WBCで“もっとも働けなかった”楽天の守護神・松井裕樹がメジャースカウトに注目されている理由 | FRIDAYデジタル

WBCで“もっとも働けなかった”楽天の守護神・松井裕樹がメジャースカウトに注目されている理由

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WBCが開幕する前の3月3日、壮行試合として行われた中日戦で1回持たずに4失点と打ち込まれた松井(写真:共同通信社)
WBCが開幕する前の3月3日、壮行試合として行われた中日戦で1回持たずに4失点と打ち込まれた松井(写真:共同通信社)

14年ぶりに世界一を奪還したWBCの日本代表メンバー、楽天・松井裕樹投手(28)は大会中1次ラウンドの韓国戦の1イニングのみの登板にとどまり、マウンドにあがった14人の中で対戦した打者数は一番少なかった。

しかし大会後、3月下旬に楽天に戻ると、4月5日の西武戦で通算200セーブを達成。27歳5か月での大台到達は史上最年少だった。1か月も経たない同月27日にFA権を取得。チームが5位に低迷する中でリーグ2位のセーブ数(12)をあげる松井を追い続ける他球団のスコアラーはこう明かす。

「今、日本にいるメジャーのスカウトが松井に注目しています。投球スタイルが大きく変わりました。右打者、左打者に関係なく、真っ直ぐとフォークが軸になり、スライダーの割合が大きく減っているんです。メジャーでは左打者にフォークを投げられる左投手が少ないんです。松井がメジャー行きを意識したのか、(メジャーに左打者にフォークを投げる左投手が少ないという)情報を得てスタイルを変えたのか、まではわかりませんが……」

今季終了後のオフは、メジャーのFA市場は先発投手の大物が不在で、オリックス・山本由伸の動向はアメリカでも注目されている。山本が周囲の見立て通り、今オフにポスティングによるメジャー挑戦を実現すれば、7~8年で2000万ドル、1ドル141円で計算すると総額225億円という破格の値段がつく、とも言われている

山本は3月のWBCで2試合に登板し、2試合目となった準決勝のメキシコ戦は本場・アメリカでの登板だった。しかし松井の場合、WBCの大会前の壮行試合で打ち込まれたことも影響したのか、アメリカで登板機会は与えられなかった。帰国後、ベースボールマガジン社の取材に「投げたいストレスをためて帰ってきた」と明かし、悔しさを糧に日本で再起を図った結果、本場のスカウトが注目する輝きを放っている。

実際、松井の投球を見続けるメジャースカウトはこう明かす。

「メジャーで成功するには精神的な部分が1番大事。メジャーの打線はNPBよりも強力ですから、精神的に弱かったら逃げの投球になる。そのことが影響して、評価通りの活躍ができなかった投手が結構いましたが、その点、松井は長年クローザーをやって場数も踏んでいるし、まったく問題ありません。

今年多投しているフォークは必ずメジャーでも通用しますし、スライダーもキレがある。松井の真っすぐは向こうの中継ぎ、セットアッパーの平均のスピードですし、フォーク、スライダーは平均以上の球。悪くとも、中継ぎでやれますし、8回を任されるセットアッパーにもなれる力があります」

松井がFA権を行使してメジャーに挑戦を表明した場合、どれぐらいの活躍が見込まれるのだろうか。

「ボールへの対応などうまくスタートを切れれば、1年目からマリナーズのクローザーとして37セーブをあげた佐々木主浩に迫る活躍をしてもおかしくない。日本同様、向こうでも左投手の方がニーズがあり、今はリリーバーに払う年俸は結構、上がっていますので、松井のことを本当に欲しい球団は最低ラインで5億円は出すでしょう」

FA権取得後、「4月なので、特に思うことはない」と明言を避けた身長174cmの小さな守護神は、試練を糧に、大きなチャンスをつかむことができるだろうか。

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