出没! 真っ赤なスポーツカーで焼き芋を売る男 | FRIDAYデジタル

出没! 真っ赤なスポーツカーで焼き芋を売る男

横浜みなとみらいエリアで「ロードスター屋台」を走らせる男の正体

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1月19日、横浜みなとみらいでの営業風景。22時を過ぎてなお、十数人の列が。PayPayにも対応
1月19日、横浜みなとみらいでの営業風景。22時を過ぎてなお、十数人の列が。PayPayにも対応

石焼~き芋~、お芋~♪

独特の節回し、あるいは笛の音を耳にして振り返ると軽トラが……というのが日本の冬のお馴染みの光景だ。ところが、平成も終わりが近づいたいま、横浜みなとみらいエリアでは、真っ赤なオープンのスポーツカーの焼き芋売りが出没しているという。取材を始めると、アッという間に正体が判明した。”スポーツカー焼き芋”は、ツイッターでその日の営業エリアを公開しているのだ。早速、ドライバー兼店主の井上昌(あきら)さん(28)を、みなとみらいに訪ねた。息も凍りそうな厳寒の空の下、真っ赤なマツダ・ロードスター屋台横には長蛇の列ができていた。

「開業したのは昨年の1月2日。もう、1年になりますね。オープンカーで焼き芋を始めた理由は……たまたま、乗っていたのがロードスターだったから。まあ、悪ふざけですよ(笑)。最初は友達と二人で『ロードスターで焼きそば屋か何かやりたいね』と話していたんですけど、車両改造の認可が下りなくて。いろいろ考えた末、窯を積むだけで特別な改造がいらない焼き芋になっただけ」

そう謙遜する井上さんだが、芋を焼く窯は「構造は大体予想できる」と自作だ。費用は約50万円。「部品の取り付けのためにカーショップを20軒ぐらいまわったけど、『前例がない』と断られた」と井上さんは苦笑いする。

「それより、ツイッターでの告知を担当していた友達に逃げられたことのほうが痛手でしたね」

記念すべき営業初日。井上さんは”ロードスター屋台”を意気揚々と横浜みなとみらいに走らせたのだが――。

「焼き芋といえば軽トラというイメージなんでしょうね、お客さんの反応は『本当にお芋、買えるんですか?』でした。焼き芋屋風のカスタムカーだと思われて、ぜんぜん、人が集まりませんでした(笑)」

家族にも大反対されたが、「見た目は突飛ですけど、焼き芋がちゃんと美味しいんですよ。何より、いつもニコニコしていてトークも面白い、井上さんの人柄に惹(ひ)かれて通っています」(常連客)という固定ファンがつき、軌道に乗った。

「夏も営業しています。あとは車関係のイベントに呼んでもらったり。”悪ふざけ”ですから、そんな儲かる仕事ではないですけどね。ただ、常連さんもいますし、ツイッターを見て駆けつけてくれるお客さんもいるので、辞めるに辞められなくなりました」

焼き芋のお値段は300円から1000円。希望があれば1500円の特大サイズも用意してくれるという。

「アニメの『クレヨンしんちゃん』にポルシェの焼き芋屋が登場したんですよ。『窯の形、看板の位置、煙突の形や位置も同じだったから、井上さんがモデルでは?』と常連さんに言われました。オープンした日からいままでの、すべてが大事な思い出です。もっと突拍子もない思い出を作りたいですね」

最後にそう笑った井上さん。この笑顔を求めて今日も客が芋を買いに来る。

燃料は薪で車内に収納している。「えるろこロド芋!」は、井上さんのツイッターのハンドルネームだ
燃料は薪で車内に収納している。「えるろこロド芋!」は、井上さんのツイッターのハンドルネームだ
蜜タップリのトロトロ焼き芋を求め、隣県からも客が来る。18時ごろ開店し、夜には完売することも
蜜タップリのトロトロ焼き芋を求め、隣県からも客が来る。18時ごろ開店し、夜には完売することも
本誌未掲載カット 真っ赤なスポーツカーで焼き芋を売る井上昌さん
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本誌未掲載カット 真っ赤なスポーツカーで焼き芋を売る井上昌さん
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  • 撮影齋藤雅昭

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