萌え袖プロデューサー貴島彩理が”おっさんずラブ”なワケ | FRIDAYデジタル

萌え袖プロデューサー貴島彩理が”おっさんずラブ”なワケ

「おっさんずラブ」「私のおじさん~WATAOJI~」の若手プロデューサーにヒットの法則を聞いた

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妖精のおじさんが出ていても描きたいのは王道のお仕事ドラマ

テレビ番組のプロデューサーといえば、その昔『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジ系)で、石橋貴明さんが“ダーイシ”というキャラクターをやっていた。肩からカーディガンを掛けて、業界用語を使う、そんなイケイケのプロデューサー。しかし、目の前にいる貴島彩理プロデューサーにはそんな素振りはどこにもない。萌え袖を口元に、にこやかに話をするイマドキの女性だ。

この人があの爆発的人気を誇った『おっさんずラブ』(テレ朝系)をプロデュースし、今クールも、まさかの“妖精のおじさん”が登場する『私のおじさん~WATAOJI~』(同)を手掛けている。かわいい女性プロデューサーが“おじさん”をキーワードに番組を作っていると考えると、時代の移ろいを感じずにはいられない。

テレビ朝日『おっさんずラブ』『私のおじさん~WATAOJI~』の貴島彩理プロデューサー
テレビ朝日『おっさんずラブ』『私のおじさん~WATAOJI~』の貴島彩理プロデューサー

「いずれの作品も“おじさん”が出てきますが、意図しておじさんをフィーチャーした訳ではありません。でも今、“おじさんってちょっとカワイイ”というような文化は、人々の中に生まれているようにも思います。『私のおじさん~WATAOJI~』で遠藤憲一さんが演じる妖精のおじさんを登場させたのは、仕事をテーマにしたドラマを描く時に、全力でグチを言いたい相手って、恋愛対象になるようなイケメンじゃなくて、おじさんの方がいいなぁと思ったからです」

金曜ナイトドラマ『私のおじさん~WATAOJI~』テレビ朝日 毎週金曜日 夜11:15~ ※一部地域除く
金曜ナイトドラマ『私のおじさん~WATAOJI~』テレビ朝日 毎週金曜日 夜11:15~ ※一部地域除く

心の2ちゃんねるが荒れている人がドラマを見て明日から頑張れるなら嬉しい

前回の『おっさんずラブ』が恋愛ドラマであれば、今回は“妖精のおじさん”はいるものの、王道のお仕事ドラマを作りたかったと貴島プロデューサーは話す。

「仕事ってくだらないことの積み重ねでもある、と思います。使用するか不明な議事録をとったり、大量のコピーをひたすらしたり……。文句が溜まっているのに言えなくって、心の中の2ちゃんねるが荒れまくってる人ってたくさんいると思うんです。そんな時に欲しいのは、お説教をするおじさんではなくて、自分の代わりに上司の悪口を言ってくれたり、グチをひたすら聞いて、たまに仕返ししてくれる存在……。そんな“毒舌妖精おじさん”がいたら、少し仕事を頑張れるかなと思って企画をしました。王道のお仕事ドラマと主張すると“妖精のおっさんが登場するのに?”と笑われることもありますが(笑)。企画自体は『おっさんずラブ』も『私のおじさん』も2016年から出していた物でした」

テレビ朝日『おっさんずラブ』『私のおじさん~WATAOJI~』の貴島彩理プロデューサー
テレビ朝日『おっさんずラブ』『私のおじさん~WATAOJI~』の貴島彩理プロデューサー

父は他局のライバル。情報漏洩しないようにしています

貴島プロデューサーの父は、トレンディードラマ時代に大ヒット作品を次々と出した貴島誠一郎氏(TBS執行役員制作局付けドラマ担当プロデューサー)だ。そんな父の作品を見ながら、生粋のテレビっ子として育ったのかと思うと、どうやらそうではないらしい。

