<figure id="attachment_324723" aria-describedby="caption-attachment-324723" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a56e30c6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/a8a60d08a1e5d460fe6faaf37d56a7e3.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-324723" class="wp-caption-text">さやま・さとる／’57年、山口県下関市出身。’76年にプロレスラーとしてデビュー。現在は掣圏真陰流総監。 写真は格闘技や武道の研究を重ねる自宅の書斎にて撮影</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「新しい武道を作る研究のため一日中、自宅の書斎で本を読みパソコンに向き合う。そんな生活が何年も続いています」</span></p>
<p>武道家の佐山聡(さとる)（65）が穏やかな口調で語る。佐山は’80年代前半に日本中のプロレスファンを熱狂させた、覆面レスラーの初代タイガーマスクだ。その後は総合格闘技『修斗(しゅうと)』や『ユニバーサル・レスリング連盟（ＵＷＦ）』を経て、独自の武道を立ち上げるために奔走している。常に本気のガチンコ人生を歩んできた、佐山の半生を振り返りたい――。</p>
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<p>佐山の身体に変化が起きたのは８年ほど前。突然の体調異変が襲ったのだ。</p>
<p><span class="strongInContent">「’15年に狭心症の手術を受けました。１〜２年すると、足がもつれて手が震えるようになったのです。’19年のクリスマスイブには道場で倒れ救急搬送されました。右耳が聞こえづらくなり、めまいがする。検査をすると、メニエール病とパーキンソン症候群の症状が一緒に起きていることがわかりました」</span></p>
<p>佐山は、今年に入っても大きなめまいに３度襲われた。</p>
<p><span class="strongInContent">「パソコンの画面を見ていたらいきなり目の前が回り始め、キーボードにガーンと頭を打ちつけたんです。気が付いたら床に倒れていました。今年２月には、私が主宰する『ストロングスタイルプロレス』の試合前に挨拶をするため東京ドームホテルのエレベーターから降りようとした時も、やはりめまいがして倒れてしまった。メニエール病の特徴で、調子の悪い日は視界に入るものがずっと揺れているんです。薬を飲んで症状はだいぶ収まりましたが、強い光もダメなのでいつもサングラスをかけています」</span></p>
<p>パーキンソン症候群の症状に対しては最近、新たな治療を始めた。</p>
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<p><span class="strongInContent">「７月から水素を吸って自律神経を整える治療法を始めました。それまでは夜寝ていても２〜３時間に一度は目が覚めたのですが、水素を吸った後は８時間ぐっすりと寝ることができます」</span></p>
<p>難病と闘いながら再びリングに上がることを目指す佐山の原点は、子供のころに夢中になったプロレスだ。テレビで見るアントニオ猪木やミル・マスカラス、ドリー・ファンク・ジュニア、山本小鉄などのレスラーに強く憧れたという。</p>
<p><span class="strongInContent">「自分もああなりたいと思っていました。中学は柔道部でしたが、相手が投げに来たら抱き着いて裏投げをする。プロレスのバックドロップのような技です。ダブルアーム・スープレックスなどのプロレス技をかけて、反則負けをしたこともあった。よく人を投げて遊んでいたので高１で背筋力は300㎏。身体のバネもあり垂直跳びで88㎝を飛んでいました」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="新たな武道を創る"></div>
<h2>新たな武道を創る</h2>
<p>高校を中退して入門した『新日本プロレス』では猪木の付き人を務め、「プロレスの神様」と呼ばれたカール・ゴッチとも親交を深めた。</p>
<p><span class="strongInContent">「猪木さんは優しい人で、怒られたことはありません。試合前には、いつも二人でトランプを使った練習をしていました。10が出たら10回のスクワットをし、ジョーカーが出たら60回と。そんな遊びを交えた練習でも、猪木さんは自分に厳しいので手を抜いていませんでした」</span></p>
<p>ゴッチは、曲がったことが大嫌いな「正義感の強い人」だったという。</p>
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<p><span class="strongInContent">「少しでも変なことをしたら拳(こぶし)が飛んできます。食事中に音を立てて食べていると怒られる。一度、ロックバンド『ローリングストーンズ』の舌を出している写真がプリントされたＴシャツを着てゴッチさんのところへ行ったら、『なんでそんなのを着るんだ！』とぶん殴られました。私も礼儀を失する人を見ると許せない。電車の中で携帯電話でしゃべっている人間がいると、ぶん殴りたくなります」</span></p>
<p>’83年８月、人気絶頂だったタイガーマスクは『新日本プロレス』を辞める。理想の格闘技を追求するため、世界初の総合格闘技『シューティング（現・修斗）』を創設。プロレスに革命を起こした男は、競技のあり方を模索する。</p>
<p><span class="strongInContent">「同じ蹴りやパンチに見えても、競技が違えばやり方が違います。新しい格闘技を立ち上げる以上は、それがどういう技術なのかを追求しなければなりません。20〜30年後に弟子たちが育って花が開くことを想像し、毎晩、徹夜するような状態で研究を続けていました」</span></p>
