<figure id="attachment_322971" aria-describedby="caption-attachment-322971" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="03a7ee88"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/f4ee9355509bee240aa2096459a8bd83.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-322971" class="wp-caption-text">左上：佐藤二朗や藤田ニコルを起用したユニークCMで顧客の注目を集めることに成功 右下：「ソースカツ丼」や「とんこつチキンカツ丼」など、変わり種かつ丼で飽きさせない 左下：人気６種類の素材を載せた「オールスター天丼」が楽しめる</figcaption></figure>
<p>「うまい、安い、早い」――。「吉野家」のおなじみのキャッチフレーズが示すように、丼ものチェーンは常に庶民の味方だ。FRIDAY記者が吉野家を訪ねた平日の12時ごろも、店内は昼休み中のサラリーマンと学生でごった返していた。から揚げ丼や牛麦とろ丼など、現在では様々なメニューを展開するようになったが、やはり人気なのは、白ワインをふんだんに使った飽きの来ないタレとジューシーな牛肉のハーモニーが魅力の牛丼（並）だ。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>注文してから２分もかからぬうちにアツアツの状態で提供され、カウンターに座る客たちは無我夢中でかきこむ。その間わずか10分ほど。一分一秒を争うランチタイムにおいて、この牛丼がいかに魅力的であるかは想像に難くない。</p>
<p>変わらぬ美味さで固定客を離さない吉野家の、著しい変化と言えば、その価格だろう。10年前の’13年７月には税込み280円だったが、’23年７月現在では448円と、150円以上の値上げが行われた。背景にあるのは、原油高や円安などによる牛肉の仕入れ値の高騰だ。″ミートショック″とも称されるこの現象の影響は、吉野家と覇権を争う、「松屋」と「すき家」のいわゆる″三強″にも波及している。両社の並の価格は、10年前には280円で吉野家と同じだったが、現在は400円だ。</p>
<p><span class="strongInContent">「後発２社の黎明期の課題は、吉野家といかに差別化を図るか、ということでした。松屋は定食やグリル系メニューで、すき家はユニークなトッピングを載せた″変化球牛丼″で独自性を出しました。</span></p>
<p><span class="strongInContent">ところが、現在ではそれが当たり前になりつつあり、吉野家も牛丼一筋から脱却してカレーや定食など多種多様なメニューを取り揃えるようになっている。かつては三社それぞれ個性が感じられましたが、現在では似たり寄ったりになってしまっています」（飲食コンサルタントの須田光彦氏）</span></p>
<p>膠着した状況を打開すべく、三強はそれぞれが新たな活路を見出そうと手は打ったが、必ずしもうまくいってはいない。吉野家は、牛丼チェーンの弱点である夜間の需要を獲得しようと、’14年から牛皿とアルコールを組み合わせた「吉呑み」をサービスインしたが……。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p><span class="strongInContent">「ビールに合うメニューのバリエーションが乏しく、訴求効果はイマイチでした。また、お客さんの滞在時間が長くなって、牛丼チェーンの要である回転率が落ちてしまうんです。コロナの影響で撤退したような形になりましたが、プロジェクトとして失敗でした」（同前）</span></p>
<p>価格高騰が続く牛肉以外の食材のメニューの開発にも積極的だ。</p>
<p><span class="strongInContent">「仕入れ値が安い鶏肉を使ってから揚げ丼や焼き鳥丼を作っています。上層部の肝いりで10年かけて開発した親子丼もその一つでした。ところが、元常務の『生娘をシャブ漬け戦略』という不適切発言と時期が被ってしまったせいか、販売を取り下げてしまったのです」（フードジャーナリストの長浜淳之介氏）</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="三社は海外進出を加速"></div>
<h2>三社は海外進出を加速</h2>
<p>松屋は、松屋フーズホールディングスが運営する別業態の「マイカリー食堂」（カレー店）や「松のや」（とんかつ・かつ丼店）を併設した店舗を増やし、総合力で″ミートショック″に立ち向かう。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>すき家を運営するゼンショーホールディングスは、親子丼に強い「なか卯」も運営。吉野家の敵失を逃さず、親子丼市場を独占し、ほぼ一強状態だ。また、すき家本体としても″海鮮″で２社との違いを打ち出している。</p>
<p><span class="strongInContent">「すき家は唯一、レギュラーメニューに海鮮系の商品が入っている。『まぐろたたき丼』（並・590円）は300円プラスすると頭のまぐろが２倍になり、ご飯も大盛になります。ゼンショーグループは『はま寿司』も運営しており、強みを存分に発揮していますね。また、ご飯の代わりに豆腐やサラダの上に牛肉を載せる『牛丼ライト』（並・500円）など、ヘルシーなメニューもあり、選択肢が広い」（Ｂ級グルメ探究家の柳生九兵衛氏）</span></p>
<p>なか卯と併せれば、現状でもっとも覇者に近いのはすき家と言える。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>ただ、いずれの戦略も、ダンゴ状態を抜け出すほどの起爆剤となっていないのも確かだ。</p>
<p><span class="strongInContent">「これからは、国内需要の拡充よりも、海外へ打って出る動きが強まるでしょう。欧米はもちろん、経済成長を続ける米文化の東南アジアに、三社はどんどん出店していくようです」（前出・長浜氏）</span></p>
