33億円経済効果…「ロケツーリズム」の元祖『あまちゃん』10年ぶり放送で高まる再ブレイクのワケ | FRIDAYデジタル

33億円経済効果…「ロケツーリズム」の元祖『あまちゃん』10年ぶり放送で高まる再ブレイクのワケ

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NHK朝ドラ『あまちゃん』でヒロインを演じた元〝能年玲奈〟こと〝のん〟
NHK朝ドラ『あまちゃん』でヒロインを演じた元〝能年玲奈〟こと〝のん〟

現在、再放送中の朝ドラ『あまちゃん』(NHK BSプレミアム)。国民的ドラマの10年ぶりの復活を喜んでいるのは、ドラマファンばかりではない。

「宮藤官九郎が脚本を手掛ける本作は、東日本大震災の2年後に放送され、ドラマに登場する『じぇじぇじぇ』という言葉は、その年の流行語大賞を受賞。放送開始と共に〝聖地巡礼〟に訪れる観光客は岩手県久慈市だけでも116万人に及びました。

ドラマの舞台となった『小袖海女センター』には前年度の40倍、なんと20万人もの『あまちゃん』ファンが殺到。岩手経済研究所の試算によると、県内における経済効果はおよそ33億円にも及びました。この人気ぶりは、朝ドラ史上最高ではないでしょうか」(ワイドショー関係者)

しかも放送後もリピーターは後を絶たず、4年後の’17年にも100万人に近い観光客が訪れている。多くの朝ドラや大河ドラマの〝聖地巡礼〟が一過性で終わる中、なぜ『あまちゃん』は、放送終了後も人気を保つことができたのか。その秘密が、「ロケツーリズム」にあるという。

「映画やドラマ、情報番組で得られた地域の知名度を最大限に活用して観光資源を充実させ、その地域のファンになってもらうために、撮影のサポート体制づくりを行うのが〝ロケツーリズム〟。久慈市と周辺の4町村は『あまちゃん』をきっかけに、『久慈市・北三陸あまちゃん観光推進協議会』を設立して、ロケツーリズムに取り組みました。

そのおかけで放送終了後も500近いドラマや映画、情報番組などの映像作品が決定。継続的な取り組みと成果は、全国の〝ロケツーリズム〟の見本と言われています」(前出・ワイドショー関係者)

しかし『あまちゃん』の〝聖地巡礼〟への道のりは、険しい。

東京から東北新幹線に乗り、北上すること3時間。八戸駅からJR八戸線に乗り換えて三陸海岸を2時間かけて下ると、そこが「じぇじぇじぇの国」の玄関口・久慈駅。駅前に立つと噴水広場の前には「北三陸観光協会」が入っていた久慈駅前デパートがお出迎え。

無人となったビルには、見覚えのある「北の海女」「北三陸鉄道」「潮騒のメモリーズ」の三連看板が、私たちを『あまちゃん』の世界へと誘う。商店街に足を伸ばすと、シャッターに描かれた数々の〝あま絵〟が、当時のまま。「喫茶リアス」のモデルになった「喫茶モカ」で名物・たまごサンドを食べるのも忘れてはいけない。

「放送時、『小袖海女センター』には夏の海女フェスや秋祭りの時期、5万人を超える観光客が殺到。『あまちゃん』が世界各国でオンエアされたこともあり、外国人観光客が多いのも特徴です。

中でも親日家の台湾では度々再放送されており、台北と岩手・花巻間の飛行機で〝聖地巡礼〟に訪れる台湾のファンのために、観光バスが通るように小袖海岸への道の拡張工事も行われました」(地元観光協会関係者)

『あまちゃん』の〝聖地巡礼〟で欠かせないのが、三陸鉄道の旅。夏ばっぱ(宮本信子)が作っていた「ウニ丼」を久慈駅『三陸リアス亭』で買い求め、三陸鉄道に乗り込む。ウニの煮汁で炊いたご飯の上に、三陸産の蒸しウニをびっしり敷き詰めた「うに弁当」を頬張りながら、宮古、釜石、盛(大船渡)に至るリアス式海岸の景観を楽しむ。

袖が浜の最寄り駅・堀内駅で途中下車してもよし。『小袖海女センター』でおかずか、おやつかわからない微妙な食べ物「まめぶ汁」に舌鼓を打ち、ワイルドな奇岩に囲まれた〝北限の海女〟の聖地を散策しながらドラマの名場面に想いを馳せる。これこそ、ファンにとって至福の時ではないか。

そんなファンを待ち受けて、地元では新たな取り組みが始まっている。

「4月には、4市町村が運営する『道の駅』がオープン。さらに4月15日から1年間にわたって〝あま絵〟がラッピングされた列車『三陸元気! GoGo号』も運行中。この車両は『あまちゃん』ファンたちがクラウドファンディングでおよそ790万円を調達して実現させたもの。

さらに〝潮騒のメモリーズ〟のライブが行われた『お座敷列車』を意識した企画も多く、夜間に走る『ナイトジャングルトレイン』、春秋の『プレミアムランチ列車』、冬場には『こたつ列車』『初日の出号』『冬休み自由研究列車』など、盛り沢山のおもてなしが期待されています」(前出・地元観光協会関係者)

10年ぶりに再放送される『あまちゃん』が、さらなる経済効果を生み出すのか。お手並み拝見といきたい――。

  • 島右近(放送作家・映像プロデューサー)
  • PHOTO西原 秀

島 右近

放送作家・映像プロデューサー

バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓。電子書籍『異聞 徒然草』シリーズも出版

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