<figure id="attachment_321596" aria-describedby="caption-attachment-321596" style="width: 720px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a0e18b0c"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/86767c5f1798de9444c0ee291fd60e9b.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-321596" class="wp-caption-text">入棺ワークショップに参加した女性。お洒落なお棺に合うように服もコーディネートして来ていた</figcaption></figure>
横浜のショッピングビル・横浜ビブレのエスカレーターを上がって行った正面に、いきなり視界に飛び込んで来るのは、ずらりと並べられた棺桶だった。
しかし、これらの棺桶は、かなり普通ではない。赤のチェック柄だったり、淡い緑色のものはドット柄だったり、黒いものはひらひらのフリルがついた完全なゴスロリ仕様。「ゴスロリファッションを揃えるならビブレ」と言われるほど、ポップでオシャレなフロアの雰囲気にがっつりと溶け込んでいるのだ。
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ここ7月23日までの期間限定でポップアップストアを出典している『GRAVE TOKYO』は&#8217;15年にデザイナーの布施美佳子氏が立ち上げたフューネラルグッズのブランドだ。“自分が入りたくなるような”デザイン性の高い棺桶や骨つぼを製造、販売している。ここに並べられた棺桶は１基27万5000円だという。
「私はこれまでにデザイナーの知人や友人を亡くして、葬儀に出席したことが何度もあります。やはり、大事な人を亡くしたばかりの家族は、葬儀について考える余裕はないのでしょう。お仕着せのごく普通の葬儀ということが多かったです。
故人を知っている自分としては、これまでの人生をデザインにこだわってきたあの人がやりたかった葬儀は、こういうスタイルだったのかなと疑問に思うこともありました。もし、自分だったら嫌だなと思って’15年に骨つぼのデザインを始めました」（布施氏）
中には子供を亡くした親が「子供が好きだったキャラクターで送り出したかった」と相談してくる例もあるという。ただし、キャラクターをデザインした葬式グッズはまだ作られたことがないとのこと。
しかし「グッチがドラえもんとコラボする時代なので、実現は遠い未来ではない」と布施氏は言う。地方にある実家のお墓に通えなくなって、墓じまいが相次いだり、「旦那と一緒の墓には入りたくない」という女性も増えている現在、葬儀の形は変わりつつあるのかもしれない。
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そして、このポップアップストアでは、ふだん布施氏が江東区のアトリエで開催している「入棺体験ワークショップ」も開催している。入棺体験ってどういうこと？
「人間は死というゴールに向かって生きているのに、ふだんはゴールのことは考えません。人生のゴールについてもっと夢や希望を持つことができれば、現在の人生も充実したものになるのではないか。実際にお棺に入ってみて、もし、このまま焼かれてしまっていても後悔はないのか、死や人生について今一度見つめなおします」（布施氏）
<div data-friday-nextpage-lead="入棺してみた！"></div>
とりあえず参加してみた。ワークショップではまず最初に他の参加者とペアになって「あなたは誰ですか？」という質問を５分間受け続ける。
「あなたは誰ですか？」「男です」「50歳です」「東京生まれです」「webのライターをしています」「お酒を飲むのが好きです」……。５分間答え続けると、けっこうな個人情報まで吐きだして、さらに絞り出さなければならない感じに。これは自分の棚卸し的な何かだろうか。それをもう１人が書き留めていく。
次のワークは「あなたの葬式に参列した人からの弔辞をかきましょう」というお題。弔辞は誰からのものでも、架空の人物でも良いとのこと。これも難問だ。とりあえず弟からの弔辞ということで書いていったら、自分がこれまでにしでかしてきた実家への不義理を責め立てるという、これまた恥ずかしい内容になってしまう。
ただ、これらのワークは必ずしも100％プライベートをさらけ出さなければならないことはなさそう。僕はけっこうさらけ出してしまったけど。
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そしていよいよ入棺。オランダ製の壁紙をベースにデザインされたオシャレなお棺に入る。サイズは６尺というものだそうだが、小さくて足を伸ばすと頭がつっかえて少々窮屈だ。「××さん、お疲れ様でした～」「ゆっくり眠ってくださいね」と、参加者やスタッフが声をかけながら次々に花をお棺に入れて、僕の“遺体”を飾ってくれる。
そして“お別れ”。お棺のフタが閉められ、さらに顔の部分も閉じられて真っ暗に。
暗くなっただけでなく、音も消える。真っ暗闇の中、遠くから聞こえてくる弔辞、そして最初に書いた情報をネタに僕についての噂話も。
「ずいぶんお酒が好きだったんですね」「むこうでたくさん飲んでいるかしらねえ」「旅行好きでしょっちゅうタイに行っていたみたいですよ…」
ワークショップの前に布施氏は、こうも言っていた。
「日本人は褒められると照れて謙遜しがちですが、死んじゃっているから、どんなに褒められても謙遜や否定ができないんです。あらゆる人から褒められて、その言葉だけで10年生きていけるという人もいる。生前葬や入棺式は自己肯定感を高めるんですよ」
あまり褒められていないけど、その場にいる人全員が僕について話しているのを一方的に聞くのは、あまりない体験でちょっと上がるけど変な気分だ。しかも、真っ暗な中で遠くから聞こえてくるので、本当にあの世に来てしまった気がする。このまま本当に死んだら嫌だなという気持ちも。
しばらくすると、お棺のフタがコンコン、とノックされて３分ほどの入棺体験は終了した。
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僕以外の参加者３名も次々に入棺する。中には弔辞が読まれている途中で感極まって泣き出してしまった人もいた。結婚式の両親への花束贈呈のように、儀式性を高めることで感情のフタが開きやすくなるらしい。
これまでに参加した人たちは「リフレッシュした」「死ぬまでの人生を大事に生きようと思った」「人から関心を持たれて心が温かくなった」という。この日参加していた女性の１人は「お母さんのお腹の中にいるような気持ちになった」と語っていた。
