大坂なおみ 「肉体のヒミツ」と「メンタルの成長」を検証する

祝! 全豪優勝&世界ランキング1位 スーパースターの変化を徹底解明

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『全豪オープン』準決勝。引き締まった手足を伸ばして喜んでいる

“鬼軍曹”のもとで10㎏減

まずは、こちらの2枚の写真を見比べてほしい。

上は、今大会『全豪オープン』の大坂なおみ(21)だ。一方、下は’16年2月の『メキシコオープン』でサーブを放つ大坂。なんと、体重は今より10㎏も多かったという。

’16年2月、『メキシコオープン』にて。現在は体重を10㎏落としたことで、動きが素早くなりキレも増した

「大坂選手は’17年のシーズン終了後、約2ヵ月で7㎏もの減量に成功。そこからさらに’18年のシーズン終了後にも3㎏落とし、大幅な肉体改造を行いました。テニスで重要なのは、方向転換の素早さと、歩幅やスピードの調整能力。減量とトレーニングによって、テニスに必要なこの敏捷性や瞬発力など、『速さ』が格段に上がった。これこそが『全豪オープン』での大きな勝因の一つと言えるでしょう」(スポーツライター・秋山英宏氏)

アジア勢として初めて世界ランキング1位に登りつめた大坂。『全豪オープン』決勝では、チェコのペトラ・クビトバ(28)を2対1で破り、世界中を沸かせた。そんな彼女の強さの秘密は、ここ2年間での肉体の大改造にあった。

大坂のフィジカルトレーニングを担当しているのは、’18年にコーチに就任したアブドゥル・シラー(43)だ。”鬼軍曹”と呼ばれる彼のトレーニングメニューは、ハードそのもの。筋力トレーニングの後、休む間もなくランニングを行い、そのまますぐに自転車を全力で漕(こ)ぐ。これを毎日4時間繰り返したことで、筋肉量を保ったまま、減量に成功した。

「シラーコーチが目指したのは、『アメリカンフットボール選手の俊敏さ、短距離選手の瞬発力、サッカー選手の持久力の3つを併せ持ち、コート上で自在に操れるようになること』。その理想に向かうため、彼はアメリカンフットボール投げなど独特の練習を導入し、サーブの打ち方から徹底的に改良。メニューは厳しかったものの、大坂は弱音を吐かず肉体改造をやり遂げました」(スポーツ紙記者)

フィジカルトレーニングはもちろん、糖質制限、理学療法士による最先端の鍼治療など、取り入れられるものはすべて取り入れた大坂とコーチ陣。このストイックな姿勢が、彼女の高いポテンシャルを引き出したという。

「もともと大坂選手の潜在能力は、元世界女王のセリーナ・ウィリアムズ(37)にも劣らないほど高かった。それをいち早く見抜いたのが、シラー氏をはじめとするコーチ陣です。彼らはもともと並の速さではない彼女を『今の彼女はまだ遅い』と分析。ウエイトトレーニングに加え、『速さ』を生む身体の使い方を徹底的にトレーニングしました。この練習法により、彼女が持っていた速さやキレに磨きがかかったのです」(前出・秋山氏)

過酷なトレーニングを経た彼女の肉体は、いまや世界屈指。以下からは、そんな大坂の、もうひとつの”秘密”を解き明かそう。

心に平和をとり戻す

「決勝で第2セットを奪われ、セットカウント1対1で迎えた最終セット。大坂選手は焦(あせ)らず冷静でした。彼女自身も『ロボットになったようで、心の中は無だった』と言うほど、マイナスの感情はなかった。この精神状態があったからこそ、今回の勝利が生まれたのです」(スポーツライター・山口奈緒美氏)

『全豪オープン』を制した大坂。フィジカルの進化とともに勝因となったのは、メンタル面の成長だ。

「彼女の今大会でのキーワードは、”インナーピース(心の平穏)”。試合で感情を揺さぶられる中、自身を鼓舞したり、逆に目を瞑(つむ)って気持ちを落ち着かせたりと、自らを客観視しつつ気持ちを調整するプロセスが非常にうまかった。優勝後の会見では、『精神年齢が3歳から5歳になった』と冗談めかしていましたが、これは、いまの世界ランク1位ですら通過点でしかなく、まだまだ自分は成長過程にあるという意識の表れなんだと思います」(元プロテニスプレイヤー・杉山愛氏)

そんな大坂のメンタル強化に影響を与えた一人が、父のフランソワさんだ。

大坂選手のメンタルの弱さをもっともよく知っていたのがフランソワさん。彼は大坂選手がテニスを始めてからずっと、『精神的に強くなることの大切さ』を説いてきた。その指導が最近ようやく実り、大坂選手自身も『父に言われ続けてきたことが、今になってやっと理解できた』と語っています」(スポーツ紙記者)

大坂のメンタルを変えたもう一人のキーマンは、コーチのサーシャ・バイン(34)だ。バインは、ミスをするとすぐに不貞腐れる大坂の悪癖を矯正した。

「バイン氏はセリーナ・ウィリアムズの練習相手を8年間も務めてきた、気遣いと忍耐の人。ネガティブなところのある大坂選手には、精神的に強くなれと説くのではなく、『負けても人生終わりじゃない』と励ましの言葉をかけてきた。その成果がもっともよく現れていたのが、今回の『全豪オープン』でした。窮地からの大勝利劇は、彼女の進化したメンタルの賜物です」(前出・山口氏)

高い身体能力に加え、”勝者のメンタリティ”をも手に入れた大坂。彼女が次に狙うのは、グランドスラム達成だ。

メンタル強化の立役者は父とコーチ

1月27日、メルボルンの海岸で父のフランソワさんと記念撮影。彼の出身地は、カリブ海の島国・ハイチだ
決勝直前の大坂とバインコーチ。コーチが噛んで含めるように語り聞かせ、大坂はしきりに頷いていた
’16年の段階では、点を取られると取り乱していたが(上)、今大会では平静さを維持。優勝後の会見では「インナーピース」(心の平穏)の大切さについて語った(下)

以前から「自分はハイチの代表でもある」と語っていた大坂。’17年に続き、’18年11月にもハイチを訪問した
大坂が住むフロリダ州ボカラトンの家。約5000万円で中古で購入したという。年間数十億円稼ぐ大坂だが、生活実態は意外と質素なのだ
  • 撮影真野博正写真共同通信社、時事通信社

Photo Gallary8

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