<figure id="attachment_323262" aria-describedby="caption-attachment-323262" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b6c27fa7"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/c8b2c1e51c4bf00e26de4f0a208752a8.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-323262" class="wp-caption-text">強盗に押し入られた川崎市の時計店</figcaption></figure>
<p>6月11日午後1時、JR川崎駅西口からほど近い時計店で粗暴で凶悪な強盗事件が発生した。</p>
<p>人通りの多い日中での犯行とあって目撃者が多数おり、実行犯の姿はスマホ等で撮影され、たちまちSNSに投稿された。周辺の防犯カメラにも、以下のように犯行の一部始終が映っていた。</p>
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<p>――店の前を黒のコンパクトカーが通り過ぎて停車。黒い目出し帽をかぶった2人の男が車から駆け出して店に押し入り、ショーケースをバールでたたき割る。</p>
<p>そのまま、2人はショーケースから高級時計を強奪しようとしたが、店員の思わぬ抵抗に遭い、腕輪（バングル、約40万円）1本を盗ったのみで逃走した。</p>
<p>実行犯の一人は現場近くで店員に取り押さえられ、その様子がネット上に拡散。馬乗りになられて息も絶え絶えになり、何事かをわめく姿が晒（さら）された。駆けつけた警察官とのやりとりもハッキリと聞き取れる。</p>
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<p><span class="strongInContent">警察官「友達か！」</span></p>
<p><span class="strongInContent">実行犯「わからない！　わからない！」</span></p>
<p>あっさりと取り押さえられ、暴れていたのは大阪・高槻市在住の男（当時26）。SNSに投稿されていた、いわゆる「闇バイト募集」に釣られて実行犯となっていた。捜査関係者などによると、男は警察の取り調べに、意外な言葉を口にしているという。</p>
<p><span class="strongInContent">「時計店と保険業者とは話がついている。強盗に入られたら、被害届を出して保険で補償することになっているから店では誰も抵抗しない。大丈夫」</span></p>
<p>闇バイトの指示役からこう聞いていた、と供述しているのだ。そんな都合のいい話があるだろうか。関係者が補足する。</p>
<p><span class="strongInContent">「男は障害者手帳を持っているようだ。自閉スペクトラム症（ASD）と見られる。指示役は、男が少し拙いと分かったうえで、荒唐無稽な作り話を持ち出して犯罪に誘導したフシがある」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="書類を偽装して車を調達"></div>
<p>運転手を含めた実行犯3人は、指示役に現場近くの公園に集められ、どの店をターゲットとするか、店の様子はどうなっているか、どのような手順で時計を強奪するかについてレクチャーを受けていた。</p>
<p>車を調達したのは住所不定、無職の別の男だった（当時26）。彼は他人名義の運転免許証を使って犯行用のコンパクトカーをレンタルしており、強盗致傷罪に加えて有印私文書偽造・同行使容疑でも逮捕された。</p>
<figure id="attachment_322999" aria-describedby="caption-attachment-322999" style="width: 5760px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="1a712d78"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/302c9cf0b6b65bab814a662ab17c3d12.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-322999" class="wp-caption-text">「闇バイト」の誘惑にのせられる若者も少なくない</figcaption></figure>
<p>車を調達した男は時計店の正面近くで実行犯を降ろして待機。強奪後にピックアップして逃走する計画だったが、店員の抵抗を受けて強盗が失敗するや、共犯の2人を見捨てて現場から走り去った。</p>
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<p>もう一人の実行犯、横浜市在住で職業不詳の男（当時25）は現場からの逃走には成功したが、7月11日に強盗致傷容疑で逮捕された。取り調べに対し<span class="strongInContent">「ケガはさせていない」</span>と供述しているという。</p>
<p>強盗致傷罪は法定刑が無期懲役まであり、下限も6年以上と重たい。一方、強盗は5年以上の有期懲役と定められている。強盗でケガをさせてしまうかどうかは大きな違いで、闇バイト強盗の指示役の多くは<span class="strongInContent">「ケガはさせるな」</span>と指示することが少なくない。</p>
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<p>現場で取り押さえられた高槻市在住の男は<span class="strongInContent">「共犯の2人とは事件当日、初めて会った」</span>と供述しているという。典型的な闇バイト強盗の末端で、犯行グループ上層部にとって、いつでも切り捨てられる存在だったのだ。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="「タタキしかないよ」"></div>
<p>闇バイトで強盗を計画するグループは、同時に特殊詐欺を展開していることが多い。名簿や飛ばしの携帯の調達、SNSで実行犯を募るなど、犯行までの準備が類似しているからだ。</p>
<p>闇バイト応募者を実行犯に仕立て上げるまでのプロセスも手が込んでいる。手持ちのスマホを一定期間借り上げて報酬を払ったり、ロッカーからロッカーへ現金やキャッシュカードを運ぶだけで報酬を払ったりする。比較的心理的負担の少ないことをやらせて1万円程度の謝礼を渡し、慣れさせるのだ。</p>
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<p>しかし、こうした簡単な「闇バイト」も、年間300億円超の被害を出している特殊詐欺事件の一端を担っている。スマホは特殊詐欺の連絡用に使われ、ロッカー間の移動は資金の運搬に役立つのである。</p>
<p>そして、指示される犯罪行為はエスカレートしていく。</p>
<p><span class="strongInContent">「手っ取り早く、大きく稼ぐならタタキ（強盗）しかないよ」</span></p>
<p>これは、ある特殊詐欺グループの実質的トップが、末端の実行役に放った言葉だ。タタキの方法を一方的に説明して、相手が躊躇すると<span class="strongInContent">「聞いたからには1件はやってもらう」「断われると思うなよ」「家族を殺すぞ」「家に火をつけるぞ」</span>などと脅し始める。</p>
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<p>そもそもカネに困っているわけだから「1件ぐらいなら」と受けてしまうケースが後を絶たないのだ。ここで実行犯の男が指示役から言われた説明が効いてくる。<span class="strongInContent">「保険会社と話がついている」</span>と言われれば、犯行に及ぶハードルはグッと下がるのだ。</p>
<p>もっとも、そんな都合のいい話はどこにもない。強奪が成功すればアガリとして上納させられ、次の犯行を指示される。失敗すれば切り捨てられる。どちらに転んでも、末端の実行犯に明るい未来などあり得ない。</p>
<p>特に、川崎時計店強盗致傷事件、その末端を担った高槻市在住の男に強盗を実行させた犯行グループの狡猾さと凶悪性の闇は恐ろしく深い。男の初公判は、横浜地検川崎支部で7月25日に行われる。</p>


共同通信（1枚目）、アフロ（2枚目）

6月11日に川崎市で起こった時計店強盗。当時26歳の実行犯が現行犯逮捕されたが、この男が衝撃の供述をしているという。明かされた悲しすぎる事情とは。　

店と話はついている…川崎時計店強盗・26歳実行犯「驚愕の供述内容」と「悲しすぎる素顔」

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