恥ずかしくて「ファン」を名乗れない…性被害問題で揺れるジャニーズ「時代遅れだった」暗黒のドン底期

ジャニーズ事務所が性加害問題で世間を騒がせている。

この問題に関しては、テレビ局を筆頭とする主要メディアが沈黙を守ったことでも注目された。それくらいジャニーズ事務所の影響力は大きかったわけだが、彼らとて最初から現在のような存在感を放っていたわけではない。いかにしてこれほどまでの地位を築いていったのか。その歴史が気になり、ジャニーズ事情に詳しいベテランの芸能記者たちに取材をおこなった。

「ターニングポイントは２回あったと思います。ジャニーズはまず、『たのきんトリオ』というグループから出たトシちゃん（田原俊彦）とマッチ（近藤真彦）が爆発的な人気を博し、『ジャニーズここにあり』と世間に知らしめました。その後は『シブがき隊』や『少年隊』、『光GENJI』といったグループが健闘しますが、この後一気に低迷します。

というのもジャニーズアイドルはパッチリ二重の西洋顔タレントが多かったのですが、当時注目されたのは『しょうゆ顔』――、今で言うあっさり系の塩顔がトレンドとなっていった。いわゆるジャニーズ顔というのは流行らなくなり、事務所自体もこのまま衰退していくのでは、と思われたほどでした」（30年以上ジャニーズ事情を追ってきた芸能記者）

恐る恐る「キムタクってカッコ良くない？」

ところが……、そこに救世主が現れた。キムタク（木村拓哉）だ。

「今では信じられないことですが、その頃はジャニーズというとやや時代遅れ感があり、ジャニーズファンとは恥ずかしくて言いにくい空気すら漂っていました。それが当時大人気だった月９ドラマ枠で、キムタクが出演する『あすなろ白書』（’93年。フジテレビ系）が放送されると、女性たちが恐る恐る、『キムタクってカッコ良くない……？』と自白するように（笑）。あれよあれよと言う間に、キムタク社会現象が巻き起こっていったのです。

そこからキムタクが所属するグループ『SMAP』の快進撃が始まった。バラエティ番組にもどんどん出演し、いわゆる『国民的アイドルグループ』となっていったのです。『SMAP』メンバーたちは決しておめめパッチリの王子様顔ではなく、デビュー当初はジャニーズっぽくないと言われていた。事務所からの期待も薄かった感じですが、当時では比較的薄めだったキムタクの顔や、バラエティ力は時代の流れに見事にマッチした。彼らの大躍進とともに、ジャニーズ事務所自体も見事に息を吹き返した印象でした」（前出の記者）

『SMAP』の国民的アイドル性を引き継ぎ完成形へと導いたのが、ご存知『嵐』だった。

「『嵐』は親子でハマるファンも多数いたなど、子供にとっても安心な品行方正アイドルとして、老若男女全ての層から支持を得ました。その結果、天皇陛下の即位を祝う祭典で歌唱したり、国が関連するイベントの顔として引っ張りだこになったりと、真の意味での国民的アイドルとなった。

彼らの人気上昇に伴い、ジャニーズ事務所も特別な存在となっていったのです。思えばこの頃から、所属タレントたちが『ジャニーさんが、ジャニーさんが』と親しみを込めて、創業者の話を頻繁に口にするようになった印象があります」（前出の記者）

別のベテランインタビューライターは、次のようにもコメントした。

「振り返るとジャニーズだって、順風満帆に今の地位を築いたわけではない。栄えたものに必ず衰えるときが来るように、何度も低迷期を迎えていますが、そのたびに次のスターが誕生して起死回生のごとくよみがえってきた。事務所は今またピンチに陥っていますが、再び一世一代のスターのような存在が現れるのか、それとも……」

芸能界に確然たる影響力をおよぼしてきたジャニーズ。だが、決して順風満帆の絶対的存在だったわけではない。今後は、性被害問題で新たな局面を迎えようとしている。