《肉迫撮!》一機70億円と言われるフランスの最新戦闘機「ラファール」は何をしに日本にきたのか?
核巡航ミサイルも搭載可能な超高性能で価格は1機70億円!
「『ラファール』とはフランス語で『疾風』のこと。フランス空軍の主力戦闘機で、その名の通り超音速で飛行し、対空戦、対地・対艦攻撃の多用途戦闘機としても評価の高いフランスの最高傑作です」(軍事ジャーナリスト・伊藤明弘氏)
7月26日、宮崎県新田原(にゅうたばる)基地に輸送機1機、空中給油輸送機1機を従え、ラファール2機が降り立った。日本へは今回が初飛来となる。一機70億円といわれる超高性能機が舞い降りた目的はなんなのか。
「フランスは6月25日から8月3日まで、インド太平洋地域に軍用機を派遣し、シンガポールやマレーシアなど10ヵ国と共同訓練を行う『ぺガーズ23』という大規模な演習を展開しています。パートナー国との共同対処能力を高めることが主な目的で、日本に来たのもその一環です」(同前)
7月29日までの滞在期間中、埼玉県入間基地の周辺上空では航空自衛隊の主力であるF‐15戦闘機3機とラファール2機を中心とした日仏編隊飛行訓練も行われた。その後、ラファールは次の目的地であるインドネシアへと旅立った。
「来日した最新モデルのF4は、レーダーや各種センサー等の能力が大幅に強化されており、最高速度はマッハ2。加えて、核弾頭を搭載可能な空中発射型巡航ミサイルの運用能力を備えています」(軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏)
日本国内で自衛隊とフランス軍の共同訓練が行われたのは史上初めてである。なぜフランス軍は今回、唐突とも思える日本進出を実行したのだろうか。伊藤氏がその背景を読み解く。
「フランスは領海と排他的経済水域の面積が世界2位という海洋大国。インド洋・南太平洋にも海外領土が多数存在します。そのため軍事力による海洋支配を狙う中国の姿勢に神経を尖らせているんです」
黒井氏も続ける。
「西側諸国は、かねてより中国の急速な軍拡に対する危機感が大きい。フランスはその主要国としての意識が高く、今回の派遣に繋がっています。日本での共同訓練は、対中国への牽制として重要な意味を持つのです」
航空自衛隊は8月上旬にイタリア空軍と、下旬にはオーストラリア空軍との共同訓練も予定している。中国の脅威に対する西側諸国の危機感が高まるなか、日本の重要性は増すばかりだ。
『FRIDAY』2023年8月18・25日号より
- PHOTO:小山信夫