<figure id="attachment_324589" aria-describedby="caption-attachment-324589" style="width: 1108px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="467a1dea"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/9ae5e51000b6f6e44b4935ebf75f4824.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-324589" class="wp-caption-text">「子どもノンフィクション文学賞」で大賞をとった後、審査員をつとめる俳優・リリー・フランキー氏と記念撮影</figcaption></figure>
「私、起業しました！」と、笑顔で語る高校生がいる。東京・青山学院高等部に通う座間耀永（ざま・あきの）さん、16歳だ。
座間さんは、今年６月、言葉の力を育てる作文コミュニティー「非営利型一般社団法人　<a href="https://www.az-bande.com/">ＡＺ-Ｂａｎｄｅ</a>（アイジー・バンデ）」を立ち上げ、起業した。
小学生の頃から作文の才能を認められ、数々の作文コンクールでの輝かしい受章歴を持つ。秋篠宮悠仁親王も佳作を受賞し話題となった「子どもノンフィクション文学賞」では、小６と中３の時に二度、大賞に輝いたという強者。高校生で起業を成し遂げた座間さんの原動力とは、一体何だろう。その秘密をさぐった。
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<h3>「超」人見知りが変身!?</h3>
大人を前にしたスピーチも、作文教室の授業も堂々とこなしてしまう座間さんだが、実は小学生の頃までは親の後ろに隠れてしまうような、「超」が付く人見知りだった。
「私は人見知りで、その上、場所見知りの子どもでした。かけっこはいつもビリの運動音痴ですし、作文だって学校の文集に載ったことは一度もありません」
そんな座間さんに変化が起きたのは、「朝日小学生新聞」（朝日学生新聞、以下、朝小）でのリポーター経験にあったと話す。
「こんな私だったから、学校の先生や大人の視点に縛られずに、自由に自分の言葉で表現してみたいと思い、朝小リポーターに登録しました。朝小リポーターのお仕事は、リポートの投稿や記者との同行取材など。その学校以外での活動が楽しくて、積極的に関わりました」
小３の時、朝小リポーターに登録した座間さんは、毎週のようにリポートを書いて送っていたが、ボツの連続。何度もくじけそうになったが諦めずに書き続けた。半年過ぎた頃、ようやく初掲載。
「その時のうれしさは、今でも記憶に残っています」
気づけば、朝小のすべてのコーナーに投稿をしたり、企画提案などをしたりするようになり、朝小コラム「大勢の中のあなたへ」の筆者・ひきたよしあきさんに師事し、文章力を磨いた。継続は自信となり、自信はチャレンジ精神を育てていった。
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2020年、世界中が新型コロナウイルスに見舞われ、人々は未知のウイルスにおびえ、行動が抑制された。あっという間に生活スタイルも、価値観も大きく変化した。中学生だった座間さんの日常生活も一変。学校は感染拡大を防ぐために一斉休校に。その後、登校しなくてもいいようにパソコンを使ったオンライン授業が行われ、デジタルが身近になった。さまざまな学校行事が中止になり、中２に進級直前の３月には、コロナ禍の中での大きな手術も経験した。
’21年、中３の夏に大きな事件が起きた。大好きな父・一郎さんが病に倒れたのだ。父を励ますには、自分の活躍を見せることが一番だと思った座間さんは、あらゆる作文コンクールに応募し、数々の結果を出していった。
<div data-friday-nextpage-lead="制服姿で作文に打ち込む座間さん"></div>
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<figure id="attachment_324592" aria-describedby="caption-attachment-324592" style="width: 1500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ca155246"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/8b7e14a27c5501b4b3ecd57de728e898.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-324592" class="wp-caption-text">作文を書くときはPCで一度、整理してから清書する</figcaption></figure>
<h3>会社名「バンデ」にこめた思い</h3>
’22年秋、朝日中高生新聞に載った東京大学「メタバース工学部」の記事を見た座間さんは、迷わず受講。それは中高生向けオンライン講座「起業入門」だった。
「起業という言葉に興味があって参加したんです。ちょうどその頃、プラットホーム作りへの願望があり、具体化したいという思いが強まりました」と語る。
’23年に入り、父に残された時間がないことを伝えられた時、「父の意識があるうちに」と起業を決意。猛烈な勢いで起業に向けて準備を始めた。書類をそろえていく中で困った問題が発覚。未成年のために両親の許諾のサインが必要だった。意識がない父の顔を見ながら、サインの機会を何日も待つことになった。ある日、ふと起き上がれる日があり、奇跡的にサインがかなった。
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６月２日、ＡＺ-Ｂａｎｄｅがスタートした。仲間うちの作文教室を越える形で、起業に至ったのには、今後の活動を進めていく上で社会的な信用を得られることが大きな理由だった。作文教室などで発生する会費の一部は、ＣＦＣ（チャンス・フォー・チルドレン）やＳＤＧｓ関連団体へ会社名で寄付をするとも語る。
起業した数日後、父を永遠の航海へと見送った。葬儀には母に代わってあいさつに立ち、父への感謝と未来を誓ったという。
「やっていることをお話しするとバリバリの高校生のように聞こえるかもしれませんが、今でも泣き虫ですし、はにかみ屋のままなんですよ」とにっこり。
「会社名はアイジー・バンデといいますが、バンデとはドイツ語で絆という意味です」
社名には自分のイニシャルと、父が所有する船の名前を盛りこんだ。
近年、若者のコミュニケーション能力の低下やコロナ禍での自殺者の増加など、若者自身の「言葉」の喪失を想起させる出来事を身近に感じていた座間さん。
