた。食事の内容や中での会話はまったくわからない。ただ、時折笑い声も聞こえたので、和やかな会だったことは間違いないだろう」

午後１時頃に食事会は終了。高山若頭、小川会長の順に稲川会館を後にした。両者を見送った内堀会長は囲み取材に応じ、

「前に中華街でやっただろう？　あれの第２弾！　和やかな会だったね。とても楽しい時間を過ごせましたよ。じゃあ、予定があるから！」

と朗らかに語った。

「前に中華街でやった」とは、’16年９月に横浜の中華料理店で行われた、六代目山口組・稲川会・住吉会のトップによる「食事会」のことだ。主要３組織のトップが一堂に会すのは前代未聞で、「ヤクザサミット」とも称された。

当時は山口組分裂から１年後だったため、神戸山口組への圧力が目的だったと見られている。だが、当時と違い、現在、分裂抗争にさほど緊迫感はない。

「第２回ヤクザサミット」の目的は何だったのか。暴力団情勢に詳しいジャーナリストの成田俊一氏が意外なウラ事情を明かす。

「今回の『食事会』の主催者は高山若頭でしょう。闇バイト強盗や特殊詐欺集団が海外で相次いで逮捕された事件に、六代目山口組は高い関心を持っている。暴対法が厳しさを増す昨今、そういった犯罪と関われば組が潰されてもおかしくありません。とはいえ、ヤクザも国際化を求められており、海外でのシノギを見出していかなければいけない。今回の『食事会』で高山若頭は、海外でどのようなシノギをしていくべきかについて、情報交換を行ったんだと思います」

金（きん）や武器の密輸、マネーロンダリングなど海外を舞台とした犯罪も急増している。ヤクザもグローバル化を迫られる時代になったということか。

『FRIDAY』2023年5月5日号より