世界中で6000万人以上が被害に…「スーパーエルニーニョ」発生で日本は今夏、異常気象に襲われる | FRIDAYデジタル

世界中で6000万人以上が被害に…「スーパーエルニーニョ」発生で日本は今夏、異常気象に襲われる

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日本でも台風18号の影響で鬼怒川が決壊。茨城県内では8800軒以上の民家が家屋の倒壊や浸水などの被害を受けた
日本でも台風18号の影響で鬼怒川が決壊。茨城県内では8800軒以上の民家が家屋の倒壊や浸水などの被害を受けた

今年の夏は、歴史的な災害が世界を襲うかもしれない。6月9日、気象庁がエルニーニョ現象の発生を発表したのだ。

「エルニーニョは普段は低いペルー沖の海面水温が通常より0.5℃ほど上昇することに端を発する現象です。世界の気象に大きな影響を及ぼし、ヒマラヤ山脈南麓で干ばつを、アンデス山脈西麓で豪雨を引き起こします」(立命館大学環太平洋文明研究センター特任教授の高橋学氏)

″異常気象の素(もと)″とも言われるエルニーニョ現象だが、恐ろしいのは過去最強クラスの「スーパーエルニーニョ現象」に発展する可能性が極めて高いことだ。

気象庁によると、今年はペルー沖の海面水温が1.5〜2.5℃も上昇するという。「スーパーエルニーニョ現象」とは海面水温が2.0℃以上、上昇するものを指し、観測史上4回しか記録されていない。通常のエルニーニョ現象が″スーパー″に発展するメカニズムは解明されていないが、地球温暖化が一因とされている。

’72年に初めて観測されて以降、直近では’15〜’16年に発生している。

その際はインドで同国史上最高となる51.0℃を記録した一方で、エチオピアやソマリアを中心にした東アフリカでは、豪雨による洪水で1100万人以上が深刻な食糧不足に陥った。世界保健機関(WHO)の発表によると、アフリカを中心にコレラやマラリアなどの感染症も発生し、世界中で最低でも6000万人に健康被害が出たという。

異常気象の影響を受けるのは、日本も例外ではない。懸念されるのは超巨大台風の襲来だ。気象情報会社ウェザーマップ代表で気象予報士の森朗氏が語る。

「エルニーニョでは、太平洋赤道域の東、つまりペルー沖の海面水温が通常より上がり、西側のフィリピン沖の温度が下がる傾向にあります。しかし今年は、フィリピン沖の海面水温が高いままで、高温域がむしろ東側に向かって広がっている。これにより広範囲で台風が発生しやすくなっています。また太平洋高気圧が日本列島全体を覆うように張り出してこないため、発生した台風は中国大陸へ向かわず、日本を直撃するルートを通る確率が高くなります」

インド洋北東のベンガル湾にも異変が起きているという。森氏が続ける。

「ベンガル湾の海面水温が下がる傾向を見せているんです。その影響で水蒸気を含んだ空気がフィリピン沖に流れ込みやすくなっており、巨大台風を生み出す要素が強化されています。ポイントは日本に来るまでに、どれだけ勢力が衰えるか。日本の近くまで海面水温が高い状況だと、強い勢力のまま襲来することは十分にあり得ます」

実際にスーパーエルニーニョ現象が起きた’15年夏には、九州を中心に死者・負傷者148人を記録した台風15号や、北関東を中心に死者8人を出し、鬼怒川の決壊などを引き起こした台風18号などの「殺人台風」が襲来している。

「過去に来たことがある超巨大台風と同クラスか、それ以上のものが来てもおかしくありません。ほかにも梅雨前線や秋雨前線に台風が近づくと、前線に湿った空気を大量に送り込むので、大雨をもたらす線状降水帯があちこちで発生するようになります。今夏は例年通りの酷暑に加え、超巨大台風や記録的な豪雨にも備えなければいけません」(森氏)

常識の通用しない異常気象をもたらすスーパーエルニーニョ現象。その″Xデー″が刻一刻と近づいている。

前回の発生時には、アフリカ南部でも大干ばつが発生。ヨーロッパでは記録的な熱波が発生するなど影響は世界中に及んだ
前回の発生時には、アフリカ南部でも大干ばつが発生。ヨーロッパでは記録的な熱波が発生するなど影響は世界中に及んだ

『FRIDAY』2023年7月14・21日号より

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