<figure id="attachment_326216" aria-describedby="caption-attachment-326216" style="width: 1851px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4aed06e6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/4f48b8481620e3fc90096416e43dc2d4.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-326216" class="wp-caption-text">53の事例はすべて実際の事故。“対岸の火事”ではない</figcaption></figure>
<p>夏休みも中盤、これからアウトドアでリフレッシュしようという人も多いはず。しかし、ふだん自然に触れる機会が少ないアウトドア初心者にとって、自然界には思わぬ危険が存在する。</p>
<p>「ころんで死ぬ」「キャンプの炊事中に死ぬ」「ダニに噛まれて死ぬ」など、思わぬ「死」の危険に不幸にも遭遇してしまった53の事例をもとに、アウトドアに潜む危険とその対策について解説した『これで死ぬ』（山と渓谷社）。著者の羽根田治氏に、夏の山や海で、初心者が遭遇しがちな「死」の危険についていくつか解説してもらった。</p>
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<h2><span class="strongInContent">【山で転倒する】</span></h2>
<p><span class="strongInContent">「最近のニュースを見ていても、夏山で多いのは転倒ですね。富士山などでも転倒事故でレスキューが出動することが多いようです。一番多いのは石や岩などにつまずいての転倒。平地だと街で転んでもすり傷程度で済みますが、山は傾斜があったり道が整備されていなかったりしますので、ただ転んだだけじゃ済みません。例えば下りの場合だと、石につまずいた拍子に、そのままゴロゴロと数メートル滑落してしまうということもあります。また、デコボコした岩に頭をぶつけてしまうとか。転ぶだけでも平地とはだいぶ違います。これだけで死んでしまうこともあるぐらいリスクが高いと思います」</span></p>
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<h2><span class="strongInContent">【山で滑落する】</span></h2>
<p><span class="strongInContent">「転倒したり、バランスを崩したりして数メートル、場合によっては数百メートル滑落して重症を負ってしまう、あるいは亡くなってしまうというパターンです。低山でも、片方が山、片方が谷になっている山の中腹を横切っていくような細い道だと、うっかり足を滑らせて滑落事故になることも少なくありません。３</span><span class="strongInContent">～４メートル滑落した場合、運が良ければ軽傷で済みますが、岩が出ていたり、木に激突したりすると重傷になってしまいますし、岩だらけのガレ場のような場所をゴロゴロ何十メートルも転がり落ちると、命を落としてしまうこともありえます」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="道に迷って死んでしまう"></div>
<h2><span class="strongInContent">【山で道に迷う】</span></h2>
<p><span class="strongInContent">「山の高い低いや季節に関わらず多いのは、道迷いです。遭難事故要因で一番多いのはこれです。山登りの原則では、道に迷ったらすぐ引き返せと言われています。しかし、私が取材した限りで言うと、初心者の方だけでなく、ある程度の経験がある人でも、そのまま進んでいってしまって、道に迷うというパターンが非常に多いです。</span></p>
<p><span class="strongInContent">特に道迷いが多いのは下山するときなんです。街だと道を間違えたらすぐ元に戻ればいいんですけど、山で戻るということはまた登るということなので、頭でわかっていても、なかなかできません。山ではそのまま進んでいくと、絶対と言っていいほど戻れないんです。整備された登山道ならある程度安全は確保されていますが、登山道のない谷を下っていった場合、谷筋や沢は最初は歩きやすそうに見えても、いずれ滝が現れたり、険しい岩場が現れて進めなくなります。そこを無理に降りようとして、転落、滑落して亡くなってしまうというのが、道迷い遭難の典型的なパターンです」</span></p>
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<h2><span class="strongInContent">【海や川で溺れる】</span></h2>
<p><span class="strongInContent">「溺れている子供を助けようとした大人も溺れてしまうというパターンが多いようです。大人が助けにいくと、子供は必死で大人にしがみつきます。小っちゃい子供でも、必死になったときの力っていうのはすごいみたいで、しかも水の中で動きも制限される。それで２人とも亡くなってしまう。</span></p>
<p><span class="strongInContent">海の場合だと、離岸流に流されるケースもありますね。離岸流っていうのは、波が沖に戻るときにできる一定の強い流れのことで、その流れにはまり込むとずっと沖まで流されてしまいます。泳いでも、泳いでも岸にたどり着けずに溺れてしまう。</span></p>
<p><span class="strongInContent">川でも膝下程度まで水深があると、足をすくわれて持っていかれちゃうことがあります。川底も岩がでこぼこしていたり、砂利みたいなものが堆積していたりして、決して平坦ではありません。岩と岩の間に足が挟まって動けなくなって、亡くなってしまうというようなケースもあります。浅くても水の力はかなり強力です。流れがある場所は甘く見てはいけない。さらに海底や川底の地形が一定ではないっていうのが怖いところだと思います」</span></p>
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<h2><span class="strongInContent">【海や山で危険生物に遭う】</span></h2>
<p><span class="strongInContent">「危険生物ではやはりクマやイノシシが代表的です。最近は出没情報も公開されていますが、どこか他人事みたいに考えている人が多いんじゃないかと思うんですよ。実際、クマは低山にもいますし、街にも出ます。襲われた人の話を聞くと、まさか自分がクマに襲われるとは思ってもみなかったと言う方が多いです。他人事ではないということなんですね。熊が生息していないのは、日本では九州以南ぐらい。人けのない山とか、出没情報が多い山に行くときは、意識したほうがいいと思います。</span></p>
