付属校生は東大、早慶へ進学…恵泉女学園、神戸海星など募集停止「女子大を脅かす」系列大スルー現象 | FRIDAYデジタル

付属校生は東大、早慶へ進学…恵泉女学園、神戸海星など募集停止「女子大を脅かす」系列大スルー現象

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’17年に大学を閉じた東京女学館。同校は大学より中学、高校のレベルがやや高かった
’17年に大学を閉じた東京女学館。同校は大学より中学、高校のレベルがやや高かった

恵泉女学園、神戸海星女子学院、上智短大……。

募集停止を発表する大学が相次いでいる。特に厳しい状況に置かれているのが女子大だ。受験情勢に詳しい、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏が解説する(以下、発言は石渡氏)。

「経営状態の良くない女子大には、3つの要因があります。1つが小規模で、受験生に魅力のある学部が少ないこと。2つ目が立地の悪さです。恵泉女学園は小田急線や京王線の多摩センター駅から、バスで10分ほどの住宅地内にあります。3つ目として、受験生の共学志向があるでしょう」

私立の女子大は全国に70校ほどある。危機に瀕しているのは、恵泉女学園や神戸海星だけではない。石渡氏が独自に調べたデータによると、3割以上の大学で定員充足率が80%(入学者÷定員)を下回っているのだ。

「意外なのは、東洋英和や清泉女子など名門と呼ばれる大学が定員充足率60~70%台と苦戦していることです。私は『系列大スルー現象』が影響していると思います」

あまり魅力的でない系列大

石渡氏によると、「系列大スルー現象」とは付属校のレベルが大学より高いため、エスカレーターで進学せず他の難関大へのチャレンジを選択することだという。

「恵泉女学園や神戸海星の系列中学や高校は、大学より偏差値が高いことで知られています。恵泉女学園高からは東大、お茶の水女子など難関国公立大学へ進学者を出し、早慶へは各10人近い合格者を出している(’22年度)。神戸海星女学院高からも、東大、京大、阪大をはじめ、関西学院へ約80人、同志社へは40人近い合格者を輩出しているんです(’23年度)。

同じことが、苦戦している東洋英和にも当てはまります。付属高からは、今年も東大や京大、阪大、早慶などの難関大へ多数の進学者を出しました。’17年に閉学した東京女学館大も高校が名門で同じような状況だった。高校よりややレベルの下がる系列大へ進学することは、付属生にはあまり魅力的ではないのでしょう」

「系列大スルー現象」に拍車をかけているのが、東京や関西圏で年を追うごとに高まる中学受験人気だ。

「各中学の人気を左右するのが、有名大学への合格実績です。早慶などトップ大の付属をのぞけば、系列大への進学者数よりも難関大への合格者数のほうが受験生へのアピールとなります。結果として女子校の法人内で、中高が名門であるほど大学のステイタスが下がってしまう。経営を圧迫するなら、大学の募集を停止しようという判断が法人内で働いてもおかしくありません。

一方で大学の募集停止ができるのは、中高の人気が高いためおカネに余裕がある証拠です。募集停止しても、在校生が卒業するまで数年は経営を続けなければならないでしょう。教職員の人件費や施設維持費など3~5億円ほどかかり、余裕がないと募集停止に踏み切れません。付属校の人気も低い女子大では、深刻な定員割れを起こしながらも経営難から閉校できない学校も多くあるんです」

系列高校の人気上昇が大学の脅威に――。女子大の苦闘はしばらく続きそうだ。

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