<figure id="attachment_325583" aria-describedby="caption-attachment-325583" style="width: 1567px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9ed1a7ed"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/7e3664efa4b07315cefa20be7fedb1a3.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-325583" class="wp-caption-text">7月31日のスペイン戦で宮澤ひなた（左から２人目）がチーム3点目のゴールを決めた後、喜ぶ林穂之香（左）と清水梨砂（右から２人目、写真：アフロ）</figcaption></figure>
<p>サッカー女子ワールドカップ（W杯）豪州・ニュージーランド大会に出場中の女子日本代表「なでしこジャパン」（世界ランク11位）が、１次リーグ第３戦（先月31日）で、過去４戦未勝利だった優勝候補のスペイン女子代表（同６位）を相手に４−０と完勝した。</p>
<p>この試合はNHK総合テレビで生中継されたが、視聴率は世帯別視聴率６.4％（※後半戦の午後５時から６時まで、ビデオリサーチ調べ、関東地区）。同じ時間帯は民放各局が夕方のニュースでしのぎを削り、３～６％で推移。なでしこジャパンの放映があった日の同じ時間帯の民放各局の視聴率は変わらなかったため、なでしこが他局に〝脅威〟を示せず、視聴率では完敗といえる結果に終わった。世界最高峰の大会で戦前の下馬評を覆す結果を残したにも関わらず、なぜ国内での盛り上がりは無風状態が続いてしまっているのだろうか。</p>
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<p>４年に１度の女子W杯で日本は１次リーグ３戦全勝で決勝トーナメントに４大会連続で進出を決めた。全３試合で11得点、３試合連続の完封と、スコアを見る限り向かうところ敵なしだ。</p>
<p>なでしこJAPANを率いる池田太監督も「選手たちにとって、こういう勝ち方ができたのは自信になる」と胸を張った。</p>
<p>対照的に、放映する側のTV局関係者は危機感いっぱいだ。大会直前まで日本国内での放送局が決まらず、開幕１週間前にNHKが日本戦を生中継することが急遽決まった。最初の２戦はBSチャンネル、第３戦のスペイン戦は総合テレビで生中継された。民放局のスポーツ担当ディレクターはこう明かす。</p>
<p><span class="strongInContent">「テレビ１強の時代は確かに終わりましたが、（番組に対して）どのくらいの人が期待しているのか、数字（視聴率）は今も正直で嘘をつきません。ですから、なでしこ（ジャパン）のスペイン戦の数字はがっかりでしたね。結果的に２ケタに迫ることはできませんでしたし、他局の同じ時間帯夕方のニュースの数字もいつもと変わりませんでした」</span></p>
<p>7月31日のスペイン戦は午後３時50分から放送が開始された。この試合の前半戦の世帯別視聴率は４.６％、後半戦は６.4％と２桁に遠く及ばなかった。</p>
<p>ちなみに同じ時間帯の日本テレビ「news every」が4.9％～6.4%、テレビ朝日の「相棒セレクション」が5.7%、「スーパーJチャンネ」が4.8%、TBS・Nスタが「3.8%～4.4%」フジテレビ「Live Newsイット！」が２.1%～2.9%。数字上は見劣りしないよう見えるが、<span class="strongInContent">「『W杯を中継すれば２ケタは行ける』と言われていますし、今回、その数値を残すことができれば、上層部に（なでしこJAPANを）アピールできる材料になったのですが、NHKで放映された同じ時間帯の他局が数字を落としていないので、アピールするには難しいんです」（同）</span></p>
<p>テレビマンはその時の視聴環境、特に天気を大事な要素のひとつにあげる。スペイン戦は夏休み期間中で、外に出れば全国ほとんどの地域で30度を超える酷暑の中、テレビを視聴する環境としては追い風だった。それだけに、出てきた数字に対してはシビアな見方になった。</p>
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<p>ちなみに、NHKは奇数月のこの時間帯は「大相撲中継」を行っていて、初日や千秋楽は２けた（10％）以上を記録するのは常だ。スペイン戦はウィークデーに行われたため、単純な比較はできないが、別の民放局の関係者はこう明かす。</p>
<p><span class="strongInContent">「大相撲がある月の日曜日は、いわゆる“裏”で放送されている日本テレビの長寿番組『笑点』も大相撲に数字を食われるんです。そこまでは求めていませんでしたが、（なでしこジャパンのスペイン戦の）この数字では、ワイドショーを中心にした情報番組でなでしこジャパンを扱う局はないでしょうね。事実、うちではなでしこジャパンを情報番組で扱うことが見送られました」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="今のなでしこジャパンに足りない要素"></div>
