木村拓哉「あんな作品…」本人も予見したフジテレビ『教場0』の苦戦 それでも「唯一無二」な存在理由
「木村拓哉は経験したか?」
時にテレビ業界ではこんな質問が飛び出す。主にドラマの現場などで、各局のプロデューサークラス、もしくはその上位職の人が現場の最前線に立つディレクターやADにキャリアを問う上で聞くのだという。
答えに正解はないが、「NO」と答えた場合、決まってこう言葉が続く。
「木村拓哉の現場は財産になるからやった方がいい」
現場における木村拓哉の〝プロフェッショナル〟をナマで感じた方がいいというのだ。芸能プロ関係者がその言葉を引き取り、次のように続ける。
「役作りから現場のムード作りまで、とにかく木村さんはすごいです。芸能界のトップであるのにひと一倍、努力しているのを見て、何も感じない共演者、スタッフはいないと思います」
有名なのは、ドラマの現場で個別の楽屋に入らず、「前室」というスタジオに最も近い共有スペースに陣取ることだ。
木村ほどになれば、楽屋も最高クラスが用意されるが、木村は〝特別感〟を嫌がりそこには入らない。過去に放送された連ドラ『HERO』(フジテレビ系)では、前室にビリヤード台を持ち込み、撮影前後のリラックス法として共演同士で〝ひと勝負〟していたという。
「負けたらジュース代…みたいな形で賭けて対決していましたね。共演者同士で親睦を深めるのが狙いだそうです」(同・芸能プロ関係者)
ドラマごとにLINEグループも作っている。ドラマの終了で関係性が希薄になるのが嫌なのだろう。スポーツ紙記者は
「木村さんのLINE友達はゆうに千人以上。『〇〇(作品名)見ましたよ。最高でした』のようなメッセージをマメにやり取りしているそうです」
と明かす。
その木村が主演しているフジテレビ系連ドラ『風間公親―教場0―』が苦戦を強いられている。
単発ドラマで好評を博した作品を連ドラ化して、放送枠はフジの看板「月9」。しかしフタを開けてみると、4月10日の初回平均視聴率こそ12.1%を記録したが、第3話(同24日)で9.8%とひとケタ台に沈没。5月8日放送の第5話も9.1%と挽回できずにいる。原因については
《木村さん演じる警察学校の鬼教官が厳しく、全体的にトーンが暗い。週頭の月曜日から見るのはしんどい》
《物語の部分でも『え?そんなことってある?』という箇所がある》
といった分析がなされているが、この結末を誰よりも予期していたのは木村本人だった。
4月3日の完成披露舞台挨拶では『教場』の連ドラ化について
「ないな、と思いました」
と発言。続けた言葉がまさに現状を〝予見〟した言葉だった。
「何曜日の何時ということよりも、作品自体の力がないと、見てくださる人たちには楽しんでもらえないんじゃないかなという個人的意見があったりもしたので。
それで以前、一作目、二作目、スペシャル版をお正月明け、皆さんが本当に新年を迎えて、『よし今年一年もコロナで大変だけど頑張ろうか』という、ちょっとリラックスした時間に〝あんな作品〟を、地上波で届けるという、ちょっと非常にパンクなものづくりをさせてもらったんですけど。『これやっていいんすか?』というのが正直なところでした」
木村も新生活がスタートする4月に〝あんな作品〟をやるのには、抵抗があったという。
「だから、今回の視聴率の低迷はフジの戦略ミスでもあると思います。このドラマはシリーズ化、さらには映画化を念頭に置いていますが、これ以上、苦戦するようだと木村さんも『ちょ、待てよ』となるかもしれません。本人からしたら内心『そら、見たことか』ですからね」(ドラマ関係者)
ただ、木村は現場では従来通り、ひと一倍のプロフェッショナルを発揮している。
「撮影初日にはすでに木村さんの台本はボロボロ。中に赤線もびっしりでした。自分のセリフだけでなく、共演者のセリフも覚えているんです。そこまでする役者さんは木村さん以外に見たことがありません」(前出・芸能プロ関係者)
物語はいよいよ中盤に突入。ここから一気に反撃といきたいところだが……。
- PHOTO:原 一平