平良海馬・埼玉西武ライオンズ 直撃インタビュー!「僕がシーズン中もゲーム実況を配信する深いワケ」
周囲を驚かせた先発転向は1年目から大成功!そんな新エースが、ファンが心配するほど 入れ込んでいる趣味とは──
〈野球してる平良見たら笑っちゃった〉
目まぐるしく流れては消える視聴者のチャット欄にこんなコメントを見つけた配信者は、即座に「逆だろ!!」とツッコんだ――。
埼玉西武ライオンズ・平良海馬(23)の個人YouTubeチャンネル、『たいらげーむ』での一幕である。シーズン中にプロ野球選手が、それも一軍で先発ローテを守る主力投手が個人チャンネルでゲーム実況を配信するなど前代未聞。登板時には「YouTuberが野球してる(笑)」と視聴者たちにイジられる始末なのだが――本業は順調そのものだ。
プロ2年目から一軍で登板を重ね、5年目の昨シーズン、防御率1.56で最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得した。プロ6年目となる今季は、球団に直訴して先発に転向。春季キャンプではWBCへの出場を辞退して調整に励んだ。
「長いイニングを投げた方が球団への貢献は大きいと思いますし、ルーキーの頃からそのこだわりは変わらなかった。それでも先発転向は大きな決断だったんです。もしWBCに行っていたら、思うように準備できなかったでしょうし……」
先発転向には球団首脳をはじめ反対意見が多かったが、今季の前半戦だけで6勝、防御率もリーグ3位の2.30を記録している(8月2日時点)。93㎏の巨躯から繰り出す最速160㎞/hの直球で相手打者をねじ伏せる〝剛腕投手〟のイメージが強いが、実際の平良はクレバーだ。データ分析会社に自ら赴くなど自身の足で収集した情報で、配球を組み立てる。
「対戦相手の得意なコースや球種と、自分のボールの特徴を照らし合わせ、どんな球を投げれば求めている結果を得られるかを考えるんです。その上で、当日の指先の感覚や体の調子など、データ以外の部分も大切にしながら投げています。先発として活躍することで、西武ファンや野球ファンが増えてほしいと思います」
冒頭で触れた平良の〝特殊な趣味〟も、愛する野球のために何ができるか、考えた末の行動だった。
「僕はリアルタイムで視聴者と繋がれる生配信にこだわっています。普段、中高生やアマチュアの野球選手がプロに質問する機会なんてないじゃないですか。だから、僕がゲームをしながら、ざっくばらんにプロの考えとか、レベルアップのヒントを伝えようと思いついたんです。年俸や給与振り込みの仕組みなんかもあけすけに喋りました(笑)。生配信なら編集技術も必要ありませんし、チャンネル運営は全て自分です。とにかく、野球を広めたいんです」
楽しげな画面の裏側には、球界を背負う若獅子の決意がたしかに存在するのだ。

『FRIDAY』2023年8月18・25日号より
PHOTO:濱﨑慎治