<h3><span class="strongInContent">バナナ好きの「聖地」…92年間、バナナ一筋！</span></h3>
<p>おいしいバナナが売られていると、今やバナナ好きの間では「聖地」と言われる千葉県館山市のバナナ問屋・佐藤商店。「３時ごろ来てください」と言われたので、訪れると、店頭にはもうかなりの空きスペース。この時間になると、ほとんど売れてしまうのだという。問屋としてスーパーなどに卸しているものも含めると、１日に売れるバナナは3000本！</p>
<figure id="attachment_318429" aria-describedby="caption-attachment-318429" style="width: 4000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4d14edf6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/1eddfc95ecd2dfba3620e98ca3eeb4b2.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-318429" class="wp-caption-text">３代目を継いだ佐藤隆史さん。佐藤さんがいちばん好きなのはエクアドル産のバナナ。「おいしいと言われることが励みです」（PHOTO：各務あゆみ）</figcaption></figure>
<p>扱っているバナナは台湾、フィリピン、エクアドルの３種だ。</p>
<p>いったいなぜバナナだけ扱っているのだろうか。</p>
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<p><span class="strongInContent">「宮城県から横浜に働きに出てきた祖父の勝男がバナナを食べ、そのおいしさに驚いて、バナナ専門店を開いたのが始まりです」</span></p>
<p>そう言うのは、三代目を継いだ佐藤隆史さん。創業はなんと1931年（昭和６年）。今でこそ、日本でいちばん食べられている果物だが、当時は目にすることも滅多にない高級品だ。</p>
<p>バナナのおいしさに感動した勝男さんは、バナナを輸入していた会社や取り扱い店など伝手をたどって、輸入ルート、熟成方法などを学び、千葉・館山で開業した。</p>
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<p><span class="strongInContent">「バナナは青い状態で日本に入ってきます。それを黄色く色づくまで熟成させて販売します。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">急激に温度を上げると早く色づきますが、中は硬かったり、芯が残ったり。そんな状態のバナナを販売するのが許せなかったんでしょうね。保管庫を作り、そこで青いままのバナナを仕入れて、自分で熟成させることにしたんです」</span></p>
<p>勝男さん、おいしいバナナを求めて、エクアドルまで行ったのだとか。80年以上前のことだ。</p>
<figure id="attachment_318430" aria-describedby="caption-attachment-318430" style="width: 4000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="6e558fff"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/586c5dab09b0c7b4b8435d3f3bdb1c6d.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-318430" class="wp-caption-text">JR館山駅から徒歩約10分。創業当時から、この地に店を構える佐藤商店</figcaption></figure>
<div data-friday-nextpage-lead="６基の保管庫で１週間かけて熟成"></div>
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<h3><span class="strongInContent">６基の保管庫で１週間かけて熟成</span></h3>
<p>お店の奥には６基の保管庫があり、ここで熟成させる。中に入らせてもらうと、ひんやり涼しい。空調で湿度や温度を管理しているのだという。</p>
<p><span class="strongInContent">「温度を少しでも上げ過ぎると、半日で色が変わってしまう。日に何度もチェックして、0.5℃刻みで温度調整しています」</span></p>
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<p>１基の保管庫に保管されているバナナは約6000本。これらを１週間ほどかけてゆっくり熟成させると、香り豊かなおいしいバナナになるのだという。</p>
<p>それにしても、勝男さんの時代は空調などなかったはず。どうやって熟成させていたのだろう。</p>
<p><span class="strongInContent">「氷を入れて、氷室のような状態にして、それで調整していたようです」</span></p>
<p>なんと手間がかかることを！　それほどまでに“おいしいバナナ”にこだわっていたのだ。</p>
<figure id="attachment_318431" aria-describedby="caption-attachment-318431" style="width: 4000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b1e33617"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/73eac3be06c070d3677f6a2004dd0cae.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-318431" class="wp-caption-text">１日に数度、熟成のようすを見るために保管庫に入る</figcaption></figure>
<figure id="attachment_318432" aria-describedby="caption-attachment-318432" style="width: 4000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="395c2982"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/0ad6e34f91355300e008be661fc68514.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-318432" class="wp-caption-text">店の奥には６基の保管庫。ここで１週間かけて熟成させる。祖父の代から使われている</figcaption></figure>
<figure id="attachment_318433" aria-describedby="caption-attachment-318433" style="width: 4000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="fb39d95b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/db74a042015ef07cd0c970607fee4c5e.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-318433" class="wp-caption-text">１基の保管庫には約6000本のバナナが熟成を待っている</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">ゆっくり熟成させるから、４～５日経っても、おいしさ変わらず</span></h3>
<p>皮がパンと張って、丸々としたバナナ。見た目だけでもおいしそうだ。ひと房2000円のバナナもあると聞き、恐る恐る値札を見ると、おお、４本300円のエクアドル産もあるではないか。</p>
<p><span class="strongInContent">「種類によって値段は多少異なりますが、同じ種類だったら、値段の違いは重さです。小さい房は安いけれど、味は変わりません」</span></p>
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<p>店頭には、次の日食べごろになるものを出すという。そんなに違うものなのか。</p>
<p>買ったエクアドル産のバナナを帰り道、こっそり１本食べてみた。ちょっと青臭い……。次の日食べてみると、確かに甘くなっている！　ねっとりした甘さを想像していたが、むしろさっぱりとフルーティーな甘さ。おいしい……。プロが言うことには間違いがなかった。</p>
<p>４～５日経つと皮が薄くなってくるが、中が茶色に変色したりはしていない。これが時間をかけて熟成させた結果なのか。</p>
<p><span class="strongInContent">「スーパーなどで売られているものより、少し割高になりますが、それでも納得していただくためには手間をかけるしかない。『おいしかった』と言ってもらえると励みになります」</span></p>
<p>最近は、佐藤商店のバナナを使ったバナナジュースやバナナパフェを提供するお店も増えているという。</p>
<p><span class="strongInContent">「ときどき『ここではパフェは食べられないの』と聞かれるんですが、餅は餅屋。そういうものは、その道のプロに任せて、うちはバナナ１本で勝負します」</span></p>
<p>館山の近く、富津でバナナ栽培を始めた農家もあり、現在は不定期ながら、富津産のバナナも店頭に並ぶ。</p>
<p><span class="strongInContent">「バナナで地元を応援できたらと思います」</span></p>
<figure id="attachment_318434" aria-describedby="caption-attachment-318434" style="width: 4000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="dbd51453"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/5eb6a249f43dc1aba1e9fca5ff8b2048.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-318434" class="wp-caption-text">「買うときは、太いバナナを。栄養を充分たくわえているのでおいしいです」佐藤商店のバナナはどれも太くておいしそう</figcaption></figure>
<figure id="attachment_318435" aria-describedby="caption-attachment-318435" style="width: 4000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d872da0c"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/06/9b2bc4db102f9309d311649dbd3f3735.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-318435" class="wp-caption-text">創業当時に使われていた前掛け。４ケタの電話番号が当時をしのばせる</figcaption></figure>


中川いづみ

各務あゆみ

92年間、バナナ一筋！ バナナ好きの間では「聖地」と言われる館山市のバナナ問屋・佐藤商店。１日に売れるバナナは3000本！ 毎日3時ごろにはほとんど売れてしまうという。なぜバナナだけ扱っているのか。

店頭に並ぶのは「バナナ」だけ…92年間続く佐藤商店３代目・佐藤さんはなぜバナナだけを扱うか

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