リオネル・メッシ 推定年俸80億円″神の子″が米国にもたらす「青天井の経済効果」

バロンドールに７度輝き、昨年のカタールＷ杯では母国アルゼンチンを36年ぶりの優勝に導いてＭＶＰに選ばれたスーパースター、リオネル・メッシ（36）。

新天地アメリカのプロリーグ（ＭＬＳ）、インテル・マイアミのユニフォームを纏った″神の子″は７月21日に行われたデビュー戦に54分から途中出場。１-１でロスタイムに突入するも、94分に直接ＦＫで決勝ゴールを決め、スタジアムを埋め尽くした2万512人のファンを熱狂させた。

推定年俸80億円と報じられているメッシの入団が決まってから、マイアミは燃えている。この日のチケットは通常30ドル（約4200円）ほどの最安値の席が265ドル（約3万7000円）に高騰。最も高いチケットは11万ドル（約1554万円）にまでハネ上がった。

インテル・マイアミの公式インスタグラムのフォロワーは1000万人増加し、アップルＴＶは、10年25億ドル（約3532億円）でＭＬＳと独占配信契約を締結。プロスポーツチームのグッズを専門に販売するファナティクス社は、販売開始から４日間で「どのスター選手のユニフォームよりインテル・マイアミの10番が売れている」と述べた。

インテル・マイアミとの対戦を控えているアトランタ・ユナイテッド、シャーロットＦＣはそれぞれ７万人を収容できるスタジアムを所有しているが、最上階に席を増設。ロサンゼルスＦＣのマイアミ戦チケットは、すでに通常の10倍の値が付いている。

来季のインテル・マイアミはメッシ効果でチケットだけで少なくとも8.5億ドル（約1200億円）の収益が見込まれ、ここにグッズ売り上げ、放映権料の分配金が加わるなど、経済効果は「青天井」となっている。元アルゼンチンユース代表で、浦和レッズにも所属していたセルヒオ・エスクデロ氏（59）は言う。

「母国アルゼンチンでもメッシのアメリカデビューは話題になっています。過去８年間、ＭＬＳの放映権料は1年9000万ドル（約127億円）だったのが３倍近くにハネ上がったのは、まさにメッシ効果でしょう。マイアミには、リトル・ブエノスアイレスと呼ばれる全米最大のアルゼンチン人コミュニティがある。メッシにとっては過ごしやすいはずですよ」

バルセロナ時代の僚友、ＭＦセルヒオ・ブスケス（35）とＤＦジョルディ・アルバ（34）、ジェラルド・マルティーノ監督（60）もマイアミの一員となった。

「アルゼンチンサッカー協会はマイアミ近郊にトレーニング施設を建設する予定です。アルゼンチンの若い選手をアメリカで育て、ＭＬＳと契約させることが目的です。メッシはマイアミ近辺に高級コンドミニアムを購入したと報じられました。引退後の仕事も視野に入れているんじゃないかな。移籍メンバーはベテランばかりですが、アメリカでなら十分活躍できるでしょう」（エスクデロ氏）

″神の子″の降臨で、アメリカサッカー界が劇的に変わり始めている。

『FRIDAY』2023年8月11日号より