「この仕事に就いたことについて父の影響はあるかと聞かれることもありますが、特にはありません。私自身が学生時代に熱狂して見ていたドラマは、『世界の中心で愛を叫ぶ』や『花より男子』『Dr.コトー診療所』『のだめカンタービレ』など。大河ドラマも大好きで、学生時代は真剣にNHKやフジテレビへの就職も狙っていました(笑)。純粋にドラマが大好きで、「NG大賞」などで見るドラマ現場の様子があまりにも楽しそうで、今の仕事を夢見るようになりました。現在、父親は他局のライバルなので、情報は一切漏らさないようにしています。『おっさんずラブ』の映画化も、『私のおじさん』の情報解禁も、父はネットニュースで知ったと思います(笑)」

テレビ朝日『おっさんずラブ』『私のおじさん~WATAOJI~』の貴島彩理プロデューサー
テレビ朝日『おっさんずラブ』『私のおじさん~WATAOJI~』の貴島彩理プロデューサー

次回作はイケメン増しのキラキラ恋愛ドラマを作りたい

それにしても貴島さんはどんな話も楽しそうに話す。彼女からはプロデューサーとしての力みも、業界独特のテンションも感じられない。大ヒットを飛ばし、次へのプレッシャーもあるのかも知れないが、それも感じられない。

「ヒットの法則なんてものは、全くわからないです。脚本のアイデアも、毎回の打合せですべて出し切ってしまうので、自分としてはいつもネタ切れ状態……。強いて言うなら、できるだけ毎日撮影現場に行くことを大事にしています。そこでお芝居を見たり、キャストスタッフと色んな会話をすることで“今の自分には思いつかないネタ”をもらうこともあります。

今回のドラマでも、現場でみんなと話をしている時に“家族と仕事なら、家族が一番大事”という話題があがって。私自身は仕事が大好きだし、未婚で子供もいないので、そんな考え方自体が自分の辞書になくて、衝撃を受けました。でもそれって、今の社会で取り上げられる“ワークライフバランス”とか“ワーキングマザー”とか“働き方改革”にもつながる大事なテーマだなと気がついて、物語を作るきっかけになりました。自分にない人生経験をしている人の言葉にはヒントがあると思います。自分だけの意見で作った物語なんてきっとおもしろくないですから」

テレビ朝日『おっさんずラブ』『私のおじさん~WATAOJI~』の貴島彩理プロデューサー
テレビ朝日『おっさんずラブ』『私のおじさん~WATAOJI~』の貴島彩理プロデューサー

写真撮影中、貴島さんはカメラに向かってピースサインをしていた。きっと彼女のこういう“業界っぽくないフラットな感覚”が、今の時代にマッチして共感を呼び、ヒットを生み出しているのかもしれない。

ちなみに次回作は「最近おっさんが続いている……とみんなにイジられるので、キラキラ恋愛ものを作りたいです」と話す貴島さん。彼女の恋愛ドラマはきっと私たちが恋愛において妄想を炸裂させているアレコレがきちんと描かれたドラマになるだろう。

テレビ朝日『おっさんずラブ』『私のおじさん~WATAOJI~』の貴島彩理プロデューサー
テレビ朝日『おっさんずラブ』『私のおじさん~WATAOJI~』の貴島彩理プロデューサー

貴島彩理(きじま・さり)

2012年にテレビ朝日に入社。バラエティ番組のADを経て、16年〜ドラマ制作部に異動。手がけた『おっさんずラブ』は毎回放送されるたびにSNSがざわつくほどの社会現象を起こす作品。現在は『私のおじさん~WATAOJI~』を手がける他、今年夏公開の『劇場版おっさんずラブ』の制作も控える。

テレビ朝日『おっさんずラブ』『私のおじさん~WATAOJI~』の貴島彩理プロデューサー
テレビ朝日『おっさんずラブ』『私のおじさん~WATAOJI~』の貴島彩理プロデューサー
新人ポンコツAD:一ノ瀬ひかり(岡田結実)、毒舌の妖精:おじさん(遠藤憲一)、忖度0の鬼ディレクター:千葉迅(城田優)。 金曜ナイトドラマ『私のおじさん~WATAOJI~』テレビ朝日 毎週金曜日 夜11:15~ ※一部地域除く
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『私のおじさん~WATAOJI~』公式サイトを見る

  • 企画SUPER MIX知野美紀子(SUPER MIX)撮影田畑竜三郎

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