『YOUは何しに日本へ?』で「リアル初音ミク」そっくりと話題…伝説級の美女が日本で活動していた!
「6年も前の話なのに、今も街を歩いていると『あの番組を観たよ』と声をかけられます。今年の春から日本語学校に通い、ひらがなやカタカナは覚えたけど、日本語は難しい。声をかけてくれた人とうまく話ができないのが悲しいです」
そう話す水色の髪をした彼女は『リアル・初音ミク』ことインフルエンサーのサヤ・スカーレットさん。
’17年10月、初音ミクのイベント参加のために初来日。その時、成田空港でテレビ東京の『YOUは何しに日本へ?』の取材を受け、日本語はほぼ理解できないが、初音ミクの楽曲を流暢に歌い、その愛くるしい見た目とともに話題となった。
初音ミクのコスプレ姿を中心に100本以上もの映像を制作し、YouTuberとしても活躍中。髪はウィッグではなく地毛を染めている。衣装も多くは手作りで、ロシア時代は衣料の専門学校に通い、初音ミクのコスプレを作っていたという。
「今は日本語の勉強や動画の編集も自分でやっているので、衣装制作の時間がなかなか取れない。中国のコスプレイヤー向けのサイトで買っています」
1500万回以上も再生された動画があるが、著作権の問題をクリアするために「営利目的ではない」とし、お金はほとんど入ってこないという。日本語学校に通うために、ロシアで和食レストランの配膳係や郵便局のオペレーターなどをし、お金を貯めた。その貯金と有料会員の会費や投げ銭で何とかやっているようだ。
「初音ミクにならずに、京都や大阪で観光地を巡って撮った動画があるのですが、素の私をアップするのはちょっと恥ずかしいんです。これからは日本での生活を撮った動画をアップしていこうと思うのですが、コスプレをしていないと恥ずかしいのでアップするかどうか悩んでいます」
そんな事情もあり、節約も兼ねよく自炊をするという。ご飯を炊いて、生卵や納豆をかけて食べる。包丁を持ったふりをして、「ネギをトントンと切ってます」と笑う。
「和食は大好きです。嫌いなものが見つからないくらい。ロシアで母から、食べ物は残してはいけない、好き嫌いがあってはいけない、と言われ、育ちました。ロシア料理、和食、欧州料理も作れます。でも、一人暮らしだから作り過ぎると大変です(笑)」
朗らかに笑うサヤさんだが、初音ミクとは8歳のとき、病院のベッドの上で出会った。
「心臓病で入院していました。喘息で目も悪くて、病院のベッドで初音ミクを知って、8歳の私に生きる勇気を与えてくれた。辛くて泣いてばかりの日々だったけど、初音ミクに出会って、人生に楽しさや喜びがあることを知ったんです。この素晴らしさをもっと多くの人に届けられたら、と思ってSNSで動画を上げています」
初音ミクのコスプレをいつまで続けるのか、と問うと、即座にこう返した。
「ずうっと」
しかし、眉をひそめ、こう言葉を続けた。
「ロシアの両親は私に銀行で働いてもらいたい、と思っています。固い仕事について安定した生活を望んでいます。でも、私はワクワクする道を選びたい。日本語をもっと勉強して歌手になりたいんです。とくに、オリジナルの曲を作って歌ってみたい。落ち込むときもあるけれど、笑顔を忘れずにいたい。8歳の私が初音ミクに励まされたように、誰かを励ます曲を作って、歌ってみたいんです」
夢をかなえるために頑張っているサヤさん。そんな彼女のYouTubeチャンネルをちょっとだけ覗いてみてはいかがだろうか。



取材・文:岩崎 大輔PHOTO:結束 武郎