小4少女虐待死 なぜ誰も心愛ちゃんを救えなかったのか

娘を殴る父、見て見ぬふりの母

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亡くなった心愛ちゃん。今年1月7日の始業式から、小学校を休んでいたという

「1年半ほど前に引っ越してこられた当初から、『お母さん、怖いよ!』と泣き叫ぶ女の子の声をたびたび聞きました。夜中に『てめぇ、うるさいんだよ!』と男性がわめき、『パン!』と人をひっぱたくような音を聞いたこともあります」

千葉県野田市に住む、40代の主婦が話す。

同市で凄惨な事件がおきたのは、1月24日のことだ。会社員の栗原勇一郎容疑者(41)が、小学校4年の長女・心愛(みあ)ちゃん(10)を13時間以上に及び虐待。髪の毛を引っ張り、シャワーで冷水を浴びせるなどしたのだ。栗原容疑者の「娘の意識がない」という通報後、心愛ちゃんは自宅浴室で無残な姿で発見された。

「心愛ちゃんの胸や腹には、複数のアザがありました。栗原容疑者は『早く宿題をやれ!』と怒鳴り、ゲンコツで背中や顔面をたびたび殴っていたとか。『しつけ』と称して食事を与えず、夜中にたたき起こしてスクワットをさせたこともあるそうです」(全国紙社会部記者)

心愛ちゃんを救えなかった要因の一つに、児童相談所(児相)や市教育委員会の対応の悪さがある。心愛ちゃんが通っていた小学校の「いじめアンケート」から、柏児相は’17年11月に彼女を一時保護。しかし栗原容疑者が「誘拐だ!」などと猛反発したため、翌月には保護を解除した。さらに’18年1月になると、栗原容疑者がアンケートを見せろと要求。市教委は「訴訟を起こすぞ」という圧力に屈し、そのコピーを渡してしまったのだ。

元児相所長で、児童虐待防止協会の津崎哲郎理事長が語る。

「市教委は父親の恫喝(どうかつ)が恐ろしくて、子どもを犠牲にしたと言われても仕方ありません。虐待の証拠となるアンケートが父親に渡れば、逆上して怒りの矛先が子どもに向かうことは明白です。一方、児相の対応にも問題がある。昨年2月の父親との面談では、『お父さんにたたかれたのはウソ』などと記された書面が提示され、心愛ちゃんを親族の家から自宅に帰してしまいました。彼女がムリに書かされただろうことは想像に難くない。本気で心愛ちゃんの書面と認識していたのなら、児相の職員失格でしょう」

心愛ちゃんが犠牲となったもう一つの要因が、見て見ぬふりをした母親のなぎさ容疑者(31)の態度だ。自身もDVを受けていたため、「娘が叱られれば自分は暴力を受けない」と虐待を黙認。虐待容疑の共犯として2月4日に逮捕された。

家庭問題に詳しい、弁護士の髙橋知典氏が話す。

「日常的にDVを受けていると思考停止状態になり、正しい判断ができなくなります。だからと言って、娘を守れなかった罪から逃れられるワケではない。虐待はいきなり始まるのではなく、声が大きくなるなど必ず前兆があります。初期の段階で、娘を父親から遠ざけ親族に預けていれば結果は違っていたはずです」

“主犯”の父親の罪が最も重いのは言うまでもない。しかし、心愛ちゃんの命を救うチャンスは何度もあったのだ。

虐待の現場となった野田市内のアパート。部屋の前には、近隣の住民により献花がされていた
2月5日、千葉県警松戸署から送検される母親のなぎさ容疑者。夫からは「オマエは無能」と罵倒されていた
栗原容疑者は虐待について「しつけでたたいたり立たせたりした。悪いことをしたと思っていない」と供述

 

  • 写真蓮尾真司(アパート、母親)、フェイスブックより(父親)

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