フリーライターとして雑誌記事の執筆、書籍の構成・編集などを手がける。現在は北海道在住で、ニュースサイトを中心に活動。社会情勢に関する執筆の機会が多い。地方紙の通信員としても取材・執筆。



斉藤 さゆり

<h3>アメリカ西部のモンタナ州議会で、一般利用者の「TikTok」禁止法案が可決される </h3>
中国で「反スパイ法」の改正案が4月に可決し、7月1日に施行される。スパイ行為の定義が拡大し、外国人にも影響が及ぶ可能性があることから、「中国製のアプリやメールを通して中国当局に内容が筒抜けになる恐れもある」と警告する専門家もいる。
中国発のアプリといえば、真っ先に挙がるのがTikTokだ。世界に10億人を超える利用者がいるとされるが、アメリカや欧州、カナダなどでは政府機関を中心に公用端末での使用が禁止に。何が懸念されているのか。
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「TikTokには、利用者の情報に不正にアクセスできるバックドアが仕込まれていると言われています。ただし、TikTokを運営する中国のバイトダンスはそれを否定していますし、バックドアがあるという証拠は現時点で確認されていません」
そう話すのは、ITジャーナリストの篠原修司さんだ。
<figure id="attachment_310163" aria-describedby="caption-attachment-310163" style="width: 3060px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="0b93fc22"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/aflo_213995056.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-310163" class="wp-caption-text">危険アプリを避けるためにユーザーにできることは何か…（PHOTO：アフロ）</figcaption></figure>
「もう1つ問題視されているのが、中国の国家情報法です。この法律では、『いかなる組織や個人も国家の情報活動に協力する義務がある』と定められています。中国政府から情報を提出せよと言われたら、企業は逆らわずに渡すしかない。もし政府要人の情報がバイトダンスから中国政府に流れたら、国家の安全保障に関わるということで、欧米各国は規制し始めたわけです」
TikTokを通して国民の個人情報を収集した中国政府が、都合の良い動画を配信してアメリカの世論を誘導していないか、そんな懸念が3月に開かれたアメリカ議会の公聴会で示されたようだ。
4月にはアメリカ西部のモンタナ州議会が、TikTokの禁止法案を可決。アメリカでTikTokの規制対象が一般利用者に広がるのは初めてだと、同国のメディアが報じている。
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「中国政府の指示によってTikTokが、ユーザーに対してデマやフェイクニュースを意図的に拡散することをアメリカは恐れているんだと思います。TikTokの機能として、ユーザーの関心や行動に合わせた動画を配信できるようになっていて、たとえば暴動を煽るような動画を、影響を受けやすい人に流すみたいなことが可能なんです。アメリカで国民まで規制の対象にする動きが広まりつつあるのは、その心配があるからじゃないでしょうか」 
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<h3>危険アプリから自分の情報を守るためにユーザーができること</h3>
個人情報の抜き取りや意図的な配信が懸念されるのは、中国製アプリだけなのか。そもそも、アプリの原産国を一般ユーザーが気にする必要はあるのだろうか。
「今、気にする必要がありそうなのは、中国くらいだと思います。もちろん中国製アプリが全て怪しいわけではないですが、自分が使っているアプリのどれが中国製かを一応知っておくのは悪くないでしょうね。 
アプリストアでアプリの販売元を確認できるので、その開発会社のサイトからどこの国のアプリであるかはわかります。でも、原産国を知ったところで、そのアプリが危険かどうかはユーザーにはわからないです」
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では、危険アプリを避けるためにユーザーにできることは何か。App StoreやGoogle Playといった公式のアプリストアからダウンロードすることを、篠原さんはセキュリティ対策の第一歩として挙げる。
「App StoreやGoogle Playから入手できるアプリは、審査を通っているのでほぼ安全です。
ただ、公式ストアから入手するにしても、広く知られているアプリを選ぶに越したことはないと思います」
たとえば顔写真加工アプリには、あまり知られていないアプリも少なくない。しかし、それらは公式ストアでの入手が可能だ。
「画像加工アプリの場合、利用規約への同意によっては、指定した画像だけでなく保存している写真に対しても利用許可を与えてしまうことになります。自分や友人の写真が勝手に使われる可能性がないとはいえない。聞き慣れないアプリでも信頼性が高そうな開発会社のものを選べばリスクは低いでしょうけど、怪しいアプリは避けたほうが無難です」
<figure id="attachment_310164" aria-describedby="caption-attachment-310164" style="width: 3585px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="daef5b78"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/aflo_214123012.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-310164" class="wp-caption-text">米議会下院の公聴会に登場したTikTokのCEO、周受資（Shou Zi Chew）氏</figcaption></figure>
<h3>iPhoneでも「野良アプリ」容認か？</h3>
公式アプリストアからのダウンロードを勧めた上で、篠原さんはサイドローディングについても触れた。
サイドローディングとは、公式ストアを経由せずにアプリをダウンロードすること。正規のルート以外から配信されるアプリは「野良アプリ」とも呼ばれる。
「iPhoneではサイドローディングが認められていないのですが、Android端末の場合はGoogle Play以外からもアプリをダウンロードできます。Googleの審査を通過していないので当然、安全性は保障されていません。ウイルスが仕込まれている可能性も考えられるため、野良アプリは安易にインストールしないに限ります」
ところが、iPhoneでもアプリのサイドローディングが実現する可能性があるようなのだ。
「AppleがEUの新たな規制に対応するために、iOS17から野良アプリのインストールを容認するという話が出ているんです。 
現状では、ユーザーがApp Storeで有料のアプリを購入すると、購入価格の30％が手数料としてAppleに支払われます。App Store以外からアプリを配信できれば、メーカーはApple税を支払う必要がなくなるので、その分、価格を下げるかもしれない。ユーザーにとっても嬉しい話です。 
反面、Appleの審査を受けていないアプリをインストールすることで、ウイルスやマルウェアなどの危険にさらされる恐れも出てきます」
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どのアプリを選び、どこからダウンロードするかなど、各自が適切に判断できるように、ITリテラシーを高める必要がありそうだ。
篠原修司　1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりインターネットを中心とした炎上事件やデマの検証を専門にフリーランスのライターとして活動中。

斉藤さゆり

アメリカでは民間人の利用まで禁止する可能性も出てきたTikTok。いつも利用しているアプリはどうなのか？ なにを確認すれば、原産国がわかるのか？ 対策はあるのか？ 専門家に聞いた。

TikTokは本当に危険なのか…これからはアプリも「原産国」を確認する時代に？

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