中国・不動産不況の象徴…天津市の1兆円117階建て「超高層ビルが資金難で工事頓挫」衝撃の背景 | FRIDAYデジタル

中国・不動産不況の象徴…天津市の1兆円117階建て「超高層ビルが資金難で工事頓挫」衝撃の背景

建設費1兆円以上が投入され、’18年には完成予定だったが……

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天津市郊外にそびえる高銀金融117。周囲を取り囲むようにマンションが建ち並ぶが入居者の姿はあまり見ない
天津市郊外にそびえる高銀金融117。周囲を取り囲むようにマンションが建ち並ぶが入居者の姿はあまり見ない

周囲を圧倒する存在感、天まで届くかと錯覚するような高さ――。

中国東部・天津市郊外にそびえる超高層ビル『高銀金融117』だ。117階建てで高さ597m。しかし、この高層建築は「世界一高い未完成ビル」という不名誉な異名を持つ。今年5月に現地を訪れた、ジャーナリストの高口康太氏が語る。

「まだ建設中という触れ込みですが、作業員の姿や重機はなく工事再開の気配すらありません。ところどころ雑草が生え鉄筋がむき出し、廃墟同然なんです」

高銀金融117は’08年に着工し、ショップやオフィスの複合施設として’18年には完成する予定だった。だがデベロッパーの資金難により、工事は数年前に頓挫。これまでに投入された建設費は、1兆円以上になるという。高口氏が続ける。

「現場は、天津市の中心部から車で30分ほど離れた陸の孤島です。周囲に目立った施設もなく、誰がここにオフィスを構えるのだろうと疑問を持ちました」

背景には、習近平国家主席の「失政」があるとされる。

「大都市への人口集中を解消しようと、習氏は郊外や地方に『新城』と呼ばれるニュータウンやオフィス街を作ったんです。経済が右肩上がりの時は、投資対象などのため人々が先を争い借金をしてまで購入。しかし新型コロナ禍やバブルを警戒した当局の引き締めにより、一気に熱が冷めます。人々は買い控えに走り、資金難に陥った不動産会社は工事を中断せざるを得なくなったんです」(高口氏)

現在も放置される高銀金融117は、中国が直面する不動産不況の象徴なのだ。

『FRIDAY』2023年8月4日号より

  • PHOTOAbaca/アフロ

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