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<figure id="attachment_325591" aria-describedby="caption-attachment-325591" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9e117f89"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/c0f2934e647d1ad5cf902b47350ec998.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-325591" class="wp-caption-text">2011年サッカー女子W杯で優勝した瞬間。なでしこジャパンが日の目を見なかったときから中心的存在として奮闘してきた澤穂希がカップを掲げる。左端がタレントとして活躍する丸山桂里奈。右から３人目が今回、主将の熊谷紗希（写真：共同通信）</figcaption></figure>
<h3>キャラが立つ選手がいないからバズらない</h3>
<p>民放各局のスポーツ、情報番組で奮闘を続けるなでしこジャパンの特集は皆無と言っていい。なぜなのか。前出の民放局関係者はこう明かす。</p>
<p><span class="strongInContent">「大谷翔平の存在があります。その日の大谷の動向をどの局も朝、昼、夜のニュースを含め、情報番組で必ず連日『枠』をとって放送しています。ほとんど同じ映像が繰り返し流されていても、大谷の場合、数字が落ちません」</span></p>
<p>WBCで優勝した侍ジャパンがバズったのは、大会がはじまる直前から昼間のワイドショーなどでも取り上げられることによって普段はあまり野球を見ない年齢層にも情報が行きわたり、盛り上がりに一役買った。しかし今回のなでしこジャパンは残念ながら今のところ、そうなる気配が見られないという。</p>
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<p>2011年W杯で世界一になったなでしこジャパンは準々決勝でドイツを延長で、準決勝でスウェーデン、そして決勝では世界最強の米国を延長PKの激闘末、当時の強豪３か国を立て続けになぎ倒して、世界一にたどりついた。</p>
<p>当時の中心選手だった澤穂希さんは「苦しくなったら私の背中を見て！」と仲間を鼓舞。東日本大震災が発生してからまだ３か月ほどの時期に行われた大会で、そのメッセージが、復興から立ち上がろうとする日本国民への応援にもとらえられて、強いインパクトを残した。さらに、正確無比なキックを繰り出した宮間あやさん、そして今やママさんタレントとして活躍する丸山桂里奈など、多くの個性が集まった〝キャクター集団〝だった。</p>
<p>指揮をとった佐々木則夫監督も（JFA女子委員長）はオヤジギャグに終始してチームをまとめた。当時のなでしこジャパンを取材した記者はこう明かす。</p>
<p><span class="strongInContent">「佐々木さんはなでしこの監督になることが決まった時に『女房に〝女子の監督をやるのだから鼻毛の手入れだけは怠らないように、と言われたんだ』と話してくれました。2011年に世界一になったチームは全くネタには困りませんでしたね。発信力があった」</span></p>
<p>これを最も痛感しているのが世界一となったこのチームでもセンターバックで今回も主将としてチームを率いる熊谷紗希だ。</p>
<p><span class="strongInContent">「今大会でベスト８以上の成績を上げなければ、日本では注目されないという発言がありました、まさにその通りだと思います」（同担当記者）</span></p>
<p>熊谷主将は<span class="strongInContent">「日本でサッカーをやっている女の子たちに〝なでしこに入りたい〟と思わせるようなチームにしなきゃいけない。（決勝トーナメントは）負けたら帰国することになることをしっかり認識しなきゃいけない」</span>と１次リーグ３戦完勝にも笑顔は少なかった。</p>
<p>負ければ日本へ帰国となるノルウェー戦を万が一、落とすようなことになると、日本の女子サッカー界は長い“トンネル”に入る。逆にノルウェーに勝つと、スウェーデン（世界ランク３位）―米国（同１位）の勝者との対戦が待つ。なでしこジャパンの躍進を支えているのは、熊谷主将の発言が示すような、危機感なのかもしれない。</p>
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7月31日のスペイン戦で宮澤ひなた（左から２人目）がチーム3点目のゴールを決めた後、喜ぶ林穂之香（左）と清水梨砂（右から２人目、写真：アフロ） サッカー女子ワールドカップ（W杯）豪州・ニュージーランド

優勝候補スペインに完勝もTV局は「情報番組ではまだ扱えない」なでしこジャパンが“バズらない”理由

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