花園直道 『20周年ディナーショー』で名作映画『砂の器』を〝舞踊〟で甦らせた圧巻パフォーマンス
芸能リポーター・石川敏男の芸能界「あの出来事のウラ側は……」
《芸能リポーター・石川敏男の芸能界「あの出来事のウラ側は……」》
デビュー20周年を迎える舞踏家で歌手の花園直道さんが、バースディーディナーショーを開いた。彼とはデビュー5周年、20歳のころに東京・日本橋三越劇場でショーを開いたときから15年の付き合いになる。
彼は確実にファンをつかみ大きく成長してきたが、いまだに謙虚さと向上心が消えない。ショーでは、数回の早着替えを見せてくれたし、その姿に客席のファンからは大きな歓声と感嘆のため息が聞こえた。
お客さんの中には、デヴィ夫人や俳優の大村崑さん。ファッションデザイナーの桂由美さんや大衆演劇の人気役者・竜小太郎さん、梅宮辰夫さんの奥さんであるクラウディアさんらの顔もあった。
圧巻だったのは、松本清張原作の映画『砂の器』をテーマにした踊り。東日本の大震災で生き別れた兄弟がそれぞれの運命を背負って歩んでいくという、花園さんが考えたオリジナルの物語を元に、『砂の器』のテーマ曲に乗せての舞踊。舞踏家・花柳琴臣さんとのデュエットは素晴らしいものだったし、会場のお客さんも息をのむほど感動していたように見えた。
ちょうど50年前にオレが松竹の宣伝マン時代。野村芳太郎監督が作り、丹波哲郎さんや加藤剛さん、緒形拳さん、森田健作さんらで撮影されたこの映画を担当していたころを思い出した。
映画はある日、東京大田区にある国鉄蒲田操車場構内で死体が発見された。被害者の身元が分からず、捜査が難航する事件。担当した警視庁刑事役の丹波さんと所轄署刑事・森田さんが地道な捜索を続け、犯人を突き止めていくというストーリーだった。
当時、映画のキャッチコピーは
「人間の宿命を追って胸せまる感動!」
「日本映画史上かつてない感動と鮮烈な映像をたたきつける超大作」
という文字が躍っていた。
その映画を思い出しながら花園さんの踊りを見ていたら、やはり胸に迫るものがあったね。
千葉県知事まで務めた森田さんと数年前に話をしたときに、
「俺にとってあの映画が無かったら、俳優はしてなかったんだろうな……」
と言っていたくらいの名作だ。それを舞踊で表現しようという花園さんのチャレンジ精神と、観客を感動させる踊りを披露する技量には、本当に頭が下がる。
ショーでは、花園さんが10月4日に発売する新曲『キトアイラク』もお披露目。桂由美さんからプレゼントされたというタキシードを着て歌う姿には、ファンもうっとりしていた。
また、花園さんのバックには三味線、琴、尺八の『MIKAGE PROJECT』が特別出演。自身も三味線でベンチャーズの「パイプライン」を披露するなど、和の雰囲気を出していた。
日本の〝和のエンターテインメント〟文化を広めるために戦っている花園さん。来年4月には東京・明治座で『花園城だよ!全員集合』の舞台も予定されている。
ロスアンジェルス、フランス、タイ、マレーシア、台湾などでもショーを重ねてきた地道な努力が結実し始めた手ごたえを感じているようだ。これからは国内外問わず、ますます花園さんの活躍を目にする機会が多くなるんだろうな――。
- 取材・文:石川敏男(芸能レポーター)
芸能レポーター
‘46年生まれ、東京都出身。松竹宣伝部→女性誌記者→芸能レポーターという異色の経歴の持ち主。『ザ・ワイド』『情報ライブ ミヤネ屋』(ともに日本テレビ系)などで活躍後、現在は『めんたいワイド』(福岡放送)、『す・またん』(読売テレビ)、レインボータウンFMにレギュラー出演中