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<p>考え悩むうちに、武士道に傾倒し始めた佐山。難病と闘いながら、現在は新しい武道の創設に尽力している。</p>
<p><span class="strongInContent">「リングでは勝てても、精神的に弱い子がたくさんいます。例えば、強い選手が女の子を襲ってしまうのは自分の欲望を律せられない弱さがあるからでしょう。選手には技術を教えるだけでなく、武道を通じて精神面も鍛えるべきだと思います。精神が鍛えられれば、とるべき行動は内面からおのずとわかるでしょう。その点、野球の大谷（翔平）君はすごい。大谷君のように内面から『絶対打ってやる』と決めてホームランを放つのと、外から『こうやるんだ』と言われて打つのでは意識の面でまったく違いますから。新しい武道を立ち上げるために、神事、歴史、精神分析学、催眠についてまで研究していますよ。病気だからといって休んでいるヒマなどありません」</span></p>
<p>アニメから飛び出したヒーローを演じた佐山は、不屈の闘志で自ら集大成として崇高な武道を創ろうとしている。</p>
<figure id="attachment_324724" aria-describedby="caption-attachment-324724" style="width: 1542px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a38c12aa"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/c96af8ac6aba4e701b74c25413856195.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-324724" class="wp-caption-text">初代タイガーマスクとして「ＮＷＡ世界ジュニアヘビー級王者」など数々のタイトルを獲得した</figcaption></figure>
<figure id="attachment_324722" aria-describedby="caption-attachment-324722" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="2822c52b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/baa66dac7ca393fdc27646b2a34e8821.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-324722" class="wp-caption-text">得意技はスクリュー・ハイキックなど多彩だった。写真はダイナマイト・キッドとの一戦</figcaption></figure>
<figure id="attachment_324721" aria-describedby="caption-attachment-324721" style="width: 1483px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ca871fa3"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/a2a15a6bdfc6f470148e4f32439a5cec.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-324721" class="wp-caption-text">日によって体調に差があるらしいが、取材後には力強いファイティングポーズを披露した</figcaption></figure>
<figure id="attachment_324720" aria-describedby="caption-attachment-324720" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="00cadd44"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/0c509689ea88d0f05c15936f31dd15c9.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-324720" class="wp-caption-text">行きつけの都内の中華料理店で好物のチャーハンを食べる。血糖値を下げるため食事制限も</figcaption></figure>
<figure id="attachment_324719" aria-describedby="caption-attachment-324719" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="310200d6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/07/92a525a08a20296a827ac4a439bc9207.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-324719" class="wp-caption-text">「まったく新しい武道を創るため歴史や精神分析学、神事についても勉強している」と語る</figcaption></figure>
<p>『FRIDAY』2023年8月11日号より</p>


形山昌由（ジャーナリスト）

1〜3枚目 本人提供、小松寛之

熱狂させた、覆面レスラーの初代タイガーマスクの佐山聡。難病と闘いながら、独自の武道を立ち上げるために奔走している。常に本気のガチンコ人生を歩んできた、佐山の半生を振り返る！

《初代タイガーマスクの金言》佐山聡「私はこれからもガチンコで生きていく!」スペシャルインタビュー

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