<figure id="attachment_314739" aria-describedby="caption-attachment-314739" style="width: 544px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f91c8a68"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/d8252233974c053c8b92f848961bf166.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-314739" class="wp-caption-text">高校時代、投手としては珍しく１番打者をつとめるほどの走るスピードが、星槎道都大で花開いた（写真：ベースボールマガジン社）</figcaption></figure>
<p>６月５日より全日本大学野球選手権が開催される。27校が日本一を争うが、札幌学生野球連盟代表の星槎道都大学に６球団が注目する隠し玉がいる。５日の１回戦・大商大戦での先発が予想される滝田一希投手だ。ある球界関係者はこう明かす。</p>
<p><span class="strongInContent">「181㎝の大型左腕で150キロの直球を投げられるんです。地元の日本ハムは稲葉（篤紀）GMが見に来ているようですし、それ以外でも巨人やセ・リーグ連覇中のヤクルトも来た。ソフトバンク以外は担当スカウトが見に来ています」</span></p>
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<p>滝田の出身校は全校生徒わずか63人の北海道の公立高校、寿都（すっつ）高校。函館と小樽を結ぶ海岸線のほぼ中央に位置するが、札幌からは150キロ離れ、車で３時間ほどかかる。滝田は高校３年間は北海道大会に挑む前の支部大会で敗退。当然、無名の存在だった。</p>
<p>本来であれば見過ごしてしまう才能を見つけた人がいた。星槎道都大の二宮至監督だ。巨人では俊足、強肩選手として８年間すごし、引退後は中日の走塁コーチやDeNAの二軍監督などを務めたプロの目が才能を逃さなかった。甲子園に10度出場している北照高校の選手を見に行ったとき、その相手だった寿都高校に滝田が「１番・投手」として出場していたのだ。北海道の野球関係者が明かす。</p>
<p><span class="strongInContent">「滝田選手は180㎝を超える背の高い左投手でありながら１番打者だった。つまり、足も速い。二宮監督は投げる姿同様、その足の速さに運動能力のポテンシャルを感じたようです。ただ、滝田投手は女手ひとつで育てられ、兄弟も６人いたため、経済的事情を考え、高校を出たら野球を辞めて就職するつもりだったんです。そこを二宮監督が説得して入学に至ったんです」</span></p>
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<div data-friday-nextpage-lead="もう一度訪れた「野球を辞めたいと思った」出来事"></div>
<p>高校時代、Max137キロほどの直球は150キロを出せるまでに成長。二宮監督が見初めた才能が芽吹きだした頃、またどん底に突き落とされるような出来事に遭遇した。女手ひとつで育ててくれた母が昨年５月に、心筋梗塞で亡くなったのだ。滝田は北海道新聞の取材にこう明かしている。</p>
<p><span class="strongInContent">「朝５時から夜中１時すぎまでずっと働いてくれていたお母さんをどうにかプロに行って楽させたいと思って野球をやっていた。その目標がなくなって本当につらくて野球を辞めようと思った」</span></p>
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<p>深い悲しみを胸の奥底にしまい、何とか野球を続けてきた滝田に昨年８月14日、大きな転機が訪れる。プロやアマチュアチーム計16チームが避暑地である北海道釧路市などに集結して行われる『タンチョウリーグ』で滝田はソフトバンクの三軍相手に６回まで10三振を奪い、無失点に抑えた。ソフトバンクは注目される前の時点で滝田と実際に対戦し、じっくり見ている。県大会に進めなかった男は、12球団が注目する存在なのだ。前出の北海道の野球関係者はこう明かす。</p>
<p><span class="strongInContent">「三軍とはいえ、打たれた安打はわずか２安打。150キロを超える直球やチェンジアップなどでソフトバンクの有望株たちをねじ伏せたんです。この試合をきっかけに球界関係者の間では滝田の存在がささやかれはじめました。</span></p>
<p><span class="strongInContent">好投した当時は、滝田がお母さんを亡くしてまだ３ヵ月ほどしかたっていない頃。野球を辞めたいと思っていた時期を乗り越えて、プロ予備軍に対して結果を出したあたりに『何とか家族を食べさせたい』という並々ならぬ覚悟を感じますよね」</span></p>
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<p>５日からはじまる全日本大学野球は、神宮球場と東京ドームで開催される、自身初の全国大会だ。ここでチームの上位進出につながる快投を見せれば、秋のドラフトの上位候補になる可能性はある。滝田の投げっぷりを見た、プロ野球の元コーチはこう明かす。</p>
<p><span class="strongInContent">「今の投げ方はすべての動作にまだ力が入ってしまっているので、プロで１年間コンスタントに結果を出せるようになるには（ボールを離す）リリースの瞬間の一番大事なところで力を入れるとか、メリハリのような部分を覚えないとバテが来る。でもそれはプロに入って他の選手と一緒に練習する中で自然に覚えられる。そういう意味で、まだ伸びしろを感じます」</span></p>
<p>何度も野球を辞める窮地に立たされた男は、全国のひのき舞台でシンデレラストーリーを紡ぎ出すことができるだろうか。</p>


高校時代、投手としては珍しく１番打者をつとめるほどの走るスピードが、星槎道都大で花開いた（写真：ベースボールマガジン社） ６月５日より全日本大学野球選手権が開催される。27校が日本一を争うが、札幌学生

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