<p><span class="strongInContent">虫にも危険なものがいます。特にスズメバチは生物の中で一番危険だって言われているぐらい。毒性の弱いハチもいますが、オオスズメバチは毒性が強く攻撃性も強い。本にも書きましたけど、１回刺されて何ともなくても、２回目、３回目にはアナフィラキシーになりやすいと言われています。年に20人前後はハチに刺されたことによるアナフィラキシーショックで亡くなっています」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="天気が崩れただけでも死の危険が"></div>
<p>さらに羽根田氏は、自然の中ではふだん都市で暮らしているときには想像もつかないことがリスクになる可能性があると言う。日頃われわれは気にも留めないが、都市は危険が排除された場所でもあるのだ。</p>
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<p><span class="strongInContent">「例えば雷の場合、街の中なら、ビルなどに入れば雷が落ちることはありません。しかし、山や海だとしたら、逃げ場がなければいつ雷が落ちてもおかしくない。山や海では天気が崩れただけで、リスクは何倍にも膨れ上がるということを覚えておいてほしい。山だと雨が降っただけで視界が悪くなるし、低体温症になる危険もあります。道が滑りやすくなって転倒、滑落のリスクが高くなるし道に迷う恐れもある。</span></p>
<p><span class="strongInContent">海や川にしてもそうです。荒れれば波が高くなる、流れが速くなるということが起こり得ます。とにかく悪天候下ではなるべく行動しない。よく台風が近づいているのに海で泳いで流される事故がありますが、それは自殺行為だと思うんですよね」</span></p>
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<p>そんな自然の中では仲間とはぐれて１人になってしまうこと自体もリスクだという。しかし、だからといってリスクばかりを恐れていては、どこにも遊びに行けなくなってしまう。大事なのは日々のニュースで見聞きする山や海での事故について、決して他人事だと思って聞き流さないことなのだ。</p>
<p><span class="strongInContent">「ニュースになってしまった人だって、まさか自分たちがそんな目に遭うと思って、山や海には行ってないと思うんです。つまり山にしろ海にしろ、どこかしらに危険が隠されている。その危険があるということだけでも、心にとどめておいてほしいなと思いますね。『「危険」が最も危険なのは、その危険を察知できないことにある。問題なのは、なにが危険なのかわからない、危険をシミュレーションできない、危険なことを危険なことだと考えられない、ということなのだ』と、菊池敏之さんという山岳ガイドの方が言っています。危険があることを知ったうえでリスクマネジメントをすれば、楽しく遊べるんじゃないでしょうか」</span></p>
<p>楽しかったはずのレジャーが悔いの残るものにならないよう、心がけたい。</p>
<figure id="attachment_326218" aria-describedby="caption-attachment-326218" style="width: 1285px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f232453b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/7cecf84d2309155f152b81c9b805027d.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-326218" class="wp-caption-text">雷に打たれた20代の男子大学生が死亡</figcaption></figure>
<figure id="attachment_326219" aria-describedby="caption-attachment-326219" style="width: 1285px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="eeb29f85"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/bf0e119f50965216e4390cbf48568397.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-326219" class="wp-caption-text">60代夫婦がイノシシに襲われ、夫が死亡、妻も軽傷を負った</figcaption></figure>
<figure id="attachment_326220" aria-describedby="caption-attachment-326220" style="width: 1285px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="eb65612c"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/e633b3c4538dc31f0e8a34064e48ec44.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-326220" class="wp-caption-text">河原でキャンプをしていた男子大学生４人が鉄砲水に流され、３人が死亡</figcaption></figure>
<figure id="attachment_326221" aria-describedby="caption-attachment-326221" style="width: 1285px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ebd87adf"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/81279462389bb6bdd187308b665ca8ee.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-326221" class="wp-caption-text">危険を避けるための安全知識についても取り上げている</figcaption></figure>
<p>&nbsp;</p>


1961年、さいたま市出身。山岳遭難や登山技術に関する記事や書籍を手がける一方で、沖縄や自然、人物などをテーマに執筆。長野県山岳遭難防止アドバイザー、日本山岳会会員

羽根田治

海や山へのレジャーが増えるシーズンだが、アウトドアには思いもよらない「死」の危険が潜んでいる。そんな53の事例を集めた『これで死ぬ』著者の羽根田治氏が自然界の危険について解説する。

「ころんで死ぬ」「ハチに刺されて死ぬ」…アウトドアで起こる思いもよらない「死のリスク」とは

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