武装蜂起した「ワグネル」だけでない…ロシアの火種「30以上の民間軍事会社」反乱のカウントダウン | FRIDAYデジタル

武装蜂起した「ワグネル」だけでない…ロシアの火種「30以上の民間軍事会社」反乱のカウントダウン

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経営するレストランがプーチン大統領に気に入られたプリゴジン氏(左)。「プーチンの料理人」と言われるゆえんだ(PHOTO:AP/アフロ)
経営するレストランがプーチン大統領に気に入られたプリゴジン氏(左)。「プーチンの料理人」と言われるゆえんだ(PHOTO:AP/アフロ)

プーチン大統領は、いまだに対応を苦慮しているようだ。

6月23日に突然、武装蜂起しロシア軍へ反旗を翻した民間軍事会社「ワグネル」に対してである。「ワグネル」は首都モスクワの南約200kmの地点まで進撃。不意打ちを受けたロシア軍は、「ワグネル」との衝突で軍用機7機が撃墜され10人以上が戦死したといわれる。

「プーチン大統領の顔に泥を塗ったわけですから、創設者のプリゴジン氏は殺害され『ワグネル』は解体されるのではという憶測がありました。しかしプーチン大統領は、反乱が収束した5日後にプリゴジン氏ら『ワグネル』幹部と極秘会談し丁寧に対応しています。

ロシアの同盟国ベラルーシは、7月14日に『ワグネル』の兵士が同国軍を訓練する映像を公開。英紙『インディペンデント』などは、プリゴジン氏がベラルーシの軍事基地にいるのではと報じています。事実だとしたら、プーチン大統領が『裏切り者』に対し異例の配慮をしていることになるでしょう」(全国紙国際部記者)

担った正規軍ができない「汚れ役」

なぜプーチン大統領は「ワグネル」へ気を使うのだろうか。ロシア情勢に詳しい筑波大学名誉教授の中村逸郎氏が、その理由を解説する。

「『ワグネル』は中東やアフリカにも展開し、集団処刑や児童誘拐などにも手を染めていました。ロシアの正規軍ができない『汚れ役』を担っているんです。

また『ワグネル』がウクライナとの戦闘で、最も戦果をあげていた精鋭部隊であることも事実。プリゴジン氏が公言しているように、『ワグネル』はウクライナで米国製の最新兵器を買いあさり戦っていたんです。これまでの功績から、簡単には無下にできないのでしょう」

民間軍事会社の問題は「ワグネル」に限ったことではない。多国籍の情報分析会社「モルファー」によると、ロシアには民間軍事会社が30以上あるという。こうした軍事会社は兵士にとって魅力的な存在だと、中村氏は続ける。

「給与も装備も正規軍より良いですからね。彼らはロシアの法律上認められていないからこそ汚れ役を買って出て、正規軍より結果を出しているという自負があるでしょう。『ワグネル』の乱によって冷や飯を食わされるようなことになれば、不満が爆発し一斉に反旗を翻す危険性もあります。ロシアは彼らを利用する一方で、大きな火種を抱えているんです」

「ワグネル」への対応に苦心するプーチン大統領。背景には国内で乱立し、巨大化した民間軍事会社の看過できない存在があるのだ。

  • PHOTOAP/アフロ

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