鉄スクラップの価格高騰が原因?全国で多発中「道路のフタ」盗難で起こる″落とし穴″事故の恐怖 | FRIDAYデジタル

鉄スクラップの価格高騰が原因?全国で多発中「道路のフタ」盗難で起こる″落とし穴″事故の恐怖

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多数のフタが盗まれ三角コーンで注意をうながしている千葉県内の道路。暗くなる夜間は落輪事故の危険が高まる
多数のフタが盗まれ三角コーンで注意をうながしている千葉県内の道路。暗くなる夜間は落輪事故の危険が高まる

千葉県君津市から鴨川市に抜ける国道と県道を車で走ると、至るところで側溝のフタが抜け落ちているのがわかる。ドライバーがハンドル操作を誤れば、落輪して大事故につながりかねない危険な道路なのだ。

「穴の開いている場所には鉄製の側溝のフタ(グレーチング)が置いてありましたが、今年3月だけで131枚も盗まれました。車のスレ違いができないほど狭い場所もあり、少し踏み外せば車や歩行者は穴に落ちてしまう。暗闇で視界が悪くなる夜間など、ハンドルを握っているだけで冷や冷やしますよ」(近隣住民)

「グレーチング盗難」が全国で相次いでいる。警察庁によると銅線、側溝のフタなどを盗む金属類盗難認知件数は’21年に7549件を記録。前年比で4割近くも増えているのだ。

「鉄スクラップ相場が、この3年で4倍以上も高騰したことが関係しています。盗品を買い取り業者に持ち込めばカネになる。とくにグレーチングは側溝にはまっているだけの場合が多く、夜間人気(ひとけ)の少ない道にトラックを停め、短時間で盗み出しているんです」(全国紙社会部記者)

買い取り業者も、こう頭を悩ませる。

「買い取り時には身分証明書を提示してもらい、盗難品と判明した場合は警察への通報と損害賠償請求をする旨の同意書をもらいます。しかし、窃盗犯には返済能力がない人間が多い。買い取った品は持ち主に返すため、やむなくウチが数百万円を立て替えたケースもあります」

道路を管理する各自治体では盗難防止策として、コンクリート製のフタへの変更や連結金具の導入などを検討するが、水はけや予算の問題ですぐには進められない。全国で金属類盗難が最も多い茨城県では、県警が自主防犯の必要性を訴える。

「人気の少ない場所が狙われやすいので、防犯カメラが有効です。盗難被害の多い地域に設置を強く呼び掛け、市町村が設置する際には補助金を出すなどしています」(生活安全総務課)

なかには道路脇でなく、道の真ん中に設けられたグレーチングが盗まれるケースもあるのだ。放置したままでは、大惨事が起きかねない。

上の写真のように、道路のど真ん中の側溝のフタが盗られるケースも。被害は全国で多発し増加傾向にある
上の写真のように、道路のど真ん中の側溝のフタが盗られるケースも。被害は全国で多発し増加傾向にある

『FRIDAY』2023年5月26日号より

  • 取材・文形山昌由(ジャーナリスト)

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