AIが識別するペットの表情─猫が痛がっている顔ってどんな顔? | FRIDAYデジタル

AIが識別するペットの表情─猫が痛がっている顔ってどんな顔?

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ペットの気持ちがより分かるようになる…?
ペットの気持ちがより分かるようになる…?

まず上の写真をご覧いただきたい。2枚の猫の写真のうち1枚の猫は「痛い~(TT)」という表情をしているのだという。どちらの猫が痛がっているのか分かるだろうか?

ちなみに答えは右の茶色い猫だそうだ。

あたり前だけど、動物は話すことができない。ペットと世間話ができないのはまだ仕方がないとして、体調が悪いときなどに自己申告してくれないと、取り返しのつかない状況を招くこともある。

犬などの場合はまだ感情表現が豊かなのだが、猫の場合は痛みを隠す傾向があって、気づくことが難しいとされている。ふだんの様子を知っている飼い主でもなかなか気づきにくいのだ。

「日本大学の調査によると、飼い猫の70%は痛みを抱えていても動物病院へ来院できていないそうです。明らかに様子がおかしくなって、病院へ運ばれてきたときには、もう手遅れだったというケースも少なくありません」

そう語るのは㈱CarelogyのCTOで医師でもある河本直樹氏だ。Carelogyは日本大学生物資源学部の枝村一弥教授らとの共同研究により、痛みを抱えている猫をその表情からAIで判定するwebアプリ『CPD』を開発した。

「カナダのモントリオール大学が『Feline Grimace Scale』という痛みをスコアリングする手法を論文で発表しています。それによると、猫の表情をスコアリングすることで、痛みを抱えているかどうかが分かるというのです。この手法で専門医に判別してもらった6000枚の画像をAIに学習させました」

CPDは猫の写真をアップロードすることで、その猫が“痛がっている顔”をしているかどうかを90%の精度で、早期の段階から判定できるという。では痛がっている猫の表情とはどんな特徴があるのだろうか。

「チェックするポイントは5つ。耳、眼、『マズル』と言われる口元、髭、そして頭の位置です。耳は弱ってくると倒れてきます。眼は普段しっかり開いているものが、どんどん細くなっていったりする。口元、髭、頭部の位置はなかなか判別が難しいのですが、口元のマズルは緊張が保てなくなる。そして、髭の場合は綺麗な曲線を描かなくなります。猫の綺麗な髭の形というのがあって、しっかりと前から後ろに向いているものがいいんです。猫は健康だと、しっかり髭を自分で手入れするんですが、痛みを抱えているとなかなか手入れできなくなるため、曲線ではなくなるのです。頭の位置は、痛みを抱えると支えることができなくなってくるため、どんどん下がっていきます」

日々の記録を並べられる機能もあるそうなので、日常的に愛猫の状態をチェックするという使い方もできそうだ。現時点ではwebのみの展開だが、将来的にはスマホ展開もするという。

ところで、やはり気になるのは、痛み以外の表情も分かるのかということだ。「機嫌のよい顔」と「落ち込んでいる顔」などの喜怒哀楽も分かれば楽しそうなのだけれど。

「喜怒哀楽も研究すれば十分可能だとは思います。でも現時点では医学的な論文でしっかりとしたものが発表されていないんです。犬の場合、表情によって喜怒哀楽をAI分析できていますので、今後開発される可能性は十分にあると思います」

未来には家族であるペットと、より深くコミュニケーションができるようになるのかもしれない。

耳の位置に出る痛みの「表情」の特徴。これだけで判断するのではなく、5つのポイントを見て総合的に判断する
耳の位置に出る痛みの「表情」の特徴。これだけで判断するのではなく、5つのポイントを見て総合的に判断する
目の開き具合。痛みがある場合は細める傾向が
目の開き具合。痛みがある場合は細める傾向が
マズルと呼ばれる口元の表情。なかなか判別するのが難しい部位だ
マズルと呼ばれる口元の表情。なかなか判別するのが難しい部位だ
髭。常に手入れをしている部位なので、手入れされていない状態のときは平常ではないというサイン
髭。常に手入れをしている部位なので、手入れされていない状態のときは平常ではないというサイン
頭の位置。このポイントもなかなか見て判別しにくい
頭の位置。このポイントもなかなか見て判別しにくい

 

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