中川 いづみ

<h3>「家財の補償」が付帯されていなければ、盗難に遭っても現金・貴金属は補償されない！</h3>
全国で続発している凶悪強盗。防犯も大切だが、実際に被害に遭った場合、盗まれた貴金属や現金は「保険」で補償されるのだろうか。
「『火災保険』に入っていても、その保険に『家財の補償』が付帯されていなければ、盗難被害は補償されません」
とは、ファイナンシャルプランナーの大石泉氏。大石氏によると、多くの「火災保険」には基本補償があり、それには
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<li>火災、落雷、破裂・爆発の補償</li>
<li>風災、雹災（ひょうさい）、雪災の補償</li>
<li>水災の補償</li>
<li>外部からの衝突、水濡れ、【盗難】などの補償</li>
<li>破損・汚損などの補償</li>
</ol>
が含まれているという。
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火災保険の対象には「建物」と「家財」がある。契約するとき、両方か、建物だけにするかを選び、さらに不要と思われる補償を外すこともできる（火災の補償など外せないものもある）。
たとえば、盗難に入られて、ドアや窓が壊されたなど建物に損害が出た場合は火災保険の「建物の補償」で、建物内の家具や物品が傷つけられたり、盗まれた場合は火災保険の「家財の補償」が対応する。つまり、火災保険に入っていても、その保険に「家財の補償」がついていない場合は、盗難に遭っても「貴金属」や「現金」は補償されないということだ。
<figure id="attachment_312905" aria-describedby="caption-attachment-312905" style="width: 3417px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="7d3f0563"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/aflo_7968166.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-312905" class="wp-caption-text">強盗に盗まれた「現金」や「貴金属」は、火災保険で補償されるのか…？（PHOTO：アフロ）</figcaption></figure>
だったら、100万円の指輪が盗まれたら、100万円補償されるのか？
「補償の支払い限度額は保険会社によって、また補償対象によって異なります。たとえば1個（1組）につき20万円のところがあったり、30万円のところがあったり、微妙に異なります」 
<h3>現金が盗まれたら20万円まで補償される</h3>
100万円の指輪が盗まれても、100万円は補償されないということか？
「限度額以上のものや価値評価がむずかしいものは、“明記物件”として申告し、保険証券に明記することで、保険の対象にしておくと安心です。ただし、限度額以上の補償をつけると、保険料も高くなります」
現金が盗まれた場合は？
「警察に被害届を出すと“受理番号”が与えられます。それを保険会社に連絡し、所定の書類を提出するという手順です。ただ、『確かに自宅に現金があって盗まれた』ことを証明しなくてはなりません」
どこにあったか、なんの目的のお金かなど、保険会社によって異なるが、いろいろ聞かれることもあるとか。
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「現金や印紙、有価証券は通常20万円～30万円（保険会社によっては異なる）。通帳が盗まれた場合は、お金が引き出されると補償の対象になります。通帳が盗まれた場合の補償額の上限は、現金と別に定められており、たとえば上限が200万円の場合は、1回の事故につき、200万円または家財の保険金額のいずれか低い額が補償の上限です」 
<div data-friday-nextpage-lead="「貴金属」や「骨とう品」は…？"></div>
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貴金属や骨とう品は？
「支払明細書、保証書、鑑定書、写真、しまっておいた箱など、対象物が確かに存在していたこと、その価値を証明するものが必要になります。時計、宝石、バッグ、美術品などリスト化しておくと安心かもしれません」
骨とう品や美術品など評価がむずかしいものは、事前に“明記物件”として申請しておいたほうが安心だ。
「高価な美術品などには家財の補償とは別に、個人向けの“動産総合保険”をかける方法もあります」
逆に、高価な貴金属などはもっていなくても、30万円まで補償してくれるなら、2万円や3万円の指輪や時計が盗まれたときにも補償されるのだろうか？
「保険には“免責金額”というものがあります。これは自分で決める場合が多いのですが、たとえば5万円の免責をつけた場合は、2万円や3万円のものが盗まれても補償されません。
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免責の扱いには保険会社によって違いがあり、5万円の免責をつけて、15万円の実損が出た場合、免責分を差し引いて10万円の保険金がおりるものと、免責金額を超えたら全額補償されるというパターンがあります」 
<figure id="attachment_312907" aria-describedby="caption-attachment-312907" style="width: 1280px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="abfa0c09"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/aflo_210205178.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-312907" class="wp-caption-text">広域連続強盗事件でフィリピンから移送される容疑者たち（PHOTO：アフロ）</figcaption></figure>
<h3>盗難の補償が外れていないか確認して</h3>
ときどきは保険内容を見直したほうがいいのだろうか。
「内容を確認しておくことは大事です。盗難の補償は基本補償から外せるケースが多いため、契約したとき“盗難”は必要ないと思って外していることもあるかもしれません」
ここ数年は大規模な自然災害が発生しており、保険会社は長期の契約を結ばなくなった。&#8217;15年10月に10年を超える火災保険が、&#8217;22年10月には５年を超える火災保険が廃止されている。
「長期契約をしている方の中には契約内容を忘れている人もいるかもしれません。必要なものが入っていなかった場合は、現在契約している火災保険に付加できないか保険会社に問い合わせるといいでしょう。現在契約している火災保険を解約して、新しい保険に入り直す際、保険料を一括払いしていると、残りの期間の保険料は返還されます」 
保険料は契約期間が長くなるほど割引率は高くなる。途中で解約しても、残りの期間の保険料が戻ってくるなら、長期契約したほうがいいかもしれない。 
賃貸の場合、建物に対する補償にはオーナーがすでに加入しており、オーナーから加入を勧められるのは火災保険の家財に対する補償だ。そこに「盗難」が含まれているか確認することが大事。 
「火災保険に入っているからと安心せずに、家財が対象になっているか、必要な補償に入っているか確認すること。補償内容を把握し、ご自身に必要な補償とのマッチングをはかってください」
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大石泉　NPO法人日本FP協会認定上級ファイナンシャルプランナー CFPⓇ。キャリアコンサルタント。大学卒業後、株式会社リクルートへ入社。約15年にわたり、『週刊住宅情報関西版（現「suumo」）』の企画、編集、審査業務に携わる。2001年、FP事務所を設立。老若男女を対象に身近な新聞をつかった経済教育、ライフプラン、キャリアデザイン、資産形成などの講座や研修を大学、企業へ展開。個人を対象に、客観的なファイナンシャルプランニング、ライフ・キャリアプランニングを提供している。

中川いづみ

全国で続発している凶悪強盗。防犯も大切だが、実際に被害に遭った場合、盗まれた貴金属や現金は「保険」で補償されるのだろうか。ファイナンシャルプランナーに盗難被害での「火災保険」で補償される内容を聞いた。

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