<figure id="attachment_322973" aria-describedby="caption-attachment-322973" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9482e90e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/c920341f13cce9625acb65f3e47a3e7b.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-322973" class="wp-caption-text">海外展開を進めるすき家。香港の店舗が開店した際は、多くの人がその味を確かめに行列を作った</figcaption></figure>
<div data-friday-nextpage-lead="天丼とかつ丼の時代に！"></div>
<h2>天丼とかつ丼の時代に！</h2>
<p>三強がニラみ合っている間に国内で急拡大しているのが、天丼とかつ丼だ。特に、「天丼てんや」（全国146店舗）、「かつや」（’15年には全国300店舗→全国450店舗）の勢いは凄まじい。フードアナリストの重盛高雄氏が解説する。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p><span class="strongInContent">「かつやは注文後にかつを揚げて卵でとじるので、アツアツ、サクサクのかつを楽しめる。てんやも注文後に揚げてくれ、タレをかける際の『シュワッ』という音がカウンターから聞こえてくる。牛丼はレトルトで似たものを食べることができますが、揚げ物を自宅で作るのは大変。かつやのカツ丼（梅）なら594円で、一回食べると100円引き券をくれます。てんやの天丼（並）は、エビやキスが入って560円。確かに牛丼よりは少し高い価格設定ですが、それに見合う価値があります」</span></p>
<p>かつやは、利益率の高さでも業界の注目を集めている。</p>
<p><span class="strongInContent">「経常利益率で約12％と、上場している外食企業ではトップクラスの数字を出している。通常、飲食店なら５％がやっとですから、その凄まじさがわかるでしょう。メニューの分量も細かく設定され、肉は全て工場で決まった量をカットし、店舗では衣をつけて揚げるだけ。商材をかつに絞ることで効率良く運営しています」（前出・須田氏）</span></p>
<p>てんやは高齢者やインバウンド客の需要が大きい。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p><span class="strongInContent">「浅草で5000円以上もする天丼を食べた外国人観光客が、その約10分の１の値段で楽しめるてんやの天丼に感動し、リピートしています。てんやはＬＩＮＥで友達登録すると海老天を１本追加できるキャンペーンを不定期で開催するなど、初回の顧客にも強い」（前出・重盛氏）</span></p>
<p>かつやを運営する「アークランドサービス」も天丼に目をつけ、’19年に「天丼はま田」をオープン。首都圏に６店舗とまだ少ないが、価格を少し高めに設定し、てんやとの差別化を図り拡大を狙う。</p>
<p>FRIDAY記者がはま田の店舗を訪れると、奥行きのある白木のカウンターと、調理の過程を眺めることのできるオープンキッチンが出迎えた。ごま油が香る店内は、さながら高級店のよう。注文した江戸前天丼（1760円）は大きなあなごや頭つきのエビなどが味わえるため、和食ファミレスで高い天丼を頼むより、ずっと満足度が高い。</p>
<p><span class="strongInContent">「最近は丼ものも、『早い・安い』だけでなく、『お金を払ってでも美味しいものを食べたい』という需要が出てきている。吉野家が黒毛和牛を使った牛重（1527円）を国会議事堂と羽田空港の店舗で出しているのも、その流れを汲んでのことだと思います」（前出・長浜氏）</span></p>
<p>庶民の胃袋を掴むのか、プチ贅沢路線に舵を切るのか。激化する「丼もの戦争」は、次のステージへ入っている。</p>
<figure id="attachment_322969" aria-describedby="caption-attachment-322969" style="width: 1438px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a713b60f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/9bb72091c9464fc5791eb49a7a1554b0.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-322969" class="wp-caption-text">天丼だけでなく、季節野菜や旬の魚を使った天ぷらとそばのセットを楽しむこともできるため、家族連れにも人気</figcaption></figure>
<figure id="attachment_322972" aria-describedby="caption-attachment-322972" style="width: 2341px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a230b3bc"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/b8dd51bb9bf69b92e19380709d2c8a26.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-322972" class="wp-caption-text">国会議事堂内にある吉野家では、牛重が大人気。FRIDAY記者が訪れた際も、売り切れになるほどだった</figcaption></figure>
<p><a href="#" data-ident_hash="358ef49b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/eaba23ae3f288c3eb15351f7b10c2aa3.jpg" alt=""></a></p>
<figure></figure>
<p>『FRIDAY』2023年8月4日号より</p>


AFLO（すき家）

「吉野家」「すき家」「松屋」の三強が″ミートショック″で大打撃！価格高騰が続く牛肉以外の食材のメニューの開発や、海外進出、プチ贅沢路線など激化する「丼もの戦争」。覇権を握るのはどの店か！？

牛丼一筋から脱却…″丼もの″チェーンの「アツすぎる大乱戦」覇権を握りそうな意外なダークホース

あなたへのオススメ

関連記事