<figure id="attachment_326912" aria-describedby="caption-attachment-326912" style="width: 4055px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="8eae3a9b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/d5bfd3504d5ca870ee4afcf409cc7320.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-326912" class="wp-caption-text">８月８日、記者会見にのぞんだ日大・林真理子理事長</figcaption></figure>
覚醒剤と大麻所持疑惑で部員１人が逮捕された日大アメフト部は10日、関東学生アメリカンフットボール連盟リーグ戦の出場資格停止処分を受けた。日大としては「個人の問題を部全体に連帯責任として負わせることは学生の成長を第一に願う教育機関として最善の措置ではない」などといった理由で、10日に部の練習を再開。同大が決めた「無期限活動停止処分」からわずか５日での解除だった。
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SNS上では&lt;早すぎる&gt;&lt;甘々の対応&gt;など、日大の姿勢に批判的な声が多かった。
そのわずか２日前の８月８日、日大本部で行われた記者会見では、再建を託された直木賞作家の林真理子理事長が気色ばんだ。
「『お飾り理事長』という報道は残念であり遺憾」ーー。
林氏は昨年の理事長就任時から〝お飾り〟論を真っ向から否定してきただけに、報道陣から「情報が上がっていなかったのでは」と詰問されると、ここは譲れないとばかりに「きちんと連携していた」と語気を荒らげた。感情を露わにして赫怒（かくど）する姿は異様だった。
ただ、その会見で林理事長以上に存在感を示し、主役にとってかわったのが、学生・就職、競技スポーツ担当の澤田康広副学長だった。元東京地検総務部副部長、宇都宮地検次席検事を経て母校に戻った、いわゆる「ヤメ検」である。
眼光鋭い視線、威圧的な口調は教育者からはほど遠く、「ブツ」「パケ」という捜査関係者の専門用語を安易に何度も使ってみせた。
「学生から発見されたブツを警察で鑑定した結果」
「パケを見て、それ以外の入れ物の中は触るべきではない」
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ブツとは押収物、パケとは覚せい剤などを小分けにした袋のことを意味する。
澤田副学長は家宅捜索に立ち会い、今回の薬物事件を仕切っているという自負があるのか、無双状態である。だが、昨年、大学側が「部員に大麻使用の疑いがある」と警視庁に相談したのは、管轄の警察署でもなく、薬物部門でもない大学OBの警察官で、あくまでも個人的相談だった、という新事実が明らかになった。
「あの人はなんですか。上から目線、エリート気取りで、いまだに検事だと思っているみたいでした。報道陣の質問に対し言い募るのは見苦しいばかりでした。危機管理は一体、どうなっているんですか」（私立大関係者）
<div data-friday-nextpage-lead="「俺がお前の用心棒になってやる」"></div>
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<figure id="attachment_326914" aria-describedby="caption-attachment-326914" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="96e3fd66"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/906e156208b78c556b86cdda669f78ed.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-326914" class="wp-caption-text">国会内で談笑する森喜朗氏（右上）と亀井静香氏（左下）。２人はのちに日大危機管理学部の開校祝賀会に出席した（写真：産経新聞社）</figcaption></figure>
危機管理は日大にとって、他の大学とは比較にならないほど重要なワードである。
林理事長の前任者で脱税容疑で逮捕、有罪判決を受けた田中英寿氏は2016年、危機管理学部とスポーツ科学部という２つの学部を新設させた。
危機管理学部の開校祝賀会には森喜朗元首相、警察庁OBの亀井静香衆院議員（当時）に加え、國松孝次元警察庁長官まで参列した。
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森元首相は「本来なら国がやるべき危機管理教育を私学の日大が担うのは大変立派だ」と賛辞を送り、学部創設に深く関わった亀井氏は得意満面に経緯から存在意義を語り、森元首相から「話が長過ぎる」と注意され、出席者から失笑をかったという。
「マンモス大学といわれる日大においても、少子化問題は例外ではありません。大学経営の将来と創立130年事業の一環として新しい看板が必要だった田中前理事長は、亀井さんを紹介され『どこにでもあるような学部ではなく、せっかくなら文系初の危機管理学部を作れ』とアドバイスされました」（マスコミ関係者）
亀井氏は週刊文春（&#8217;18年６月７日号）に赤裸々に語っている。
「俺がお前の用心棒になってやるから、お前は用心棒を作る学部を作れ。今の時代、危機管理学部を作らにゃいかん」
発足当時の教授陣には警察、公安調査庁、自衛隊などの官僚出身者がズラリと並び、「天下り学部」と揶揄される陣容になった。ちなみに、澤田副学長は現在、法学部教授に加え危機管理学部の非常勤講師を務めている。
学部新設から２年後の&#8217;18年５月に起きた、アメフト部員による「悪質タックル事件」で、危機管理学部はアドバイスを求められず、大学の信用、信頼は失墜し、経営にも影響を及ぼした。
今回の薬物事件でも競技スポーツ担当の仕切りで事が進み、縦割り組織が優先され、横との連携は排除されている。せっかく危機管理学部がありながら、学生、保護者そして報道対応を誤り、５年前の屈辱的な教訓がいかされていない。
日大は危機管理学部と法学部を中心に警察官を輩出し、トップの132人、２位は国士舘大の100人、３位帝京大の81人がベスト３を占めている。（&#8217;22年、大学通信）
「日本の大学で危機管理学部があるのは指折り数えるほどです。これほどの事件が５年間に２回も起きているのに対処できないないなんて、ブラックジョークですよ」（私立大関係者）
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経営の最高責任者である林理事長が「お飾り」批判に強く反発したのは、ベストセラー作家のプライドが許さなかったからだろう。母校愛を強調するものの、結局はわが身第一である。また、教育現場では危機管理学部と銘打った学部がありながら、初期対応を誤り、アメフト部の存続など２次被害の回避に後手を踏んでしまった。
いまだ田中独裁体制が崩壊していない日大の混乱、混迷は続き、その再建の道は極めて厳しい。
<figure id="attachment_326913" aria-describedby="caption-attachment-326913" style="width: 3712px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="001bc186"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/81b6173bef3b9bad3743381bc158ffc5.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-326913" class="wp-caption-text">’22年３月29日、東京地裁に向かうため、妻の経営するちゃんこ店からでてきた田中英寿氏。この時、本誌カメラマンを払いのけ車に乗り込んだ田中氏は亀井氏ら、政界とのパイプも太かった</figcaption></figure>
<figure id="attachment_326915" aria-describedby="caption-attachment-326915" style="width: 4497px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="2cafe534"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/adab485f76957b60d9755cadb3ddcf72.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-326915" class="wp-caption-text">酒井健夫学長（左）と澤田康広副学長（右）</figcaption></figure>
<figure id="attachment_326916" aria-describedby="caption-attachment-326916" style="width: 2333px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="6b2bcd65"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/ea789b33c80fcbae18e1c373785eadea.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-326916" class="wp-caption-text">８月５日の午前９時７分、捜査員らに囲まれて車へ乗り込んだ北畠成文容疑者（画像は一部加工してあります）</figcaption></figure>

蓮尾真司

アメフト部員の違法薬物所持疑惑で逮捕に発展した日大には「危機管理学部」が存在するが、機能していないことが今回、浮き彫りになった。学部創設に深く関わり、賛辞を送った2人の大物政治家がいた。

覚醒剤所持でアメフト部員逮捕後、５日で練習再開の日大　危機管理学部開校祝賀会に招かれた大物政治家

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