「今はスマホがすべて。スタンプや略語といったコミュニケーションの省略が、必要であったものまでも喪失させてしまっているのかもしれません。ＳＮＳやオンラインでのコミュニケーションが不可逆的な時代だからこそ、伝わる言葉が大事だと感じています」
<h3>起業して何を目指しているのか</h3>
そのような時代の潮流を生きぬくには、自分自身の「言葉の力」を高めることが必要だと座間さんは気づいた。それも自分一人ではなく、同じ時代に生きる仲間と一緒に。そこで、自分ができることを考えた。出た答えが、「言葉の力」を広めていくことだった。
「テクニックで賞を狙う作文教室ではなく、『自分の言葉の力を信じられる人になる』ことを目指すコミュニティーが願いです」
起業後すぐに、某私立小に通う保護者からオファーがあり、５年生を対象にした「400字作文教室」を実施。定員５人は、すぐに満席になった。
提出された作文には、「赤を入れない」をモットーにしていると語る座間さん。
「作文教室の指導というと、先生が赤ペンで直しを入れますが、私は赤ペンで直されるって、ここができていないと指摘されているようで、とても傷つきます。だから私は赤ペンでの直しはしません。受講者の五感を大事にしながら、何よりも個性をつぶさないことを心がけています。受講者の作品を通して、参加者の視点に驚かされたり、私が思いつかないような言葉に感心したり、私自身の学びの機会でもあります」
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次に、東大メタバース工学部の吉田塁准教授とのコラボが実現。「中高校生でもできる起業講座」を２回オンラインで行った。７月17日には、須磨学園（兵庫県神戸市）の中高生が10人参加。20日には、子どもから大人まで20人ほどが参加した。
夏休み中は、読書感想文の個別指導や、博報堂グループ内のスタートアップ支援会社で作文教室を予定。リアル授業を展開するという。
「ＡＺ-Ｂａｎｄｅの企業理念は、言葉の力による社会貢献です。私の作文教室で文章を書くことが好きになり、自分の言葉に自信を持てる子が増えたらいいなと思います。また、これまでも行ってきたヨットの普及活動も。
海洋国でありながらヨットに対して支援が少ない現状を打破したいと思います。言葉には力があります。口に出すことで夢はかなえられると私は信じています」
高校生でも、自分の課題を持ち、そのためにはどうしたらよいか考え、行動に移す。意志があればできると、座間さんは熱く語る。座間さんの航海は、今、始まったばかりだ。
<figure id="attachment_324590" aria-describedby="caption-attachment-324590" style="width: 750px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="0aa99085"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/823d7c1854d4ac41297b1def9bdd8573.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-324590" class="wp-caption-text">2022年、２度目の大賞を受賞した時にリリー・フランキー氏と談笑する座間さん</figcaption></figure>
<figure id="attachment_324591" aria-describedby="caption-attachment-324591" style="width: 691px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="24342f09"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/74e51255bbd238d14d50dff1df4f7178.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-324591" class="wp-caption-text">小学６年生の時、初めて大賞に輝き、審査員のリリー・フランキー氏と写真に納まる座間さん</figcaption></figure>
<figure id="attachment_324593" aria-describedby="caption-attachment-324593" style="width: 1731px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="bb162a08"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/0c5d9473ba64ffa37e09726b07ae70f2.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-324593" class="wp-caption-text">獲得した賞状の数々</figcaption></figure>
<figure id="attachment_324594" aria-describedby="caption-attachment-324594" style="width: 2861px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="1909e715"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/a29dd7b6a921f3ee4710f8c6665a7c25.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-324594" class="wp-caption-text">やりたいことを本気で実現したいと考え、社会的信用を得るために起業した座間さんは常に名刺を持ち歩いている</figcaption></figure>
◆プロフィール
座間耀永（ざま・あきの）青山学院高等部２年。非営利型一般社団法人 ＡＺ-Ｂａｎｄｅ（アイジー・バンデ）代表。実用英語技能検定（英検）２級、ＩＳＰＡ（カナダが本拠地のセーリング団体）デイスキッパー資格、小型船舶免許２級。
https://www.az-bande.com/

座間耀永さん

秋篠宮悠仁親王も佳作を受賞して話題となった「子どもノンフィクション文学賞」で２度、大賞に輝いた女子高生がこのほど起業した。青山学院高等部に通う彼女は「起業」の先に何を見つめているのだろうか。

悠仁さまが佳作に輝いた作文コンクールで二度優勝した「スーパー女子高生」が起業した理由

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