純利益が3年で5億から14億超え…視聴率三冠のテレビ朝日「したたかな配信戦術」驚きの中身 | FRIDAYデジタル

純利益が3年で5億から14億超え…視聴率三冠のテレビ朝日「したたかな配信戦術」驚きの中身

連載 スタッフは見た!週刊「テレビのウラ側」Inside story of Television

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TBS、テレビ東京、WOWOWなどによる動画配信サービス『Paravi』と定額制動画配信サービス大手の『U-NEXT』が6月30日に統合。単純合計で会員数は約385万人になり、国内最大の配信サービスとなった。

『UVERworld』のTAKUYA∞。彼らの初の冠特番『UVERworld ROOM~やけにチャイムの鳴る夜~』が、若手視聴者獲得に大きく貢献した
『UVERworld』のTAKUYA∞。彼らの初の冠特番『UVERworld ROOM~やけにチャイムの鳴る夜~』が、若手視聴者獲得に大きく貢献した

「コロナ禍以降、動画配信サービスは好調なイメージがありますが、Paraviは’18年のサービス開始以降、一度も黒字になっておらず、トータルで100億円近い赤字を抱えていた。好調なU-NEXTと統合することで苦境を脱したかったのでしょう」(キー局プロデューサー)

配信事業が好調なのが、意外にも「スポンサーが重視するコア視聴率(13~49歳男女の視聴率)対策で遅れを取っていたテレビ朝日」(制作会社ディレクター)なのだという。

「テレ朝の定額制動画配信サービス『TELASA』は通信大手のKDDIと合弁で立ち上げているためか、テレ朝のコンテンツの活用が実にうまい。実際、売り上げが年々伸びています」

官報によると、’20年度の純利益は5億円強。これが’21年度に9億円、’22年度は14億6000万円に成長している。

「テレ朝本体の’22年度の純利益が13億円ですから、利益だけで言えばTELASAは親会社超えを果たしている状態です」(テレ朝関係者)

TELASAの成長の背景にあるのが、「ローコストでのコンテンツ制作」という戦略なのだという。

「『ミュージックステーション』チームのパイプを使って、人気アーティストの冠番組を連打しているのです。例えば6~7月に放送された『UVERworld』の初冠番組。

地上波で放送した後、オンエアから漏れたシーンを配信限定で公開してファンをTELASAに誘導しました。配信用の収録がないため、経費が抑えられるし、アーティスト側もプロモーションに繋がるのでWIN-WINなんですよ」(レコード会社関係者)

日中韓の女性9人組グループ『Kep1er』の冠番組もこの手法で制作。5月には『徹子の部屋 羽生結弦特別編』を配信限定で公開して話題をさらった。

「コア視聴率対策では遅れを取りましたが、そこは2時間モノのサスペンスドラマや得意の刑事モノで手堅いビジネスをしてきたテレ朝。配信でも着実に稼いでいますね。

一方で、深夜のバラエティ枠『バラバラ大作戦』などで若手スタッフとタレントの発掘・育成に力を入れている戦略が追い風となって、テレ朝ではいま、深夜帯や特番で実験的な番組が増えています。企画が通りやすいので、フリーのテレビマンは”面白い企画はテレ朝に”が合い言葉になりつつある」(放送作家)

YouTube展開も積極的だ。

「局の公式チャンネル『動画、はじめてみました』では、メタバースアイドルやアニソンもののほか、『バラバラ大作戦』と連動した企画もアップしています。『バラバラ大作戦』が20分弱の枠なのも、ショート動画に慣れ親しんだ若者を意識したものですしね。

テレ朝は時代劇などお年寄りにウケる番組作りが巧みで、’22年度の視聴率三冠王(世帯視聴率)を獲得しましたが、配信では若い視聴者も掴んでいる」(前出・制作会社ディレクター)

地上波と配信の”棲み分け”という戦術で、テレ朝が業界を席巻しつつある。

『FRIDAY』2023年7月28日号より

  • PHOTO足立百合

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