獲得するのは本塁打王だけでない…大谷翔平「メジャー最強打者の証・三塁打を量産しまくる」意外な理由
三塁打すでに6本!球宴前に本塁打32発もスゴイけど……
前半戦のラストゲームとなるドジャース戦(現地時間7月8日)の3回表、エンゼルスの大谷翔平(29)は2番手投手のマイケル・グローブ(26)が投じたストレートを強振! 白球は凄まじい勢いで右中間を切り裂いた。ライトを守るムーキー・ベッツ(30)が処理にもたついているのを確認した大谷は、一気にギアを上げて三塁へ到達――。わずか11.67秒の出来事だった。
「同日に打った第32号ホームランにはさすがの一言しかありません。しかし現地記者が最も驚いているのは、むしろ三塁打のほうなんです。去年、62ホーマーを放って本塁打王を獲得したアーロン・ジャッジ(31・ヤンキース)はシーズン前半に33本塁打を記録しましたが、スリーベースは0本。
一方の大谷はすでに6本を放ち、リーグトップに立っています。この事実が意味するのは、大谷がパワーとスピードを兼ね備えた最強の打者だということでしょう」(スポーツ紙デスク)
公称で95㎏、実際には100㎏以上とも言われる鋼の肉体を操り、シーズン2ケタ盗塁をコンスタントに記録する大谷は、打者単体として見ても稀有な存在だ。プロ野球選手の指導経験を持つ、関メディベースボール学院チーフトレーナーの藤田真悟氏はこう話す。
「あれほど手足が長くて身体の厚みがあれば、通常はギクシャクした走り方になってしまう。しかし、大谷からはそれが全く感じられないんです。日本人でそんな選手はいません。あの動きの滑らかさを解き明かすヒントは、登板時に行っている、重いボールを壁に当てるトレーニングにあります。おそらく、インナーマッスルを鍛える狙いがあるのでしょう。
打球を遠くに飛ばすにしても、足の回転を速くするにしても、出力を上げるためのアウターマッスルが必要ですが、それを最大限に活かすには関節の動きをコントロールするインナーマッスルも重要。ただ筋肉をつけるだけでなく、バランスを考えながら、計画的に鍛えています」
投手・大谷のルーティンが、最強打者・大谷の誕生に繋がっているのだ。二刀流という神の領域に君臨する大谷だからこそ、成し得る神業と言えよう。
唯一、気がかりなのが疲れだ。やはり前半戦に大活躍した’21年、大谷はオールスター後に失速している。しかし、スポーツライターの友成那智氏は「シーズン終了まで活躍を続ける」と太鼓判を押す。
「一昨年とは異なり、今年の大谷は、ホームランダービーを辞退し、オールスターで登板もしない。潰(つぶ)れたマメや割れた爪の影響もあるのでしょうが、後半戦へのコンディション調整の面でも最適な決断と言えるでしょう。
それに過去2年間の経験がありますから、ペース配分も心得ているはず。エンゼルスは主軸のマイク・トラウト(31)を欠くなど苦しい展開ですが、大谷が史上最高のシーズンを送るのは間違いありません」
このまま本塁打王と″三塁打王″に輝けば、45年ぶり、史上9人目の大記録となる。大谷なら難なく実現できそうだ。

『FRIDAY』2023年7月28日号より
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