ワークショップは21にも開催。ふだんはまったく気にしない“死”について、少し思いを馳せるこういう機会があってもいいのかもしれない。
<figure id="attachment_321598" aria-describedby="caption-attachment-321598" style="width: 720px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ebf4ebb8"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/e952e8ab7342e08287168023afe87a10.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-321598" class="wp-caption-text">お棺に入るとちゃんと花で飾ってくれる。なんか本当に死んだ気分に</figcaption></figure>
<figure id="attachment_321599" aria-describedby="caption-attachment-321599" style="width: 720px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b438f627"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/7978f48902be693e5a6ab85dfcb88c56.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-321599" class="wp-caption-text">弔辞を読み上げる布施氏。感極まって泣き出してしまう参加者もいた</figcaption></figure>
<figure id="attachment_321602" aria-describedby="caption-attachment-321602" style="width: 720px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e72109ab"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/8977a88813ff3e4a2576358fe8f071c4.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-321602" class="wp-caption-text">ゴスロリと死は親和性が高いという</figcaption></figure>
<figure id="attachment_321601" aria-describedby="caption-attachment-321601" style="width: 720px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c188c0b4"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/55a9f510cb66d7958e4fc377562f7329.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-321601" class="wp-caption-text">こちらはいわゆる「甘ロリ」と言われるオーソドックスなロリータ風</figcaption></figure>
<figure id="attachment_321603" aria-describedby="caption-attachment-321603" style="width: 720px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="18e628b4"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/9cfb5528148a6b898660b735250f9e48.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-321603" class="wp-caption-text">こちらも甘ロリ風。普通にインテリアとしても使えそう</figcaption></figure>
<figure id="attachment_321600" aria-describedby="caption-attachment-321600" style="width: 720px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="deed6859"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/c5120572ee49eb0a988e5ad90172de12.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-321600" class="wp-caption-text">バービー人形のパッケージをイメージした棺桶。ピンクは顔色が明るく見えるという</figcaption></figure>
<figure id="attachment_321604" aria-describedby="caption-attachment-321604" style="width: 480px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="36549123"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/b539adef8aea3686f2ed2ffb96813199-rotated.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-321604" class="wp-caption-text">位牌などの小物も</figcaption></figure>
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足立百合

横浜のファッションビルに現れたゴスロリデザインの棺桶ショップが話題に。ここで行われている入棺体験ワークショップは、体験すると自己肯定感が上がると評判。実際に参加してみた。

「ゴスロリ×棺桶」ポップでアートな棺桶で「入棺体験」ご遺体目線で人生を考えてみた

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