<figure id="attachment_326189" aria-describedby="caption-attachment-326189" style="width: 1475px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4c50a3a8"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/5515361f8f17fb168e4e5dcedf763e64.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-326189" class="wp-caption-text">222は看板に店名よりも「すべて半額」の文字を大きく書いている</figcaption></figure>
<p>ギラギラと太陽が照り付ける猛暑日に、FRIDAY記者は東京・秋葉原駅から５分ほどの路地を歩いていた。喉を潤すため、フラフラとコンビニへ入ろうとしたところ、対面の店の電光掲示板に映された「半額専門店」の文字が目に入った。新手のドラッグストアだろうか、と「トーアマート」と書かれた店舗の中へ入ったところ、衝撃の光景が目に飛び込んできた。</p>
<p>525mlペットボトル入りの「生茶」が87円、185ml缶のアイスコーヒー「FIRE」が62円――何もかもが本当に半額なのだ。空調の効いた店内で、もうろうとした意識を取り戻しつつ「これは現実か!?」と目を疑った――。</p>
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<p>物価高のなかで、「半額ショップ」と呼ばれる業態が注目を集めている。</p>
<p>大手は「半額倉庫」「222（トリプルツー）」「Kuradashi（以下・クラダシ）」「トーアマート」の４つ。それぞれ独自の路線で進化を続けている。流通ジャーナリストの長浜淳之介氏が解説する。</p>
<p><span class="strongInContent">「『半額ショップ』の知名度を高めたのは、運営会社の社長自らメディアに出演し、YouTubeに動画をアップするなど、独自の広報戦略を行ってきた半額倉庫です。ブームの火付け役といえます」</span></p>
<p>関西を中心に展開する「半額倉庫」はその名の通り、店舗の大半が倉庫の居抜きである。広い売り場に家具・家電を含めた１万点近い商品が並んでいる。若い夫婦が「安すぎない？」と言いながら見ていたのは、4万9800円が1万5000円となっていたBBQグリルだった。</p>
<p>対照的なのが、食料品や日用品を強みにしている「222」だ。長浜氏が続ける。</p>
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<p><span class="strongInContent">「ドラッグストアやスーパーの近隣に出店し、大手ショッピングモールにも出店するなど、他の小売店と共存しようとしているのが特徴です」</span></p>
<p>滋賀県栗東市の店舗を訪れると、隣接するスーパーを覗いた後、値段を比べたのか再び戻って来る客もいた。この日、飛ぶように売れたのが賞味期限切れの銀座千疋屋のミルフィーユ。通常価格2112円が211円！　「ちょっとぐらい過ぎててもいいか……」と、客は意に介さず、商品を次々と手に取り、レジへ向かっていた。</p>
<p>「クラダシ」はフードロス対策のため’15年にインターネット上で開店した。４つの中で唯一、生鮮食品を取り扱っている。肉や魚の切り身まで手に入るほか、地産地消にこだわったブランド米なども販売している、食卓の強い味方だ。クラダシの広報担当者が語る。</p>
<p><span class="strongInContent">「弊社はＥＣサイトでの販売がメインで、実店舗はたまプラーザと木更津の２店だけです。販売価格の１～５％をお客様が支援したい団体を選んで寄付することができ、社会貢献にも力を入れています」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="「福袋」形式の仕入れ"></div>
<h2>「福袋」形式の仕入れ</h2>
<p>冒頭に登場した「トーアマート」はコロナ禍で無料PCR検査を行っていた衛生用品の東亜産業が運営。駅から徒歩圏内にあり、24時間営業の店舗が多いのが特徴だ（現在は時短営業中）。コロナ禍で空きテナントが続出していた’21年10月に秋葉原で１店目がオープン。以降、北海道から九州まで全国に出店している。</p>
<p><span class="strongInContent">「今年に入って閉店する店も散見されるようになりました。しかし、いまでも59店と圧倒的な店舗数です」（小売・流通アナリストの中井彰人氏）</span></p>
<p>４強を上手く使えば、多ジャンルの商品が半額で手に入る。まさに物価上昇時代の救世主といえよう。全品半額というサービスは、いかにして実現されたのか。「秘密は独自の仕入れルートにある」という。半額倉庫を運営するISOYU社長の磯遊（いそゆう）晋介氏が語る。</p>
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<p><span class="strongInContent">「主にネット通販の返品、小売店での展示品、メーカーの余剰品がメインです。あとは新古品。箱が壊れたり、汚れているだけで小売りに卸せないと判断された商品です。それと……メーカーが作りすぎた余剰品は廃棄するにもお金がかかるので、『安くていいから買ってほしい』と連絡が来るんです」</span></p>
<p>そんななか、半額倉庫が独自で編み出したのが「トラック丸ごと10トン仕入れ」と呼ばれる手法だ。</p>
<p><span class="strongInContent">「不良品が定期的に溜まる問屋から、月に３回、10トン分の在庫を定額で卸してもらっています。人件費がかかるので、中身は事前に確認できない。福袋に似た感覚です。安い雑貨ばかりの時も多いですが、ニンテンドースイッチ、アップル製品などの高額商品が入っていることもあります。こうした品が出てくるとグッと原価率が下がります」（磯遊氏）</span></p>
<p>半額倉庫木津川店（京都府）の２階の倉庫を見せてもらうと、アマゾンの段ボール箱が所狭しと積み上げられていた。</p>
<p>「222」は季節商品にも注目している。</p>
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<p><span class="strongInContent">「水着やビニールプールといった季節商品は、お盆過ぎに返品されてきます。その時点でシーズンは終わっていますが、ひとまず安く仕入れておく。そして、自社の倉庫で保管したのち、翌年のシーズンインとともに売り場に並べるんです」（222を運営するガットリベロ・営業部店舗推進チームマネージャーの荒木亮太郎氏）</span></p>
<p>記者は「価格のマジック」ともいえる光景も目の当たりにした。「222」では、商品をレジが通った後に効果音が出て、表示されている金額が半額になる。</p>
<p><span class="strongInContent">「消費者心理として、売り場に安い値段で置くよりも最後に大きく値引いたほうがお得感が増します。こうしてリピーターを獲得しています」（荒木氏）</span></p>
<p>必要があれば「半額以下の値段で商品を販売することもある」と語るのは、前出の磯遊氏だ。</p>
<p><span class="strongInContent">「たとえば、今日の目玉商品は、通常価格1万3000円の空気清浄機です。それを80％以上値引いた2000円で売り場に出している。目玉商品はパートの主婦の方の意見を聞いて値付けをしています。いくらなら買いたいか、彼女たちはシビアな目線で判断してくれる」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="まさに「今がチャンス」"></div>
<h2>まさに「今がチャンス」</h2>
<p>半額ショップを賢く活用して節約効果を最大化するにはどうすればいいのか。AII About節約ガイドの矢野きくの氏が語る。</p>
<p><span class="strongInContent">「例えばクラダシはパスタソース48個など、注文できる商品のロットが大きい。友人などとシェアする前提で使うのがおすすめです。<br>
時期も大事です。８月中旬から９月の中旬までの１ヵ月間は、お得に半額ショップを使えるチャンス。例年、この時期にお中元用のギフトが大量に返品されてくる。良質なハムや油などの高級な消耗品を安く手に入れやすくなります」</span></p>
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<p>同様に、お歳暮シーズン後の１月中旬から２月中旬にかけても、高級食材などギフトがお得に買えるチャンスだ。</p>
<p>半額ショップが小売業界を生き抜くためさらなる工夫が必要だと語るのは、前出の中井氏だ。</p>
<p><span class="strongInContent">「懸念材料は『半額です』という”絶対的な低価格”の一本で勝負しているように見える点です。激安スーパーとして知られる『オーケー』はトップブランドの商品をいつでも７割ほどの低価格で販売しています。誰もが知る商品が”相対的に安い”から魅力的です。いつ行っても安定して同じ商品が並んでいる点も強い。</span></p>
<p><span class="strongInContent">一方、半額ショップは仕入れのシステム上、常に同じ商品を販売できません。<br>
ドラッグストアは購買頻度の高い食料品を低価格で販売することで集客し、粗利の高い医薬品や化粧品も買ってもらって利益を出している。半額ショップも&#8221;半額&#8221;以外の価値を伝える工夫が必要だと思います」</span></p>
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<p>今月に入っても牛乳やヨーグルトが値上げされるなど、物価高は収まる兆しが見えない。これを追い風に、半額倉庫、222ともに出店拡大を計画している。</p>
<p>型落ちだったり、賞味期限が過ぎていたり、汚れていたりとマイナス点はあるが、生活防衛の強力なカードのひとつであることは間違いない。半額ショップへ足を運んで、自分の生活に合った使い方を研究してみても損はないはずだ。</p>
<figure id="attachment_326190" aria-describedby="caption-attachment-326190" style="width: 2724px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ebcc892a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/63f9ced9e69d09b50ef7a8b142933436.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-326190" class="wp-caption-text">半額倉庫木津川店の内部には、商品が所狭しと並ぶ</figcaption></figure>
<figure id="attachment_326191" aria-describedby="caption-attachment-326191" style="width: 2766px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b433e3dd"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/a7fe21ea8c03bf8e263d5d92dbbc403f.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-326191" class="wp-caption-text">クラダシは実店舗には商品は多く置かず、ECサイトがメインという形をとっている</figcaption></figure>
<figure id="attachment_326192" aria-describedby="caption-attachment-326192" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5eead62b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/00159761c5aa90539c0205886473576b.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-326192" class="wp-caption-text">222には「賞味期限切れ」なるポップも立つ</figcaption></figure>
<p><a href="#" data-ident_hash="15f4e96b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/fc5f5b4a29b29cdeba22e738ed26bc8c.jpg" alt=""></a></p>
<p><a href="#" data-ident_hash="d3cf4d9d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/5065a3dd40ddb23a66868b876dcd60a0.jpg" alt=""></a></p>
<figure></figure>
<figure></figure>
<p>『FRIDAY』2023年8月18・25日号より</p>


加藤 慶

物価高のなかで「半額ショップ」と呼ばれる業態が注目を集めている！家具・家電や食料品・日用品、"業界４強"はそれぞれ独自の路線で進化を続けている！物価上昇時代の救世主を徹底研究。

店に入ると目を疑う価格が…！「半額ショップ」が物価高の救世主になる「驚愕の仕入れ方法」

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